すべてのおすすめ
泣くほどの事なのでしょう
向かいにたっている鏡に映る
ただ形でしかないものを見る
泣くほどの 事 なのでしょう
つらいからと逃げられない
逃げ切れないと 千切れて行く
いずれ 切れ切れ ....
ドアの向こうで息を殺して
貴方が眠るのを待っている
洋服ダンスに潜む
黒いマントの貴公子
蒼い月の光に
薄目を開けて
耳を欹て寝息を偽装し
貴方は待つ
さあ飲みに来て
この ....
どんな肉痛でも
どんなに抉られても
どんな裏切りでも
どんなに孤立しても
俺は息継ぎ息継ぎ生き続ける
肉の内なる霊性と
肉の外なる霊性が
出逢いスパークし
不可視響く 深い光の陰影 ....
長い雨のレースを開けて
六月の陽射しが顏を出す
反射して散らばる子供たち
ビー玉みたいに素早く駆けて
ひとり離れて
シロツメクサを編む
首の細い少年
意識されることもなく
満ち ....
本の中になんてこたえはない
だけど本屋がすきだ
本と本のあいだに
立つひと ひと ひと
あるであろう心に
さわらないように
避けてあるく
私も本になにかをさがす
枝から青くふくらんだ
健やかなる実をはずす
茶色いしみのようでいて
何かを主張している風の
そんな模様を持つ実は
捨てた
捨てたあと
なぜかもう一度この手に取り戻し
親指と人さし指 ....
遺蹟
奈良の友人の結婚式に列席したついでに
飛鳥の遺跡を畏友のK士と巡る
石舞台
酒船石
猿石
高松塚古墳
でも駅前で立ち寄ったうどん屋の
出汁がしっかりきいて品よくかるく ....
だれかが
冷たいという
雨にぬれている
だれかが
優しいという
雨にぬれている
わたしは
ひとりでぬれている
まわりには
傘をもたないいきものたちが
なにも言わずにぬれ ....
絶望のたゆたう夜空に黄緑色の言の葉は寄り添い、
音楽を友として今まさに昇天しようとする魂よ。
君のその美しい羽はなんであるか。
此岸より望む大河の流れに身を任せるのか。
ああ ....
風だけが 通り過ぎていった
時計は止まったまま ベッドの上に
白い部屋の窓辺に 深紅の薔薇が
赤い影を落とす 花瓶の陰で
黒猫が身を伏せて 狙っている午後
死んだ蜂の羽が虹 ....
願い増しては乗の極みの先端の桁の永遠
左様と云う右様と申す
ささくれ程の次元でしか世が明けない
バジャラ菱の綾取り繰り返す
司り彩る一言の宇宙の空と海
を仰ぎ仰 ....
ー「安全保障関連法案」衆院通過の日にー
医師は
腰の痛みを訴えるワタシの
積み木のような背骨のレントゲン写真見ながら言う
ここがずれていて傾く
それを正 ....
いつのまにか生まれて
今まで生きていますけど
それって自分の意思じゃないんです
なんてね
あしからあたまのさきまで
トンネルだとしたら
地球から空までつなげてるんだよ自分
こころ ....
死に化粧の父は
歌舞伎役者のように凛々しくて
酒で枯れ果てた唇が
潤っていたのを初めて視た
・
回顧する夕暮れ
鳴いている壊れた時計
線香の香りが夏の空気と合わさ ....
真夏の{ルビ陽炎=かげろう}揺れる
アスファルトの、先に
琥珀に輝く円い岩が
ひとつ、置かれている。
額の汗を拭って、歩く
旅人の姿は段々…近づき
数歩前で、立ち止まる。 ....
母さんのことを思うでしょ
するとね なぜかな
みかんを想うの
母さんはみかんは嫌いだったね
甘酸っぱいもの
みんなダメだったね
だから考えてみたのね
わかったのは
みかんはオレンジ色
....
ちいさな夜想曲を想う
ドイツの作曲家でもなく誰かの
こころはとめどなく夢をさまよう
意味もなくいきているような
きもするのだが
いつでも永遠を信じて生きていようとおもう
体はく ....
淋しさをポケットいっぱい詰め込んで
ひとりきりの夜を歩こう
いつかわたしも永遠になれるだろうか
かつてわたしが 光の一部であったように
わたしは沈黙のほうにある
とすると
沈黙は詩のほ ....
こんなひは
ひんやりとした床で
寝たふりをするより
とったばかりのいんげんと
てんぷら油の格闘に
歓声をあげてみたり
....
森の木漏れ日、揺れ
光の斑点また斑点
それぞれの陰影を穿ち浮き上がり
あちこち異様に懐かしく
輝いている
響いている
感覚、奥まり次第に消え
光あるのは私の内
響き
残響し
木霊 ....
霧が湧き 雲は下り
天と地の息吹が交わり合う
噛み合わされた大地 喃語の潤い
ぱせり ぶろっこり やまのみどり
熊や鹿が嗅ぐ土の匂いが知らしめる
地脈の辿り 遠く 深く 息みて
....
バスに乗って目を瞑ると
私の中を通過していく
一台のバスがある
開いた窓から
誰かが手を振っている
懐かしい気がして
手を振りかえすと
バスは小さな魚になり
泳いで行っ ....
こんなの詩じゃないと
お叱りを受けそうですが
まあ、いいだろう
と、寛大な心の方はご覧ください
*
小さい頃のわたしは
引っ込み思案で 恥ずかしがり屋
自分から友だちを ....
僕は体の真ん中に
時限爆弾を持っている
これお母さんも知らないんだ
いつか時間がきてしまうと
僕の胸が張り裂けて死ぬ
胸が張り裂けるような思い
とかいうけど
僕のは物理的なものな ....
旅先で
集合写真をうるひとがいる
かぞくの
こいびとの
ゆうじんの
そろったすがたを
うつしてやって金にしている
きりとられた写真は
ナニヲウツスノカ
だれもわかっちゃいない
....
溯れない川の流れに似た
時間に浸りながら
自分の座る椅子を捜し回っていた
私の片割れの具象化した腫瘍は
いつまで経っても不定形の
気味の悪い生物で
恐ろしい程脆い
その割りにはしぶとく
....
産まれた国は戦争していた
父は軍人にしようと思ったかどうか
まるまるとした数え三歳のぼく
金モールの軍服姿
腰にサーベル 右手に千歳飴
ギラギラと輝いた眼が
見ていた未来は何色だった ....
ふいに 風がカーテンをゆらし
とおいあの頃が 窓の外にある 気がした
みわたすかぎりの原っぱの向こう側には
そこなし沼に こわれかけの小舟が一双
沼を取り囲む山に続く なぞの けもの道 ....
君は今日も、渋谷ハチ公前の
路上でギターを掻き鳴らし
スクランブル交差点を行き交う
無数の靴音の、彼方には
紫色の夕空と…ひとすじの雲があり
警察に止められ、君の路上の歌声は
3曲で終 ....
150713
リサイクルゴミを夜のうちに整理する
朝、早く、食事前の忙しい時間帯に
お父さんに出してもらう
お父さんの仕事はもうそれだけの気がしたが
お父さ ....
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