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バイトの面接にいった。それだけで脳から鉄の匂いと鉄の味がするくらい疲れた。実際今もさびついた鉄の歯車が俺の脳内をギシギシいいながら回っている。そういえば俺は今生きてるだけで疲れているのだった。みんな軽 ....
時計の断面が落ちている
側に誰かの置いた花束がある
初夏の陽射しは影をつくり
わたしはわたしの影を
地面に埋めていく
勝者などいない
敗者だけの戦いが終わったのだ
イワシの缶 ....
・ ・ ・ ・ ・ ・
木哺デハ
北東ノ風 風力8
気温7度
1024ヘクトパスカル
晴レ
鬱瀏島デハ
北北東ノ風 風力5
気温3度
1018ヘクトパスカル
....
狩野川台風で橋が落ちたために
駅からタクシーで大まわりして
修善寺温泉街にはいった
九歳のぼくは父と母に連れられて
和風の大きな旅館にはいる
玄関をあがるとすぐに大きな池がある
池の周 ....
深夜 ライブの帰り
ぼーっと ゆらめく半月に
見上げ つぶやく
飲み会で ふわふわした
足取りで着いた
駅のエスカレーターの下
料理がしたくなくて
焼酎の炭酸割りを 口にふくん ....
ひどいブスにこの粗末な肉体を捧げて
十二月三十四日の僕は肉の海に沈む
ラムやマトンで身の回りがいっぱいだ
肌と肉のふれあいに心は荒ぶいっぽうだ
やっぱりこんな儀式をするんじゃなかった
何の意 ....
胃に優しいとか
目に優しいとか
肌に優しいとか
地球に優しいとか
特定部位には優しいのに
わたしには 誰も 何も 優しくしてはくれなくて
バファリンの半分は優しさでできていますとか
お金 ....
諦めているのは
おまえだけだぜ
俺はまだまだ
燃えたりないんだ
だって全然
ダメじゃない
なんて言うなよ
これでも
俺は発火寸前なんだ
枯れ木に
火をつけてくれ
枯れ木に ....
人の善し悪しってのは
すぐに「キライ」って言う
そんな単純なことじゃ
わかんないんだよ
自分に都合のいい人が
いい人じゃないんだよ
親や友達じゃないから
そんな無責任なこと
平気で言え ....
光を切り裂いたカーテンの色は青く
寝癖はやっかい、目が腫れぼったい
母親が漕ぐ自転車の後ろにしがみつく派手なズボンの幼稚園児が
男の子なのか女の子なのか判別できない
それを何気なく追い越してみ ....
夕日に抱かれて思い出す
子供の頃に一人で遠くまで行ったことを
夕日に焼かれて強く思う
今の僕は随分遠くまで来てしまったことを
はやく留守電になれよ
追いすがるような絵になってしまうじゃないか
用件さえとどけばいいんだよ
夜のカラスがちぎれて言った
留守電までの時間6秒ぐらいにしろよ
夜が明けきらぬうちに
息で曇ったメガネを通して
見える街灯の明かりは 屈折して
一つ一つが
完全な円形の虹のようだ。
こんな時 寝床では まだ
おそらく 多くの人がもぐったまま
それ ....
「梅干し」がそこにあるということは
「梅干した人」が居るということ
今年の梅雨は
ながく暗く
何もかも腐らせてしまうまで
終わらないようだった
水道の蛇口をひねると
締める直前に
白いクラゲのようなものが
ぬるりと出てきて
コップの中に浮かんだ
....
61.
半規管の殺風景
宇宙を感じ
宇宙に感じられること
62.
包帯を巻かれたマイクロフォンで
肋骨にヒビが入った空気を震わす
....
晴れている日には
晴れた 澄み切っている 色をしている
健康である 体になっていく 澄み切った
湖のそばにて ラーメンで 健康になる
恋人であることを思いうかべる
文庫本のページを閉 ....
タクシー運転手の吉川さんが、こちらに向かって歩きながら
「昨日の夜、見たこともない美人を乗せたんだぜ!」と大声で話しかけて
きたものだから、窓を開けていた他のタクシーの運転手連中が
どこで乗せた ....
「今日は死ぬにはとてもいい日だ」
風が吹く
ヒマラヤスギが黙然と口を閉ざす草原で
空気に重さがあること
シルバーアロワナの鱗に始点も終点もないとして
明日が普遍してもいい ....
苦しい
痛い
怖い
生きることが
世界は悪しき者達の為の住処
肉体の苦しみ
臓腑を灼く耐えがたい苦痛
精神の苦しみ
魂が傷つき損ない
悲鳴をあげる
「助けて」
助けを求め ....
吐き出した
投げられた
言刃の鋭利さに
切り刻まれ
恐れおののく
何を傷つけるの
それでも
悲しみや怒りは
擦り減ることもない
多すぎる傷を
抱えた ....
何にもない体で生きていくとき、眠気を感じさせられた。私の腰は、人に疲れているのだろう。人である1日は続いていく。あなたは誰なんだろう。私には人間にも、見えなかった。窮屈な言葉の私は空の窮屈さに疲れてい ....
今腕とかなくなったらこまる
目が見えなくなったらこまるよ
足がなくなったらこまるよ
風邪ひいたよ
このまましんじゃうかも
そういえばろくなもの食べてないよ
朝は食パンもしくは食べない
昼 ....
やたらに愛を歌ったりするやつになりたくない
やたらに夢を語ったりするやつになりたくない
やたらにフェバリッツを吹聴するやつになりたくない
やたらに周りに当たり散らすやつなん ....
昔々の思い出です
冨山の薬の置き薬屋さん
いつも風船くれました
使った薬がないときも
怪我も病気もないほうがいいと
笑顔で風船くれました
冨山じゃないけど置き薬屋さん
今は銀色ジ ....
あたし一生、結婚なんてしないわ。
三日月に乗って夜を旅する
風の冷たさ温かさ
満月なんかじゃダメなのさ
10円玉99枚を用意して
告白の為にボクは
電話ボックスを探してた
....
探しものはナンですか
普通のパンではないですか
カバンの中も
タンドールの中も
探してもないってことは
もうカレーと一緒に食ったってことじゃないですか
これから粉から作るんですか
今は夜 ....
おもしろくねえなあ
そう思いながら
てけてけ歩いていると
おおっ! なんだこ ....
ひとつしかない
祖母の乳房を
ぼんやりと見ていた
そういうものなのだろう
と思っていた
幼かった私
手術したのだ
その晩
どれだけの悲しみに
打ちひしがれていただろう ....
わたしが金魚の頭を
撫でているころ
ぼんやりとした扇風機は
薄暗がりの中で首を振り
幼い子どもが一人
どこかで帰る家を探している
ここだよ、と言っても
それはきっと
ただの ....
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