すべてのおすすめ
飲み干したコーラの瓶に
ロケット花火を立てて火をつける
爆発したらどうしよう
私は怖かったけれど
夏のあんちゃんは張り切っていて
怖いとは言い出せず
耳をふさいだ
そのいくつかは
湿気 ....
きみの手を想う
華奢でちょっと小さめだった
骨折して松山の病院へいっしょに行ったときも
きみの身体の一部が壊れたことに
かなしみを覚えていた
きみの替わりに朝
新聞配達をやった
....
尾鰭も背鰭もない者だから
スクラップブックから拾ってきました
この気怠さの海を泳ぐ
艶めかしい夏の生き物たちを横目に
白い爪痕も心地よい
日焼けした空をまる齧りにします
スイカ ....
<カレンダ・メッセージ>
十一か月前に
落書きしたのは
十二月のカレンダの裏へ
何と書いたか
思い出せずに
痛痒の中で
きみと過ごす一年の終わり。
....
何度、心から良い人になろうとしたか
ちゃんと話を聞こうとしたか解らないのに
カスだからかな スカスカに ぬけてしまう
重い漬物石のような思い おなさいころからの
もっとも親しい人たちから ....
その人は大きく息をついて、腰を下ろした
――これは、何段あるんですかね…
――二百八十七段です、どちらからですか?
――高知です
――遠いですねぇ…僕は横浜です
傍らに、古びたリュックが ....
{ルビ久遠寺=くおんじ}の山門を潜り
巨きい杉木立の間に敷かれる
荒い石畳の道を抜けて
前方に現れる
天まで続く梯子のような
二百八十七の石段
緑の山の何処からか鳴り響く
{ルビ団扇 ....
高齢者マークとは失礼な
クローバーが外来種だとしても
要注意外来生物と人は呼ばない
乙女の多くが口をふさがれ
足に枷を掛けられていた時代
定型からはみ出した四つ葉は
王子に見初めら ....
やがて夕闇は
音もなく
グラスの底に流れこみ
溢れ
私の手首をつたい肘から
滴り落ちて
螺旋階段の手摺りを濡らし
滑り落ち
白い
石畳を徐々に浸食しながら坂道をゆっくりと
流れ
....
立脚点
あふれる
おもいを
言葉に託し
いますぐ
誰かと共有したい
心の忙しい人もいるでしょう
ひとり
友達も見つからないまま
静かに
書き留めた
自分の言葉
....
言葉を持たない
ほどけゆくはなびらに顔を寄せる
月曜日のこんにちはが
金曜にはさようならになって
まだ夏は来ないというのに
固い棘に触れた
わたしの指先に
染みのような血だけを残して
....
庭の片隅で子供がじゃんけん
勝った手で円を描く
ここはぼくの陣地
庭の柿の木に
猫が爪痕つける
ここはワタシの陣地
庭木にさした蜜柑
メジロを追い払ってヒヨドリがつつく
こ ....
透明な大気に満たされていた
谷あいの小さな あの村に
あたしの夏は いつも帰っていった
斜面のトマト畑で 見上げた空に
悲しみはなかった 日暮れの蜩の声にさえ
秘かに憧れていた ....
義姉の手を握った
痛くない程度に強く
妻以外の女性の手を握ったのはいつ以来か
兄と義姉が結婚したとき
わたしは高校生だった
男二人兄弟だったから
「{ルビ義姉=ねえ}さん」と呼ぶのも恥ずか ....
空を目指していた筈の
こころの滴が山の頂きにぶつかり、
雨となって地上に降り注ぐ
雨は山肌を通して幾筋もの小さな流れとなり
あるものは地中で濾過され清烈な泉となって地上に現 ....
土産店で買った小鳥のおもちゃは
出来は良くないものの軽快に飛びそうに思えました
不器用ではありますが羽ばたいたのです
ただ天をさしてではなく
いまは誰かが踏んづけたのかもしれませんが
....
蜜を集めるわたしの行為が
花粉運びとなり
種作りの媒体になっているとしても
それは花の世界のこと
野菜を作る人間は
花粉の運び屋に雇いたいらしく
蜜を商売にする人間は
蜜の収集労 ....
夢の中のように
重い スローモーション
息も絶え絶えの
全力疾走
お父さん
飛び立ちたいですか
長すぎる
父の滑走路
祖父は腕に蚊が止まると
自分の血を暫く吸わせ
ふっと息を吹き掛けて逃がす ....
見えている未来に うんざりし
見えない未来に 不安を覚える
どちらも本当ではないのにね
僻み根性のかけらも持っていない人の
笑顔はほんとに美しい
心まで透き通ってみえるよう
周りの人まで
幸せにしてしまう
あなたは日差しの中に咲く
どんな花にもよく似合う
あなたが少しも ....
『ミーハー宣言』
最近いろいろあるな
我ながら思っていた
坂本龍一氏までガンなんて
意気消沈してた
テレビを付けっぱなしにした
そうしたら閉ざされていた
感覚がよみがえった
お ....
タクが失踪した
親にも知らせず彼女ものこしたまま行方不明
刑務所から出て保護監察下ながらM工業で働いていた
将来独立するという意欲もこめて作った名刺ももらったのだが
僕が名義を貸して彼 ....
果てしない思考に明け暮れる
無為徒食の存在ではないと
間違いなく
世界に貢献しているのだともいう
だがそれは私の意志ではない
決定でもない
私の居るところに
豊かな命の繁栄があると
言 ....
薄闇の中に残された
一つの林檎から
向かい合い互いの髪を切った
鋏で剃刀で鑿で鋸で
欲深く嗜好を相手に負わせ続けた
二体の異形は言葉を上擦らす
「わたしたちは互 ....
晴れだ
汚れた車を洗おうと
バケツに水を汲み運ぶ
曲がり角で
バケツが少し回転する
バケツの小さな遠心力が手に伝わる
あっ
懐かしい感覚
身体に染み込んでいる楽しい感覚
....
月光に色彩を失った体温がナイフを研ぐ
知恵は分裂と融合を繰り返し
情欲に肥大した心が沸騰している
突出した眼が揺れて
生じた眉間の隙間にナイフが潜り込み
矛盾にゆれる知性を切り裂いていく
....
結露した鉄管を登ると
冷気の上がる自家発電の貯水層があり
ミンミンゼミは狂いながら鳴いていた
夏はけたたましく光りをふりそそぎ
僕たちはしばしの夏に溶けていた
洗濯石鹸のにおいの残るバスタオ ....
{画像=140712005301.jpg}
あれは5月の終わり
小学生のぼくは
一人で仲間から離れ
体育館の横の鉄棒の側の
紅いダリアに見入っていた
転がり ....
夜毎訪れるセピア色の光景にふと吐息を漏らす。
奪われてゆく時間の中では全ての音色が透明だ。
物語は夢と現の境を行き来して
真夜中の扉をけたたましくノックする。
頭の中から幾つ ....
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