今宵 都市の片隅で 人知れず行われる 儀式 口封じ
甘いだろうか 苦いだろうか いずれにせよ 言葉は四角い 箱に入れられ 心の海の 奥底へ 沈められる 秘密は 知られないほど 強い 光を放つ
....
ともに闘う仲間が欲しいから
辛そうな顔を見せてはいけない
煩雑な苦労を知られてはいけない
そうして隠すの
やめてください
本質がわからないことには
誰も手を出さない
当たり前です
わざ ....
歓びはなかった
とはいえ哀しみもなかった
わたしたちはベンチを分け合って座り
冬の始まり、辺りに人影はなかった
言葉はさっきまで……あった
今は沈黙さえ、ない ....
荒んだ気分に吹かれているのも
快速電車の乗り心地です
時に青白い猫が追い越して行くのも新鮮
手放しで夜道を直進するも悪くない
見通しは甘くありません
集会に行くのだとばかり思っていたら
対 ....
冷蔵庫たしかにプリン入れたはず
影が道路に映る
ただそれだけで どんなに悲しくとも
私が生きていることを教えてくれる
旅先に行動を忘れてきた
だから僕は手元の地図を見て旅先に戻ると
すでに行動はなくなっていた
抱擁はつよい風のようで
いろも匂いもなかったが
ばさばさと通りすぎていったあとには
たくさん 散っていたので
あなたが来たのだな と
ようやっと理解します
理解します
したくもな ....
新米を握る母の手は
燃え始めたかえでのように色づき
かぐわしい湯気を蹴散らしながら
踊ってみせる
熱いうちに握らないと
美味しくないのよと
まつわりつく子に言いながら
端をほんのわず ....
自分の存在は小さいが
誰かの世界は
そのおかげで作られてる
オバケ同士で驚きあっている
苦行に明け暮れサラリーマンは電車の棚で蛹になった
無関心という制服に包まれたシュークリーム並の少年たちが
耳におしゃぶりを挿したまま喃語と一緒に痰を吐きまくるから
ユニクロを着た老人たちの血圧は ....
強烈な風雨を受けて
折れてしまった月下美人の葉を
何気なく水に差しておいたら
根が出た
その後も根は伸び続け
葉のくぼみに蕾をふたつつけた
さすがに花を咲かせることはなく
....
遠吠えが連鎖してゆく昏れた空おおかみだったチビとかルルの
むしのねがあんまり近くにいるもので内なる声かと耳をすますよ
秋の日に縁もゆかりもなかった人と過ごした時をたどってみたり
はら ....
時々スーパーで売られている
アルミでできた鍋焼きうどん
スカスカの天ぷらが入って
賞味期限もまじかだから七十円
炎にパチパチ音を立てて
グツグツ煮立ったアルミの鍋に
....
風が止んだ 窓に凭れている月光
まるくなった猫の瞳に 映る洋燈の揺らめき
一枚の油絵から 零れ落ちる泉のしずくが
なめらかに滑り落ちた 鍵盤の上
都会のざわめきは遠く 静けさに
....
この路地のつながる先がどこなのか知るはずなのにわからなくなる
とちの実が落ちてきますと言うから手を繋いで走った
ほとんどがみどりの中にひとふたひら色素の薄いきみの熱情
内陸の町の夕陽 ....
好きにえらんだ器を塗って
まちは
いつも白絵具不足
わたしはわたしを傷つけるかわりに着飾っています
なにをそんなに
もともと予定のある命ではないし
分裂し続けるパズルのピース
はめて ....
大切な約束をしたことを
いいかげんなわたしは
いつのまにか
忘れてしまった
むきだしのアセチレンランプの猥雑さざめく夜市
腹を見せて死んだ金魚は
臭う間も与えられずに すばやく棄てられる
....
一軒家のブロック塀と道路の間に
はみ出したサボテンたちが
楽しそうにからりと佇む
プラスチックのプランターも割れて
土もほとんどなくなり
とっくの昔に忘れ去られているのに ....
もう一度
巡り会えると思っていた
例えば
白い窓枠の廃校舎
花壇
の隅に埋めた
解剖のフナ
誰かが拾ってきた小鳥
教室で飼っていた金魚
アコーディオンを弾いていた先生
転校していっ ....
ちちとはは
ふたり
きみがうまれたあとなぜか
はじめててを
つなぎあったひのはなしをした
ゆうこくのうみに
むかってあるきだしたあのとき
べんちにすわってふたり
こどう ....
隣の村とぼくの村の間に
鎮守の森が有って
鳥居の奥には不思議な気が漂っていた
大きな楠があって
その前には祠があって
神様が居るらしい
子供のころ お願いしたのだが
たとえば ....
入り口にニトロを仕掛けた
砦の外は大嵐で
外海に押し寄せてる筈の
船影も見えない
幾千という人を殺めて
旗を掲げてきた
最後まで戦うべきなのか
閉ざした扉の掛け金
....
裸足のあしあと
プールからあがって
シャワー室まで続く
誰かが忘れ
端で丸まった水着
外は小雨、傘を忘れ
しばし迷う
夏は去ったのか
二枚舌はタンの量が2倍
美しく作ってもらえなかったアンドロイドの気持ち
そっと今も
地球に隠されている
新しい一日には
夜明けの太陽から
陽射しが煌めいて
鳥たちが
鳴き始める約束の朝
窓を開ける
君の微笑みに
旧来の知人から
感謝の手紙が届い ....
七色に輝く水しぶきを浴びて
キャッキャと走り回るあなたを
私だけのファインダーに
永遠に閉じ込めておきたくて
夢中でシャッターを押したのに
あなたのぶれた指先や
揺れるスカートのレースしか ....
若いってたぶん弁当をふたつ食べれることだと思う
いろんないやなことを無視できることだと思う
酔い方に遠い孤独がにじまないことだと思う
背中に秋の陽を受ける
地獄も天国もない街道 ....
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