すべてのおすすめ
方程式は基本的に
恒等式だ
解を求める関係は
恒に平等なんだね
君を好きになって
結婚したけれど
僕は君とイコールじゃなかった
だけど
お互いにイコールになりたいと
....
父は厳格な農夫だった。私は子供のころから農作業を手伝っていたが、効率の悪いやり方や、やる気のない態度、失敗に対して、父から厳しい叱責を受けた。収穫された桃を運搬する際にあやまって桃を落としてし ....
あれは
花の散る音だよ
花びらの儚くはがれ
地に落ちる音
砂に擦れる骨片の
乾いた軋みのようだろう
あれは
時の流れる音だよ
流砂のさらさら崩れ行く
風と波の造る音
私の体を通 ....
会社を辞めることとなりました
ご迷惑をおかけし申し訳ありません
うなだれる青年は小さい声ではっきり言った
心の病
自殺未遂
離婚
子供との別れ
この半年間どんなこ ....
たとえばきみが何もかもを
小文字から始めてしまうひとだとしても、
両方の足を水の中に沈めて
砂の肌触りがずっと流れていく日のこと
生き物たちは、朝になれば。
とてもよく乾いたシャツの中に ....
棺桶を担ぐ役からはずされている
ある日 生まれて来て
わたしは泣いた
そして何かのきっかけで
わたしは笑うようになった
誰に教わることもなく
やがて
何かのきっかけで
わたしは少女と出会い
恋をしたのだ
誰に教 ....
しー
しーっ
ひとさしゆびをたてた
この世界のすべてに
ないしょにするみたいに
にやにや
歯列のすきまから
秘密がこぼれる
便利になりすぎて困るわ
いまは
ネットと ....
掃除を終えた綺麗な部屋に
いっぱいの日差しが入ってくる
本棚の背表紙もそろえたし
机にだって塵ひとつない
今のこの部屋には
神さまだって住めるけれど
そうするわけにもいかないし
背もたれ ....
ぼくのこころに根をはって
大きくなった老木が
公園の散歩道をゆく
墨絵のような老木から
枝が生えて
格子状に柔らかく伸びて
その先に花が咲く
躑躅の紅い花
ハナミズキの白い花
菫 ....
海がしょっぱいのは
泣き虫が残した
名残りかもしれません
当て付けかもしれません
海が青いのは
まだ幼くして
生まれ変わったものかもしれません
澄みきった空に
負けたくなかったのか ....
夜明けを失ったネオン街の
交差点
理髪店のテレビモニターにそっと映される
無人攻撃機の視線と
閃光
子供たちの 消えた道
かわいそうね
退屈な声が風に歌う
長く生きられなかっただけだよ ....
うまいこと言おうとして舌を噛む
良い句が浮かんで書けないボールペン
土曜日の朝
詩の学習会に出かける電車の中
文庫を読んでいたが 文字がぼやけて読みにくい
片目を閉じてあたりをながめ 見付けた左目の異状
会場で雑談中に報告すると
詩友はきつく念を押す
「必 ....
群衆の中を往き交う海猫達の叫びはなおも遠く、
この胸の錆び付いた音叉には共鳴しない。
道端で音楽を奏でる者たちに、路地裏の住人は白けている。
彼は言う。ペインが足りないのだ、と。
人は ....
うつむき すぎた
頭を軽くして
ゆっくり上げると
青空
今日の空は一段と青い
でも
この青さは
少し
傷にしみる
そんな気持ちを察してくれる
空は
南 ....
(傘の滴を落としながら)
そこから抜け出すためには
入口を探すしかないのですが、
誕生や死という非日常に囲まれて
小さな日常があるのですが、
強い雨の中 物質と観念をつなぐものは
....
【 人生映画館 】
白いスクリーンに
私の人生を映してみれば
どんな映画になるんだろう?
始まりは
ごく平凡な子供時代から
思春期はシャイな少女の
夢見がちな その憧れと日常
....
おおきな、まるいわのなか
みんな、そっと、ゆすられている。
河原のこいしのように。
ぶつかり合い、こすれあい
ういういしいかどが、削れ
お行儀よく、揃えられたこどもたち。
わ がただし ....
憧れは
雪にとけている
朝に降っている
布団のなかで
熱を持っている
美しい憧れに
忘れられたくない
だから秘密で
いくつも言葉を並べてる
憧れは夢に住んでいる
憧れは君が ....
宇宙との交信中酢飯の匂いしている
見知らぬ人の乳母車に座る
にわか雨が去ると
真冬の風が通りみち
樹木も人も躰を震わす
「バーイ!」
「バァーイ!」
交差点の娘たち
無敵の若さにさざめいて
もっと綺麗な明日に生きる
ヒラヒラと手を振って
ひと ....
ママは 青汁の味がする
時々は トマトジュースの味がする
ママは 玄米の芳ばしい味がする
朝食は 納豆の糸が引く
ママは ほうれん草と水菜を主食にしている
おかげさまで 7・8センチまで ....
まだ腕時計のない頃
パスカルはいつも左手首に
小さい時計をつけていたという
一枚の額縁の中の、夜
机上のランプに頬を照らされた
パスカルの肖像は
銀の時計をそうっとこちらに見せて、云う ....
葉山のCafeに入り
マンダリンオレンジジュースを頼んだ。
瓶に貼られたシールの表示は
「Prodotto in Italia」
おそらくはイタリアの地方の果樹園で
名も無い農夫に採られ ....
■蝶の羽■
蝶の羽みたいですね
音も立てずに、そばにいてくれて、
触れなければ 美しいだけの
触れたなら 砕けてしまう。
■おちこみ■
君が落ち込むのを見ても僕は落ち込 ....
鳥でなければ見たことのないはずの景色を
夢で見た
子どもの頃なら
空を慕った記憶はある
宇宙からの信号は
生まれた日から
届いていたのに
地表に張り付いたまま
私の未来は区切ら ....
ねえねえ ほんの数時間
目を離しただけだったんだよ
いつも見慣れた帰り道が 帰り道が
まるで油で揚げる前のコロッケみたいだよ
これは地球が牙をむく季節 白い牙を
きっと家では揚げたてのコロッ ....
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