永久の瞬
ただのみきや

雪に埋もれたまま青く影を落とし
家々は俯き黙祷する
気まぐれにも陽が歩み寄れば
眩い反射が盲目への道標

抱擁されるまま

冷え切った頬が温もり
辺りに耳が開かれるころ
頭の後方 梢のある高みを
切るように渡る鳥の声に

うっすらと目を開けるその刹那
微かに煌めく氷片たち
儚い生を燃やし尽くし
星々が寿命を終えるかのように

  そうだ 蕾が綻ぶように
  永久が微笑む いま がある 
  そして一瞬にして萎れ果て
  無情にも置き去りにされるのだ 

儚い生 むしろ 儚い夢か
結び目が解けるように流転しながらゆっくりと
死滅して行く宇宙の片隅に
繋がれている時の鎖の短さ

そう 塵のひとつに過ぎないこのわたしも
瞬きの間に永遠を乱反射しながら
 消滅するのだろう
誰に記憶されることもなく

ただ 一つの印象でありたい
碧く澄み切った空の下
地吹雪をもたらす風のように
鮮烈で 顔のないもの

         《永久の瞬:2013年2月》




自由詩 永久の瞬 Copyright ただのみきや 2013-02-24 22:01:39
notebook Home 戻る