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ベジタリアンの君が
冷たい手すりにつかまっている
たった一人、チルドレンの僕は
探偵のようにネクタイを直して
今日も玩具の銃で頭を撃ち抜く
何かが叶うことを
素朴に夢見て
人間は生きている
一日一日を
地味に踏みしめてね
たった二百年も
生きれない人間なんて
太陽からみたら
それは ちっぽけだ
なんてね ....
あなたは積み上げる
与えられた積木を丹念に積み上げる
それが人生
※
親指と人差し指で作った輪の大きさぐらいな積木
いつも何かに苛立っていて
終りの無い議論を隣の積 ....
わたしは縄文の舟を漕いでいる
トチノキを刳り貫いた
粗末な舟だ
赤い犬をいっぴき乗せていた
これが最後の猟だと
わたしは思った
子どもたちは
夏の来なかった時代を知らない
もう ....
一匹のからすが
あおあお鳴いている
小さな子供が歩きながら
あおあお
あおあお
声に出して真似している
雑木林の中から
鈍く光った黒いマントが見え隠れする
前を ....
きみはいつも言葉をえんげきのようにつかうね、という言葉がとてもえんげきで、
わたしはそういう風に話すあなたのことばにこたえていたからそうなったんじゃないですかあと、い
言えなかったのたけれども、そ ....
さようならが
一斉に羽ばたく音がする
また会おうね
また連絡するね
笑顔で手を振るけれど
きっと果たされないことを
本当は
知ってる
さようならが
一斉に羽ばたく音がする ....
冬の終わりです
雪です
女を埋もらせています
深さ九十センチ
春ともなると
シャベルがやってきて
雪を掻いたり
女を掻いたり
シャベルも
女も
シャベルも
女も
みんな ....
なにごともなく
あさがくる
なにごともなく
ひるがきて
なにごともなく
サイレンがなる
またおなじあさが
やってくる
おなじひが
どこまでもつづく
....
兄さんが虹を見ている
祈るべき神を持たない僕らの祈りは
それでも決して無力ではないはずだ
兄さんの肩にオウムが止まる
救急車が静かに横切って行く
舞台
晴れやか
うなぎ晴れやか
はがねもうららか
研いだしせんに
切断されずに
ひらひら、ひらひら、
だぶるおだやか
みゃーはなごやか
からりとこけるこうせんは
宇宙からも知覚から ....
耳をすますときは
手と足が
とまる
だれにしたって表情が凝固して
仮面になる
手配写真のようにだ
音がするほうに
むける
....
この眩しい青空と比較してみる
かもめを探す
敢えて口にしない哀しみ
沖に流されては潮/騒
に引き戻され
わたしには縺れあう術がない
風またつよく、 荒い波
そして、
一 ....
{引用=
その珈琲豆は挽かないほうがいいです その鉄のにおい
そのままでいてとてもわるい
この身には
どろみず色の牛乳紅茶が
湧きつづけていてとてもわるい
ひしめく指と指の間から
....
朝露が
葉先でゆれる
あなたに
出逢えて良かったと
別れを惜しむように
きらきら
ゆれている
またいつか、は
ないけれど
またいつか、と
ほほえんで
さいごの
さいごに ....
かわろうなんて
おもわないほうがいい
ひとはうまれてしぬまで
かわっていくからだ
ゆるやかに
むりのないように
しぜんにかわるように
できているからだ
エイハブの 煮えたぎる執念はない
サンチャゴの 生業における死闘もない
ただほんの一瞬
銀色の飛沫 宙に身を躍らせた
美しい魚の姿
七色の光の欠片をまき散らし
碧き海原に滑り込んだ
海の ....
{画像=120310162519.jpg}
*
ぼくくはいつもあこがれていた
顔を上げて目を瞑れば
見えてくるものがあった
*
夜になって布団に ....
深海で気泡がひとつ
ゆらゆらと上昇してゆく
疑えばきりがないことばかりだ
海底に横たわる
屍が呟くから
ボクは
生まれてから今日までの
信じてきたものを
ひとつひとつ
数えてみる
あいちゃんのおちゃわんは
ぷらすちっくでできています
あいちゃんは
とうとうみつからなかったけれど
このおちゃわんだけは
どろのなかから
みつかったと
おばあちゃんが
はなしてくれ ....
かつて収監されていた何故
どの小鳥の羽根をもぎとった罪なのか
それとも母を殺し身内の愛を根こそぎに
うりとばしてしまった哀しみのせいなのか
外への出口は自働ドアだ
ド ....
はるにうまれたやつは
ゆめみがちなやつがおおい
かぜはつめたいのに
ひざしがあたたかくて
ゆめをみるのにもってこいなんだ
だからか
はるにうまれたむしは
ひらひらおそらをとんでい ....
旋律のない歌
死なない死刑
敵のいない戦争
死のない生
文字のない本
結審しない裁判
沈黙しかない議論
性行為のないポルノ
狂人のいない精神病棟
どれも ぼくに似ている
い ....
栞が見つからなかったので
小さな紙片を代わりに挟んだ
モノクロの海の挿絵がある頁だった
砂浜に栞が一枚うちあげられていた
巻末には幼い字で父の署名があった
{画像=120309084837.jpg}
こちらの作品は「詩誌AVENUE」様に向けて創作した短詩です。
写真は写真素材 FREE PHOTO 1.0 earlycj5 様よりお借りして ....
{画像=120309085636.jpg }
もがく
もがく
泳いでいるつもりなのに
もがいていた
救命ボートもない
....
じつと待っていた感情が対象とともにやってきてこころをつくる
こころは波うちまた対象も変化して感情も泡立つ
月夜の魚は狂おしくかつまた慌ただしく波間に飛び散る月の光を追うている
島 ....
牛乳パックで作られた船を
大事そうに
肩のあたりまで
右手でそうっとあげ
左手で船を支えながら
夜の闇を
街路灯や玄関ライトをよけ
蛇行しながらコンビニへと入っていく
クレヨンで牛 ....
今日も昨日と同じく
十万年前とも明日とも同じように生まれ出る
われわれ人類の至宝たち
と俗に言われる人類の落し物たち
あるいはユニセフのお荷物たち
我々がそうであったように
成年に達するま ....
いこう
いこうと
わたりどりがなく
そらたかく
はるのそらをわたる
いこう
いこうと
わたしにきこえる
ひとつしかない
わたりどりのことば
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