踊り場が泣いている夜、わたしは旅に出た。
この夜空に浮かぶ星々を、
わたしたちと呼ぶことにしよう。
プラネタリウムみたいに綺麗な世界が、わたしに酸素を送ってくれる。
ドーナツを選ぶのが難しくて
私の背中に行列が出来る
ハズレのくじを引くような気分で
ショーケースに指紋を残して
次の人は美味しいのに当たるよ
全ては好みの問題だけど
デパートの屋上 ....
氷の上を
ボクは滑る
つーっとおなかで
海へドボン、だ
好きになったら
ことばにしなさい
それが恋の正しさなんだ、と
雑誌は教える
ポパイだったか
スコラだったか
おなか滑 ....
イオンモールのなかにある書店で休日のいっときを過ごした
私が読みたい本はこれといってなかったけれど
店内に並べられていた本を手当たり次第とってはペラペラと捲って元に戻した
昼下がり。店内は日曜だ ....
透明な傷に風が染みる時
思い浮かべたのはあなたでした
優しさと厳しさを使い分けて
同じ道は選べなかったけれど
あなたより私の幸せを今
祈ってしまう程に醜いよ
ボタンを押せば運命 ....
いつもの二階への階段をのぼっていたら
いつしか階段が森になっていた
のぼってゆけばゆくほど
森が深まる
樹々が茂り
鳥の声も聞こえてくる
のぼってものぼっても
いつもの二階にはなぜかいっ ....
交差点で信号を待っていたら急に雨が降ってきた
それはよくある事で珍しくはない
でも、その時に降ってきた雨はいつもと違っていた
信号が青に変わって走りだしら、雨は激しくなり激しさをました
....
to belong to
ということばのひびきはあこがれだ
(父のキングス・イングリッシュはほんとうにうつくしい)
遠い、遠い
名も知らぬ
国を想うように
to belong toをく ....
君らはジャップすげ~がやりたいつもり
僕は逃れてジャップアイランドがやりたいつもり
合わないのも無理はない
文化は真実を隠ぺいするという
レストランでビフテキを食べる時に屠られた牛さんを思 ....
わたしを欠いたまま
わたしを欠くことで
蛞蝓は 祭り路に垂れて
三十二歳の
女の唇のようなかたちの
乾きが 丸くひらく
信念の青さで糊をした
....
価値観は
所によって大きく変わる
学校時代は
善悪中心だが
社会に出ると
利害中心に変わる
真面目な子ほど
混乱する
二歳の子どもを
母親が五階のベランダから
投げ落として殺した
神様に
途中で子どもを
受けとめていただきたかった!
くちづけは乾いていて
忘れたころに香る
五月の庭は騒がしく潤み
ひらくたび
こまかく傷ついていく手のひらで
世界を泳いでいる
まだ知らない
なにも知らない
溺れるように街を掻き ....
誰もいない小川に
僕が 釣り糸を垂らしていたのはいつだろう 小川に
冬のある日 釣り糸を
しかし冬の日に小学生だった 僕は一人だった
だけど 今でも僕は川に釣り糸を垂らしてはいる ....
☆
岬の先端に
一羽の越冬燕が佇んでいる
仲間の到着を待って
長い苦闘に
羽根はぼさぼさ
やつれて見る影もない
運命に持ち運ばれたとはいえ
惨めな姿だ
越冬燕は仲間を待ち ....
とても快く疲れているのでこのまま眠らせてください
このまま死んでしまうかもしれない
このまま死んでしまえたらいいのに
疲れに救われて
雨に撃たれ
陽射しに焼かれ
粉末になって風に融けだ ....
赤 白 黄
細い指のその先で
無色の命が息をする
わたし 眼鏡はかけないの
あなたの前では 絶対
制服の下に隠した
透明な臓器
みせられないよ
あなたのためじゃない ....
○
手乗り文鳥が
籠から
彼の手に飛んで来た
しかし手が
あまりに冷たくて
肩へと移動した
そこで
すぐ上にある
彼の耳をひっぱる
痛い!
注射をされたみたいに
痛い
....
みんな幸せになればいいのに
暴力的な春風に耐えながら
詰まりそうな呼吸を必死に続け
目に入った砂粒で泣き
砂粒のノスタルジーを聞かされ
更に目からは涙が止まらず
涙が止まる方法を あちこち ....
○
春の庭に
寝そべって
一本の骨を
しゃぶっている犬が
横目で人を見ている
何だあいつは
というように
○
今世めちゃがんばるから来世はきれいな亀の甲羅になりたいな
かみさまよ
いない世界の数合わせさせられて
伸ばした髪がせんぶ枝毛
責任とってよと言いたいとこですけど
指が5本ずつあるのとか
....
ベランダと窓とレースのカーテンをはさんでみるひざしはやさしい。5階からみる中くらいの街なみも。
駅から歩いてくるだけでもたくさんの花がみられる。うすいオレンジ色のぺなぺなしたひなげしとか花水木と ....
自転する地球を蹴って
僕らは歩く
ある時は自転に対して、順向に進み
またある時は、逆らって進む
時間というのは僕らの生理的概念でしかないのかも
一日のスピードは進む方 ....
○
煌めく金の声を、地上にばらまいて、
雲雀が青空へ昇って行く。
「あんなに雲雀は、金持ちだったかしら?」
と見上げていた地上の鶏が言った。
「貧しかったわ」
と別の鶏が応えた ....
∇
山吹が咲いた
湿った黒土の片隅に
一輪の山吹が咲いた
星が墜ちてきて
そのまま化石になったように
静かに揺るがぬ形を取って
冷たく黄光っている
そのくせこの世のもののように ....
鐘を失くした鐘楼の
倒れ伏した影が黄昏に届くころ
わたしは来てそっと影を重ねる
深まりも薄れもせずに影は
その姿を変えなかった
わたしは鐘
貝のように固く閉じ
自らの響きに戦慄いている
....
あかるいバスにのって
あかるいまちをゆく
肌にひっかかるような四月をぬけて
風がつよいので
往来の恋はみんな片付いてしまった
ゆるい靴紐
空があんまり白いとおもったら
端 ....
あなたは真っ白な豆腐みたい
自分のふるえでこわれそう
なのにだれにでも染まってしまう
味がないわけではないのに
だまって同化しちゃうんだね
どんなに小さくなってもなくなりはしないのに
....
闇の中で白い背中を
反り返らせていた君は
この夜が明ける前に
大人の女になってしまい
すっかり明るくなる頃には
どこか遠い林の中で
樹液を啜っているだろう
君と初めて出会ったのは
....
俺の袋には何もない
愛を知らないまま死ぬのだ
助けは要らない
足を引き摺って吟うのだ
俺の袋には何もない
あの世で何か見つかるか
ただ濃緑の盃を見る
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