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「rain」
雨、という現象が
印象派の庭です
水の詩集をさらさらとめくる雨音が
萌芽の眠りを妨げて
やわらかく湾曲してゆく
午後からのカーブを描いてゆきます
「あの人は、光 ....
最後の一歩を踏み出すとき
人は独りだ
脳髄には光が溢れ
宇宙が爆発する
生への情熱は未だ
止むことなく
眼下に広がる青い青い海原をみる
最後に眼を瞑るとき
人は独りだ
午 ....
石をつつむ
壁をつたう
伸びていく
一本の蔓は
しなやかに
陽のなかを
炎と雨と風
受け止める
一粒の豆の
一つの芽が
時の ....
何ごとも無かったように時を経て
地層の上でウニ覚醒し
人間に今日からなることができました
見た目はまだウニ顔です
脳みそはまだ柔らかくて
髪はまだ太く硬いままで
「ウニ人間」と言わ ....
緑の枝葉がやすらっている
熱風に揺らぎ艶々と
太陽は宙空で爆発を繰り返し
燦々と大地に光を注いでいる
俺はとっくに国を追われ
家来をなくし彷徨っている
光の午後を、人々にまぎれ
細切れの ....
感電間近だ もう少しなんだ 送電塔から あの娘の家まで
たゆたゆしていた ケーブルたちも 近くで見たなら 意外と無骨だ
この川の先を ぼくらは知らない あの娘も知らない 、ことすら知らない
....
○
卵を焼く、
パンを焼く、
炒飯を炒める、
返す、振る、混ぜる、
油を飛ばす、
。
シーズニング
シーズニング
鉄の、熱さよ、
○ ....
ばあちゃんたちは
生きていく生きていく
長生きは楽じゃない!もう死にたい!といいながら
生きていく生きていく
医者通いしながら
施設に通いながら
生きていく生きていく
毎日テレビを見なが ....
逸脱した想像力でかろうじていきているのかもしれない
人生にはときどき小さな推敲が必要なのかもしれない
戦いを降りた人間はミニマムのエネルギーで生命を維持する
だから村上春樹の海辺のカ ....
町の場合、建物が壊されている間だけひろがる空
があります。ふだん見えない階段に気づく空。
カーテンがぜんぶ閉まってる、生活が、こぼれ落
ちそうです。
まだらな風がながれる水をはこぶ、雨あがりの ....
あらよっとと見得を切る
まあいいかと思惑を捨てる
やにおいてはうっちゃり
何をかと睨む
えげつなき心情
かくもやましくもとほくそ笑む輩
ご同輩、ご同輩
酒飲みの席
やぶさかに付 ....
雨が降っていた
こころの雨が
青空が広がっていた
うちゅうの青空が
雨も青空も澄んでいた
異様に大きな紫陽花の花房が
熱風に揺れて光っていた
それはこころとうちゅうの境だった ....
僕はもう曲がっただけの道に
付き合うのは嫌になった
あるとき突然そうなってしまった
誰かと過ごすのが苦痛になったときと同じように
側溝にタイヤが取られたのがわかった
車が大きな手で揺 ....
ゆびとゆびを十字にからませ
空をうけとめる傘の波動
ほのおを消すたび
交差点でくるっと回った
遠くにあるように思わせて
ちょっと手をのばせば届くところに隠す
山鳥の歌声を学び
生来の ....
曇天が
肉の激痛を包み込む
濃密な青の紫陽花が
熱風に揺れている
後頭部が脈を打ち
心臓は早鐘だ
わたしの自我が震えている
わたしの自我が震えている
一段高い生を掴むため
た ....
父を思う
なぜだか
ひとりでトランペットを吹いている
音楽が好きな父は
アコーディオンを少しやっていたと聞いた
肺活量は人より多かったらしいから
ほんとうにトランペットも吹いていたかも ....
落下していく
陽の光が
雪降る宇宙に呑み込まれるとき
青い芝生の上で
独りは独りと出逢い
あなたはわたしに必要なすべて
と、かすれた声で言う
外界と遮断して
現実逃避して
正義でも
真理でもないことを
後生大事にして
下らない自称詩を書き連ねている奴らを
絶滅させるために
人生を費やすことの
無意味さに気付いたとして
それ ....
経済評論家の三橋氏の動画を見ていた
与党の有力支援団体である経団連のシンクタンクから
積極財政への大転換を促す報告書が出されたらしい
他にも与党の積極財政派の議連から真水50兆円規模の
一次補 ....
うちの猫と意思の疎通がなくて難渋している
トイレのそとにそそうはするしダイニングのテーブルで爪をとぐ
妻と意思の疎通がなくて難渋している
彼女にはトーマスマンの魔の山のような療養所が必要だ
....
酷い耳鳴りだ
眼底に激痛が走り
脳髄を直撃する
たましいは何処にも行けず
ただ曇天の光が拡散する
肉に縛り付けられ
肉に縛り付けられ
荒い息を繰り返す
暗く深い井戸の底で
わ ....
つめばりばりがついてくる
つくしてもつくしても
つれないやつがついてくる
つっついたらばつのつんつん
つつつ
よこたわるさんびきの
つんつんつん
つみぶかきつめとぎの
つめばりばりはつ ....
ぎらぎらと陽が照っている
草木が緑に燃えている
世界はゆらゆらと揺れている
折しも二匹の紋白蝶が
絡み交わり輪を描き
白々と視界を過っていく
いったい何処へ行くのだろう?
自ら描 ....
よく耳を澄まして欲しい
伝わって来る筈だ
あの人の心音が
あの人は私たちの事を
一人一人が宝の存在であると言ってくれた
何という人生への愛
私の中にあった情熱は
一瞬にして湧き上がっ ....
二〇二〇年十一月一日 「{ルビ生贄=いけにえ}の王」
『年間SF傑作選3』の6作目は、ポール・アンダースンの「{ルビ生贄=いけにえ}の王」アメリカ人側の宇宙飛行士が生き残り、敵側に捕まった。 ....
やさしい
やわらかな
音に包まれ
反復のうち
落ちてゆく
夢の底
青い波、残響する宇宙
たましいのふるさとを歓び
肉の苦痛から解放され
ただひとりに戻る
蝋燭の炎が青白く燃 ....
○「老老田植え」
今年も友人の田植えの手伝いに二日行った
今年は田植機が故障しなかったので
順調に田植えができた
しかし一年一年耕作者も
故障しやすくなっていく
来年は自分たちで植えられる ....
手押し車を押す老人
たいまつの火は燃えている
異郷のこの地にひとり立ち
遥かな地平を凝視する
わたしはふるさとを持たず
同じ道を通い帰る
痛む脳髄を密かに抱え
それは静かに歩いていく ....
こころころころこころころ
こころはころがるころころと
不思議なおにぎり食べたとたん、
こころがおちてころがって
ほっぺもおちてころがって
たくあん食べてお茶のんで
あちこち探してみたけれど ....
中新庄から
線路沿いをふざけて歩いて
「立入禁止」にラクガキしたり
熱帯夜
福井越前ハタチまえ
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