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空が片方の目を瞑る
女はさよなら
、と言った
沢山の赤い宝石が、道路を転がってゆく
遠ざかってゆく赤い宝石の
笑い声
夜を前にして、消え去ろうという
閉じかけた花の
遺言を ....
春
虎はその幕の奥深くに身を委ね静かに眠りを始める
兎がその上に立ち
電球のフィラメントでバイオリンを奏でると
そこ一帯は輝いて
学生達の駆る自転車の前輪と後輪が
まるで男女のように踊 ....
乾いた笑い声
抜けたままのプラグ
真っ昼間、踏切の側で
女は胸に手を当てている
子供達が足跡を消して走っていく
夕暮れ、街灯の側で
老婆は胸に手を当てている
黙っているけどみんな ....
女の子はミルクティ
黒い人は刹那が好き
大抵みんな空が好きで星が好き
だってそうでしょう
男はわりと"あたし"が好きで
女は破綻を否定しつつなんだか嬉しそうだ
....
{画像=101015121000.jpg}
君はどこに行っていたのと
神話が問いかける
ここまで
ずいぶんと時間をかけて
きたのに
ほんのちょっとの不在で
だいなしにしたね、と
....
遠く山の{ルビ頂=いただき}で
待ち焦がれた炎は消え
緑立つ少年の波は
今や金色の秋に燃え
激情は嵐を忘れ
ただ思い出を吹きすさぶ
燐光、空たかく
せいのびせども
つまさき立っても ....
焦げついた喉の奥に最も暗い夜がある
野犬逹が吠える
それは肺のもっと奥の方
何処か雲で霞みがかる月
歌いだせば
全ては煙のように這いで
誰の耳に入ることもない
それは誰に ....
男は94ページを読み終えると、時計を目にした。
7時23分。
昨晩から雨が続いている。
グリーンの縁の窓から臨む景色は、霧がかっている。
溜め息をついてはみたものの、こんな休暇も悪くは ....
角砂糖ひとつ分のダリで歪んだ
そんな私の記憶の個室
父が一杯の水を差し出す
母が一輪の花を差す
それがかつての始まり
最後に望む光景
角砂糖ふたつ分のダリで歪んだ
そんな私の記憶の個 ....
私がとても遠いのだと思っていた人は
すぐ目の前にありました
なぜならその人は海だったのです
必要とあれば向こうから
そうでなければひいていきます
私がどんなに駿足でも
どれだけ望みを握 ....
外は今日も騒がしい
豊かな自然
沢山の人間と沢山の生き物
私は今日も窓からその変容を眺めている
それはもう毎日のように
この窓辺から遠くへ臨むことだってある
窓越しに映画を見に行ったり ....
私達は風景を食べている
そしてもうひとつの地球のような
そんな世界を造りその上を歩いている
しかしそれはとても、とても小さい
幾つもある小さいを繋いでみようと試みるが
誰も縫い目ひとつに ....
ローテイトする空気
ツンとした金属
それが君
つい触れてしまいたくなる
そびえる金属の塔
不可思議
早巻きでみる植物のように
私は蔓を伸ばし試みる
君への動脈
ツンとした金属
....
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ ....
それは黄昏れ時の一室 夕、だった
蛇と蛇は見留め合い からまった
それは黄昏れ時の一室 ふたり の ....
その街は静かになりました
もう、人間しかいませんでしたから
精霊も、神様もいませんでしたから
なのに彼らは恐れていました
もう、人間しかいませんでしたから
精霊も、神様もいませんでしたから
....
あなたは一輪の花をもってわたしのもとへとあらわれました
あなたは一輪の花をもってわたしに別れを告げました
わたしはまた新しい花瓶にその二輪の花を共に活けるでしょう
そして同じように水 ....
{引用=きみは涙腺を狙っているのかい?
それとも胸の奥を爆発させようとでも?
いずれにしろ致命傷は免れるだろう
僕を本当に殺したいのであれば}
ある時から、
脳を押しのけて頭蓋骨の中に
....
いつも真顔の青年が
たまには冗談を言ったっていいだろう
でも時としてそれは本気だったりするんだ
どんな冗談も起こしてしまえばそれは事実
なんか面白いことを言ってやろう
信じているならばそれさ ....