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何もかも、失ってしまった。





そう思えてしまった時には

自分の手のひらを、そっと開いて見てほしい。





確かに、その手のひらには何もないけど、

だけど ....
太陽 
月 
仏陀 
神 

(それらを含んだ風のしらべよ) 

わたしが昇ればあなたは昇り 
わたしが降りればあなたは降りる 
わたしが歩めばあなたは歩み 
わたしが止まればあな ....
だらりと垂れ下がった両足の 
Sさんが住む団地のドアを 
「おはようございます」と開けてから 
僕と同僚で、車椅子の前後を支え 
(重たい・・・)と心に呟きつつ 
がたん、がたん、と階段を下 ....
空を切り裂く
稲妻のような
赫い時を駆け抜けて

蒼く険しい道を
手探りで辿ってきた
背中には黒い影法師が
張り付いていた
コンクリートの孤独が
骨を溶かしていく

そして今は
 ....
かなしみを知る人の瞳に
映る光は
美しい矢を描く

夜を知る人の瞳に
映る光を
星と呼ぶ
いつか必ずなくなるさだめの
命もまた
美しい矢を描くだろう

天涯のあちらこちらに
美 ....
日曜日の夕方
群青色の冷たい空
閉じ込められたような

地平線の端がじわりと燃える

正解がないのは
どの道を選んでも同じ

世界を美しいと思うのは
積み上げられてきた
歪な歴史 ....
{引用=
「 月曜うまれの子は、器量がよい 」

             ―――――― マザー・グース





マザー・グース、 マザー・グース
お前はなんでも しっている
 ....
スポーツライターのジェシカ・ガーヴィ
彼女の名を聴いてそれがだれかを分かるひとは少ない

もし彼女の名前を憶えているとしたら
新聞記者かアメリカ銃乱射に余程の興味があるひとだ

2012年 ....
今日も待ち針を刺す
心の縁に
ずれないように
歪まないように
一針一針
ゆっくりと
ただまっすぐに縫いたいだけ
私の心の裏側に
注意深く
ちくりちくりと
針を刺す
明日は真っ直ぐ ....
子狐のきょうだいが じゃれあっている
とんで
はねて
おって
にげて
まちぶせして
かみついて
雪を蹴散らし
狩る者の本能を
喰われる者の宿命を
疑似体験をしている

思い切り ....
娘は
今日も一日家にいた
年を取るのは嫌だ嫌だと言いながら
母親は水ぶくれの手で
何種類ものクリームを塗ったくっている
客の食べ残しを載せた皿を今日も洗う為
にせ鰐皮のバッグは椅子の上
 ....
横浜市戸塚区の伊太利亜料理屋で
{ルビ葡萄酒=ぶどうしゅ}を一飲みした後、トイレに入る 

  * 

薄明かりの狭い空間で 
{ルビ蔦=つた}の彫刻のからまる壁に凭れ 
鏡に映る 
 ....
鏡の前の
リクライニングに座り 
鋏を手にしたおじさんに
全てをまかせて、瞳を閉じる 

ぱさ、ぱさ、と切り落とし 
頭はだんだん軽くなる 

ぱさ、ぱさ、と切り落とし 
心はだんだ ....
 
凍えた体を温めてくれと願ったのは、あたいの罪
躊躇なく温めてくれたのは、あなたの罪

そんな罪を、微妙なあたいたちは愛とよんだ


 
小路の角を曲がると
家並みの
屋根の傾きの下で
格子戸が眼をつむっている

晴れても明るくならない
印画の街
軒と軒とが接するように
建てこんでいる

植物は軒下におかれた
盆栽 ....
この曲は アフロ・キューバンのリズムで
と 演奏の方の解説を聞き 苦笑

アフロ・キューバと 聞き間違えて
詩にまでしてしまった 
でもアフリカのリズムである事はあっている
いや別に 勝気 ....
おそらく僕の知らない
無数のははがいたのだろうと思う

まあ今も昔も聞いたってこたえないだろうが

母の遺品を整理している

書道用具

浦和のなんとか堂とかいうところで購入した
 ....
{引用=

閉ざされた
雪夜には
きまって本の中の
物語りへ
旅に出る
いつもそこには、
長い一本のレ‐ルが、
旅人の平衡を もとめ
走る
私は、一輪車の列車の
乗客
文字の ....
早朝の散歩で 
ふと、こちらに合図した 
草の露に宿るひと粒の太陽 

それがこころの鏡なら 
一体どんな思いを
反射して 
私は歩いてゆくだろう―― 
今日も少女は古着姿で 
脇に小さい黒板を抱え 
貧しい{ルビ童子=わらべ}等の集う学校へ続く 
土の道をゆくだろう 

今年も一年、この黒板に 
どれほど白いチョークの文字が 
書かれて ....
波打ち際で過ごした時間はメロディー
生まれ育った小さなこの街で 
今も生きている大切な記憶

あの日の約束は 
透き通ったまま心にある
星空と潮の香りは 
忘れかけた想いに寄 ....
        流れ星をみつけては
        「る」とちいさく声にする
        さむさにふるえ
        さいごの一文字ばかり
        くりかえし、 ....
詩は傷みです
あなたとわたしの間で
血が流れるように
空白を引き裂いた文字です

詩は苦しみです
あなたとわたしが共に
吐き続けたように
空白に汚れたままに散らかした ....
1.ゆきんこちゃん


段ボールに書かれた 真っ赤に書かれたクレヨンの暖炉の炎には 
ぱちぱちと
もえる友情が燃えていた
おともだちの ゆきんこちゃんは 五年生で
なふだにも  ....
靴底を裏返してみる
均等に減っている
癖のない人が
うらやましい
愛用すればするほど
そこに紛れもない自分の足跡が刻まれる

靴底なんてどうでもいいぢぁありませぬか
それでもうらやんで ....
シュウシュウとやさしげな音がして
白い息
スチームアイロンにしわをのばされて
白いシャツ
出来立てみたいに ほんのりあたたかい

いくども
生まれ変われる
そんなことが幻想だと
わか ....
今宵は 天空の星々の祭典
光年の彼方で 流星たちは 
煌く矢となり 地上に降り注ぐ

宇宙は あまりにも無限で 
人類の知己では 推し量れない
その神秘を 解き明かしたい

いつかあ ....
冬の夜

出せもしない 恋文をしたためて

スキデス アイシテイマス

どれも違う

そうじゃない

ただ

胸のまんなかに まぁるく空いた穴

そこに

あなたが ぬ ....
わたしはねこ
あなたの脇のした 或いは
ストーブと向きあって 眠りたい

わたしは陽だまり
あなたが苦しくなったとき
そっと寄り添わせてほしい

わたしは鳩
平和なん ....
世の中ザラザラしている
そうは思いませんか

{ルビ肌理=きめ}が粗くなった
そうは思いませんか

優しい親は珍しく
子供は大抵怯えてる

賢い教師も見当たらず
子供は大抵迷ってる ....
夏美かをるさんの自由詩おすすめリスト(7356)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
手のひら。- 元親 ミ ...自由詩1112-12-18
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さみしい関係- 川上凌自由詩12*12-12-13
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