桜ホリデー
落合朱美


遅い春が さらに足踏みをして
私たちの日曜日は
台無しになってしまったけど

公園からの帰り道
陽当たりのいい住宅街の一角で
うっすらとつぼみの綻んだ
可憐な桜を見つけた

ブロック塀の向こうから
道端に大きくせり出した樹は
ねぇ、ねぇ、見てよ って
腕を伸ばしてるみたい

通りすがりの母娘連れは
お祝い事か発表会か
桃色のドレスに身を包んだ少女は
リボンを飾った頭をつんともたげて
せいいっぱい澄まして歩いてゆく

ああ、おんなじね
桜も貴女も そして私も

すこし着飾った特別な日には
みんなに見られたいと思うのよ
誰かに褒めて欲しいと思うのよ

貴方は桜と少女ばかりに
微笑みながら見惚れているけど







自由詩 桜ホリデー Copyright 落合朱美 2006-04-24 07:48:01縦
notebook Home 戻る