横たわるあなたの寝息に触れようとして脆いガラスを抱いたように怯えている
そうだ でも わたしは
たしかにむかしガラス瓶だった
週に3回か4回、自転車を15分こいで通っている花屋は大型マーケットのすみにあって、だからか、こういう時期でも営業を停止しない。でも場所はあんまり重要じゃないのかもしれない、街のなかにある花屋をみる .... 窓辺の席で高校の最後の年を過ごした
この記憶で誰かに伝えておきたいことなど無い
何も起きはしなかった
窓の外で歩き回る人たちを見ているだけだった

終業式が終わったあと、少しだけ教室に残 ....
花が咲く場所だったらどこでも
思い出すなにかがあるかでどこでも

夢の中で行けるはずさ
眠たいときに一緒に居たいやつが
暇そーにしてたら
なんだどーしたって声掛けて
乗り込んじまえ
 ....
ふるい嘘を すてた日
体が軽くて
歩きにくかった

曲がっても曲がっても
曲がり角
街はらせんに伸びつづけ

かわいたパン くらいの
気持になって
飛び降りるとき
空は
わ ....
すうっと眠くなって
文庫本をそのまま胸におくと
パタパタと浮いて羽ばたいて
パタパタと空中旋回
ひらりひらりと文字が落ちてきて
すうっと染みる
ひとつのひとつの言葉がぐるぐると
身体を巡 ....
春のなかで
君は自由で
ちょっと涙があふれそう

空が
向こう側にむけて
ぎゅうっと伸びていく
薄まっていく
絡まっていく

ぼんやりと窮屈な春のなかで
君は自由で
ぼくは ....
ばかなねずみは、りこうなねずみとちょうど同じ数だけいる。
ぼくたちはばかなねずみで、たとえば角砂糖が落ちているのをみつけてはわあっとかけよって、けんかしながらあっと言う間にたべてしまう。そうして ....
わたしたちは 忘れてしまった
どんな手も
水を産むことはできない

湛えた夢が 溢れながら
事象を繋いでいく それが
現実でないことに
どれほどの意味があるだろう

裏返り 反転 ....
パンはもうすぐ焼けると思う
夜が来たり
雨が降ったりする
人間の気持ちを傷つけたくて仕方がないときがあり
着替えて
街を廻る

そんなふうに
蓋をして
砂みたいになっていく
 ....
{引用=モデル}
マネキンのようにスラリとして
颯爽と 人前を歩く
絵画や彫刻の面持ちで
料理を盛る皿よりも大切な役目を担う

 これを着たら
    あなたもわたしのよう

美は憧 ....
さむい朝
世界じゅうで息は吐かれて
甘い詩をなめて生きていくの
といった
彼女が死んだ
夢の途中で転んだので
ためこんだ時がみんな流れてしまった

這う
ほそい道を
わたしたちはみんな
おなじように無意味
むかし
ただの風だったころ
女の子がうらやましかった
くつ下が白くて
かみも頬ぺたも
ひかり、ぴかぴか

そして
ただの女の子だったころ
女たちがうらやましかった
手も足も自由 ....
くまは瀕死だった
ぐるりを人間たちにかこまれて、
路上で、濡れて

だいじょうぶですよ
とくまは言おうとした
ひとりで死ぬから、だいじょうぶです

「殺せ」
とだれかが言った ....
爪から
ほそい光がでるようになってしまった
愛されすぎですね

医者が言った
でもだれに?
という問いには答えずに

気をつけてください
光のぶんだけ
影がたまっていきますか ....
わたしのむすめのすごいところのひとつは、ドーナツの穴を食べられるんです。
あるときわたしがおやつのドーナツをかじりながら、「いつだってこの穴が消えちゃうのがせつないよね。」と言ったら彼女は「 ....
私達は 窓枠にはなれない
カートにも ジムにもなれない
あなたをとても好きなのに
愛してはいなかった
夜がくるとおびえて
シャツのすそにかくれてしまう
ぼくのきみ
100年も逃げまどって
かえってきたかとおもえば
もう出たそうにしている

鍵はかけてないんだよ
と言うと
錠を買っ ....
夏がきましたよ。蝉!(叫ぶむすめ)。
都立高校の窓から吹奏楽の演奏が落ちてくる。七月盆が終わって、売れ残った竜胆と蓮の葉。
水をはじいて光を跳ね返すような色の濃い夏の花たち。一年半とすこし働い ....
1. ドアを開ける
2. ドアを通過する
3. ドアを閉める
4. ドアを開ける
5. ドアを通過する

ドアを閉めなければ次のドアを見ることができません
次のドアの前には空間が ....
こうもり
羊飼いの夜をたべ
眠たい指をぬすむ
みたいにして

重たい 重たい
朝が
木香薔薇の花びらより
散り散り鳴っていく

まどろみ
落ちゆく空の白い際
いまも街では恋 ....
そうして春が去ったところへ猫が這入ってきて、
ごろなんと寝転んだ。
僕は寒いねと言い、
君は四十五度斜めと言った。
赤い新聞紙?と僕が尋ね、
そうそう、くじらのボールペンと君が答えた。
 ....
季節はつぎつぎ仕舞われて
ま新しいシャツの朝、とびはねた分だけ沈む靴

いつ吹雪がきてもいいように準備しておくんだよ。
たんぽぽを乾かして瓶詰めにして
転んでも泣かないように、いつもすこ ....
どこかが開いている
この部屋には
窓がないのに

寝息が 夜をみたし
空の端をそめていく
昏さは
甘えようとすると裏返る

すきだとおもった指あとも
いまいましく沈んで

 ....
街からゴミ箱が無くなった

公園の土管が消えた

しじまばかりが拡がる住宅街

子供達の声が聞こえない
子供達はどこに行ったのか

缶蹴りも無くなった
ドロケンも必要なく
鬼ごっ ....
音のないテレビが
空間を蝕んでいる 明けがた
熱は引くどころか

からすたちがつくる
今日の切り取り線を
はやく裂かなきゃ
でも なぜだろう もう
からださえ ここにはないのだ
 ....
とおーい 声がするのを、するのを見ている。蛇腹にたたんだ気持のなかで子どもが泣いている。あかるい窓べ、海べ、岸辺。
心に彼岸はないから、いつまでも分かり合えない。猫たち性懲りもなく恋する。
 ....
アネモネがばあっと咲いてる道があったんだよな。四月で風もつよくて、ひざしがばからしく春めいて。花のこと知れば知るほどかなしくなるような気がする。物事って、知れば知るほど仕方なくなる。めりめり泥に飲 .... 箱がたくさんある。
現実にも想像上にも、自分のものも、むすめのものも夫のものも。怠惰な感じのする春の日差しの真中にわたしのそれを置いて、みる。日差しは多くの物事を明らかにする(もし私達がそれを望 ....
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