お袋 俺を捨てたんだって
板谷みきょう

ある朝 目覚めたら 部屋には 誰も居ない
机の上の 置手紙 さよならと お袋の文字
何が何だか 分からないまま 俺は 親戚中たらい回し

親父と お袋 愛し合って 一緒になったと
死んじまった ばあちゃん ガキの俺に いつも言い訳
呑んべの親父に 愛想尽かして お袋 家から飛び出したんだと

悲しみは 時が 忘れさせて くれたけど
お袋が 居ないと云う 事実は 付いて回り
まるで俺の 責任のように ガキの頃から 馬鹿にされて

いつかは 誰かと 愛し合って 一緒になる
暫くすれば 子供もでき 物心ついた 我が子に
親父の母さん どうして居ない そんな風に 聞かれた時に

お袋、父さんを捨てたんだって 俺の子供に言えるだろうか
お袋、何処かで生きていると 俺の子供に言えるだろうか

胸を張って 言えるだろうか 
胸を張って 言えるだろうか
おふくろ


自由詩 お袋 俺を捨てたんだって Copyright 板谷みきょう 2013-02-19 22:31:22
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