{引用= /とけた猫
コバルト色の階段をとけた猫がつたっていく、春、うつむくこと
は似合わない、踊る石と、まだ眠りから覚めない風を抱いている、
きみには。
※
....
人が言葉に触れれば
それは音を立てて崩れ去るだろう
・・・人間というのは日常性の中に
埋没する為に存在しているというのか
人が音楽に触れれば
それはすぐに ....
窓を開けると練馬インターが見える
皆ここからどこかへ行き
或いはどこかから帰ってくる
けれどこの街に立ち寄るわけではない
行き過ぎる人たちの中心に僕らは住んでいる
引っ越してきたばかりの ....
その日、私ははじめて人の死体
を見た。いまからおよそ十年前、三月二十六
日の金曜日のことだった。もちろんそれまで
にも祖父や祖母のそれぞれの葬儀に立ち会っ
たことがあるが、その時に ....
押してもダメで引いてもダメなドアは
最初に押したからダメになった
閉じた気分を開いても
誰もこっち向かないのは
それと多分おんなじ
見てわからないものが
聞いてもわかんないのは ....
はじめて宿泊した日は
洗いざらしのシャツとジーンズで
いつ帰るか予定のないひとり旅だった
大きなリュックを背負い
フロントまでの階段を登った
*
しばらくして
宅急便 ....
死ぬなら一つの未練を残して死にたい
未練なく死んでしまうと
自分がいた世界を忘れてしまうから
楽しかった事や悲しかった事
みんなと一緒にいた
大切な日々を忘れたくない
もし生まれ変 ....
机に載っていた、何枚かの
便箋は すみれ色をしていた
グラスに注がれた玉蜀黍茶を空にするまで
夕焼けをわたしは眺めていた……飽きもせずに
複雑そうなものごとが、ほん ....
「会社が潰れるかもしれない…」
夫が青白い顔でポツリと言う
「そう。じゃあ、じたばたしても仕方ないわね」
私は、パッションフルーツ入りの
プレミアムヨーグルトを食べながら答える
視線はス ....
今日は土手を歩く
土手を歩いて風を数える
おまえと 僕と
懐かしい春の風を行進する
川面の丸い光を
後退する四角い針の葉の林を
居眠りする土手の潅木の列を
風はまんべんなく揺らして渡 ....
僕達が存在しないのは
僕達が交換可能だから
僕達が存在するのは
僕達が一つの虚像だから
僕達は自分達を虚として演出する時のみ
この世界に存在する事を許される
もし、 ....
壊れた花がぱらぱらぱら、と舞っている
マヨネーズのチューブを向け、押し出した
その時に思いついた歌
👇
夏休み
透きとおったオレンジ掴んで投げた
おばあ ....
ああもうだめだ 何にもできない
そんな時はきっと一日寝ているに限るね
そんなことを思いつつ
着替えて外出を始めるのだ
戦闘の準備はできたかい
それでは
足元に広がるのは私の亡骸だ
あれもこれもそれもどれも私であったものだ
ひどく醜悪でそれでいてなんと切ないものか
打ち寄せる波が見えるかい
あれは血潮だ涙だ脳髄だ
小さくか細い声が聞こえる ....
僕も何かの主人公のように
何もせずに周囲の美女達に惚れられて
取り合いっこされる
そんな風な奴になりたい
僕もテレビの中の芸能人のように
きらびやかな舞台でスポットラ ....
ベタベタに甘い少女漫画が読みたい
スポーツに夢中な青春を送ってみたい
愛しい気持ちでいっぱいにしたい
愛用のマグカップの中のコーヒーに
後ろ暗さもアンニュイも夕暮れも
混ぜ込んで、飲み込んで ....
そうです 私は妥協しません
私はイケメンでお金を持っていて
若くて、良い大学を出ていて
将来有望な男性と結婚します
そうです 私は妥協しません
だから、そこらの男 ....
私の中に言葉がやってくると
私はつい沈黙してしまいます
・・・私、詩人なんです
馬鹿馬鹿しい事に
私だってジャニーズが好きです
特に、亀梨君が好きです
真面 ....
かなしい歌をつれて、
春風がきみの頬をさわるとき
ひとびとのささやきは町を彩り
光が、もの静かな雨のように靴に落ちる
白い花の影がひとつ、心のなかに揺れている
....
自分が死ぬ時に
天井が見えるのか
それとも、誰かの悲しそうな顔が見えるのか
あるいは窓の外の樹が見えるのか
そんな事は分かりはしない
それは、自分が生まれた時に
何 ....
スーパーで並んでいたときのこと
小学校一年くらいの男の子が
母親とおぼしき人に
何やら言いに行ったかとおもうやいなや
ばしっと音が響きわたるほどの勢いで
頭をはたかれた
理由はわか ....
Vの発音 Vの発音 Vの発音 Vの発音
言語聴覚士に何度も発音を矯正される
だけどまだできない
標準的なVの発音
ボールを投げて キャッチして
ボールを投げて キャッチして
作業療法士 ....
銀盤の周囲には
金や策略やら
得体の知れない黒いどろどろが
埋まっているとかいないとか
それと比べたら
ライバルのスケート靴に
画鋲をいれちゃうなんて
(そういう少女漫画があった)
わ ....
あなたはいちども
わたしを愛さなかったけど
あの
朝とも夜ともつかない暗がりに
わたしともあなたともつかなくなったどろどろに
手を抜いたこともなかった
かわいそうに
いつまでも
....
セックスからはじまる現代詩
それは、
無駄に多い性描写
童貞のまま月にたどり着いたロケット
セックスからはじまる現代詩
それは、
風景に溶け込めない看板
ギラギラよりラギラギした看板 ....
少女がしゃがみこんで
草むらを見ている
ふいに振り返り
その昔
あなたはわたしだったのと告げる
小さな瞳を通せば
草むらは森になり
水たまりは湖になり
その村の地下組織に住まう ....
ねえもういやなのよ
脂の匂いでたるんだ男どもの顔と
画面の中のかわいらしいみんなを見比べる毎日は
世の中をこんな風にしたのは一体誰
いくら泡のような微笑みで満ちていても
私をぶつ手の感触が本 ....
こわくない
冬なので
こわくない
ビタミン剤あるから
ぜんぜんこわくない
花柄の靴したを
いつもばかにされても
構わないで履きつづけていた
ななちゃんは9歳だったのに
勇敢だ ....
夫の恋人はわたしよりすこし背がたかくて聡明な肌をしている
恋人の妻はアイロンがけがうまい それしか知らない
鳩も恋をするんだろうか
箪笥や窓枠も恋をするのかな
わたしの目はどうして
いつ ....
アナウンスが流れる
線路内に鹿が入り込んだため
列車は3分遅れて隣の駅を発車しました
その鹿はどうなったのだろう
寒いホームに
誰もが無言で
同じ方向をむいて並んでいる
....
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