すべてのおすすめ
逃した魚が尾ひれを揺らしながら
泡のような歌を唄うから
僕とお母さんは今夜もふたりきり
空っぽのお皿を囲んでいる
待ちくたびれた夢の中で僕は
とても大きな魚を釣った
お父さ ....
工場長が腕組みをほどいた
ああ、工場長が行ってしまう、
ユキオは顔をあげた
ユキオの唇がかたくなった
工場長が胸ポケットからケイタイを取り出した
あのなあ、頼まれてくれないかな、今から割 ....
私の言葉が尖るのは
爪とぎ忘れた猫だから
咲き始めの葉っぱだから
ごめんなさい
ごめんなさい
と春にまかせておじぎした
ぽきん と折れる
かもしれない
でもね でもね
そ ....
となりのカプセルのアラームに起こされたユキオは浴場にゆき湯につかり頭を洗い全身を洗い歯を磨いて髭を剃りトイレを済ませてカプセルホテルを出た
8時まえにはメーカーに着き通勤ラッシュの正門まえに立った
....
夜な夜な通う男があった。
おのれとは不釣り合いな貴人であると思ったから、
娘は誰にも告げなかった。
幾山越えて川越えて
林を抜けて森抜けて
夜な夜な参る者の名を
ちちはは知らずたれ知ら ....
何にもないおもいでいられるきみたちは
ものおじした心のせつなさかもしれなかった
しかしそんなふうだったぼくの歩いてきたような気のした
そんなふうにしながらもあるかされていくじかんにけされてい ....
今朝
なわとびをして
残像のまま
戻らなかった
公園で追いかけっこしたら
あっさり治った
銃があったら撃ち抜いていたが
ないから撃ち抜かない
ベンゼン環を3つ重ねて
かたちづくる
土星にはカッシーニの輪という輪があって、
それが地球の軌道に微妙な影響を与える
、
....
毎日毎日ぼくらは鉄板の上で焼かれたいんだけど何で焼いてくれないのかしらねーって
そんなのはお前がただ不細工でどうしようもないくだらない女だからに決まってるんだけど
でもお前はどうしようもなくバカで ....
シャープペンシルの頭をがしがし鳴らしながら
星のドアをがんがん叩き壊す
中にいる 理想論者を引きずり出してゆく
空にいれば安全などと思うのはまだ早い
道を踏みしめてゆくために人数が足らない ....
{引用=きみは涙腺を狙っているのかい?
それとも胸の奥を爆発させようとでも?
いずれにしろ致命傷は免れるだろう
僕を本当に殺したいのであれば}
ある時から、
脳を押しのけて頭蓋骨の中に
....
タオル地のゾウさんは、ボタンの瞳
故郷のばっちゃんの瞳
とりあえず、ごめんなさい、ありがとう
1年生になったら友達が100人も出来て嬉しかったが
2年生になった時にはその内89名が私のもとを離れて行き
残る11名は全員が私の体を目的に集まったハイエナどもで
3年生に上がる直前になって私は ....
(1)
弾力に富んだ餅を
下部で切断する図柄を見ながら
計算ドリルを解く
もうやらなくていいはずなのに
能力の検定に追われ
並行処理で時間を間に合わせるのは
やるべきことをやらな ....
僕らは
どうでもいいんだけど と言いながら
また大事な話をはじめる
ときおり必ず眠いと言いながら
タバコなんてやめたいと言いながら
コーラが
約束事のように置かれている
ポテトが ....
虚ろな空を切り抜いて
僕らは少し安心する
ボクラトカクノガキニサワルノナラ
ボクハトカコウ
形ないものに
形を与えたのは
先人の知恵だろう
....
彼女のすすめに従って
スライサーで挽いたにんじんを
生地にこっそり加えてみた
これを食べたあかつきには
中身をあかし
達成の喜びをともに味わおう
アイ アム ア ネゴシエーター
....
信号機に勝間和代よじ登る春ポジティブ
61
窓口で明日のことを聞く
明後日のことはわからないと言う
犬の尻尾を握ったまま
数日が過ぎた
公印の刷り込まれた
きれいな色の証明書が届く
....
書く
泳ぐ
消す
打つ
飛ぶ
読む
走る
思う
有る
死ぬ
蹴る
射る
居る
着る
似る
干る
見る
強いる
悔いる
起きる
過ぎる
恥じる
落ちる
帯び ....
ずいぶんと
人生を過ごしてきたぼく
花吹雪が舞う
本通りを歩いていると
ぼくは
いきなり
わかってしまった
ぼくは
自分が
わからない
長い間
生かされてきたぼく
....
「みなさんはシルマリルリオンについて言及しようとした際に、
シルマリオンと語を縮めてしまったり、
シルマリルリルオンと語を増やしてしまったりすることは
ございませんでしょうか」
拡声 ....
うさぎの足跡を
じっと見つめていた
長い月日をどこか
窓に ドアを
けれど 立たされた
手が 夜に
ひとりぼっち 縮む
手紙だった
記すためだった
ペンに捨て ひとり
存在を消 ....
(1)
餅にはモチベーションという派生語じみた言葉が存在するのに、
同じく米から作った食物である団子には、それに対応するべき
ダンゴベーションという言葉が存在しないのはおかしい
そう ....
「風が少し冷たいね」と笑いかけると
まだ早かったんだとふてくされた声
まあまあ、って君のポケットに忍び込む
合わせなくても同じ歩調と
規則正しい腕時計
まだ寝なくても良いの?と、
いたずら ....
自分でもよくわからないけど
確かに今
つながった
強さと優しさが
賢さと素直さが
力と繊細さが
今
つながった
繰り返し繰り返し、さっきから何度も電話のベルが鳴ってる
けれどどうせ逆回転のテープみたいなマネキンのひしゃげる音だから
僕は敢えてそれに取り合おうとはしない
ぷるるる、ぷるるる、ぷるるる、ぷ ....
なにも無い
遠いところから
君はやってくる
名前を持たずに
やってくる
君の名前を考えている
夜十時で閉店した
ジャスコの二階フロアを
エスカレーターの下から
少 ....
つべたい夜の中
その世界の話をします
震えた時の気持ち
正直に話せます
靴の中には雪が
最後の賭博をして
面倒な気持ちごと
命を譲りました
誰も顧みない
ちっぽけな硬貨
....
コオロギの 濁点のような生涯
悲しい肉色の
西洋ツツジを切らさずに
昏々昏々 赤子と眠る
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130