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切り取られた野菜の端ばかり集め
冷蔵庫中腹で開かれる品評会で
腐りかけの指先で絶命した人参を転がす
朝は降ってこない
あるのは催促の声と模範囚ゴーレムの動かす
さえ箸の音である
 ....
琥珀色のぬらりとした
リボンのようなハエトリ紙を
白い壁の間借りした部屋に垂らす

夕焼けに光るそれはまるで
蜜をたらふく蓄えた大樹のようにみえて、

懐かしい実家の情景を誘って ....
白いカーテンの揺れる部屋は
少し黴臭く、湿っぽい
レンタルベットの軋む音の中に
心臓だけになった母親は 小さく呼吸を繰り返していた

はじめて母親の大きな身体が剥がれたのは 小五の夏休みだっ ....
この道の
最果ての夜明けで
または、
赤い月の落ちる砂漠の中心で、

裁断用のハサミで
制服のスカートを切りあおう

か細い指で、ずっしりとしたハサミを持って
瑞々しい太腿を切ら ....
片田舎の単線はこころの隙間を
ゆっくり増やしてゆく時間がある
まるで泥水のなかを泳ぐように
深くヘッドフォンを刺す

信号のない、点滅した街の
壊れたコンクリートの道を
みんなに ....
血管まみれのアパートに愛は血はあるのかい

囁けば、

コンクリが軋む



今日は蝉の死骸を三個みっけた
昨日は四個
おとついはニ個
夏が終わるよ、
蝉がなく

羽をむ ....


うちのトイレにはアインシュタインが住んでいる
排泄する度べろべろと舌を垂らしながら
私を蔑んでいる



私が眠りにつく前に
息子の顔に二、三度キスをするのだけれど
息子の ....
私はもう、おんなでいたくないのです



夜中になる前に、
私がまずすることは
夜の空気に右腕を入れること
ぐるぐると掻き混ぜると私と化学反応をおこすので、そこでゲル状にな ....
高萩の本家の近くの墓場はいつもナビから外れた場所に存在していた
だからかどうかわからないけれど
父親の一周忌も三回忌も墓参りに行くことはなかった

父親の納骨以来の墓参りは
奇しくも母親 ....
>夜がわたしに降り注いだ。

それは思念として漂うわたしを取り巻き、大きな渦になったかと思いきや
急速に血肉をつけ、むくむくと膨らんでいった。
くるり、ころがる。ころがれば、すべてが曖昧に都合 ....
音のする方へ
感覚を伝わせて
光の曲線を描きながら
死んでゆく触媒

優しさを色で現すのなら
あかみどりを推奨する訳は
血液と瞳の
色だから

空気が凍りつく夜に
童話のよう ....
夜は記憶の始まりから来たのだと
慰めるように紡いでいた物語を
君が聞くことをやめてから
どれだけ経ったのだろう

昨日から
世界にひびが入りはじめている

そこからあふれる酸素 ....
山人さんのゆるこさんおすすめリスト(12)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
さいはて_に至るまで02- ゆるこ自由詩324-1-21
ハエトリ紙- ゆるこ自由詩11*20-7-4
母親の変態についての手記- ゆるこ自由詩12*20-6-25
空を切る、斜め上からの投下- ゆるこ自由詩9*20-6-18
JKだって自殺したい- ゆるこ自由詩9*20-5-28
血管まみれのアパートに愛はあるのかい- ゆるこ自由詩411-8-25
アインシュタインの罠- ゆるこ自由詩311-8-9
わたしはおんなでいたくないのです- ゆるこ自由詩711-5-12
納骨の日- ゆるこ自由詩5*11-4-12
生まれる。- ゆるこ自由詩411-4-10
あかみどり- ゆるこ自由詩810-12-20
雑音になった君へ- ゆるこ自由詩510-11-26

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