Medusa
Lucy

私には見えた

あなたが笑うたび
唇の端から
ちろちろ見え隠れする
赤い瞳の小さなヘビ

あなたがしゃべると
目の奥をよこぎっていく
緑色した胴体のヘビ

あなたがふりかえる時
肩の上にとぐろを巻く
てらてらと光る青い大蛇

あなたのヘビばかり
見えて見えて仕方がないので
あなたが出没する場所へ
行かないように配慮した
距離は大切
あなたのヘビを見たくない
私のヘビが目を覚ますから
あなたのヘビに触れたくない
私のヘビが肥大するから

鋭く尖った感受性
狭小な視野 
赤茶けた過敏な毛髪の
ひと筋一筋が牙を剥き
燃えるような舌をちらちら仄めかせ
血走った眼で私を睨みつけている
メドゥーサ
あなたを見つめてばかりいたので
私は石になる
それとも鏡を見たのだろうか



自由詩 Medusa Copyright Lucy 2015-02-25 23:36:25
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