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電柱の先端で
おらを見下ろし
しわがれたドラ声でわめいている
グロテスクな鴉
「半生を懺悔せよ」と言わんばかりだ
....
おまえんちで幕府開いてやろうか
北の果てのとある国 閉ざされた凍えた大地 流氷漂う暗い海峡
灯台の灯りさえ今にも夜に飲み込まれそうなそんな港街
幾人かの荒んだ風体の若者達が流行りのリズムにあわせて
からだを揺らせながら焚火 ....
なにかになる
と願いながら、
まな板の上に
かみねんどが
しろく しろく
うずくまっていて。
なに者にも
なれないままに
ただ 干乾びていく。
....
決して退屈なことではないのに
夜空の静寂は
孤独な人間の沈黙とも
全然違ったりする
恋をすることで
時間が過ぎてゆくのを忘れるとき
最近の彼女は欠伸をする
だから僕には
彼女の欠伸 ....
ある場所で
点、として生じた光りが
わずかな距離を移動して
塵となる
それを一生という
かきあつめたもの
握りしめたもの
すべて消滅してしまう
けれども
細い雨のあとの
植 ....
{引用=悪いことして、理くつくっつける人間は、用心しなきゃなんねえぞ。
理くつさこいてやってくる奴あ、用心しなきゃなんねえ。
「ひかりごけ」武田泰淳} ....
風の愛撫に
はらり ほろり
八重桜が泣いた
すらり と知らん顔
真新しい翅を輝かせ
トンボは行ってしまう
墓地への細道
静かな午後
まだずっと若かったころ
感性は魚のよう ....
空高く晴れ模様
影は濃く
潜る深い意識の世界へ
アスファルトに映る
私の影は
生き生きとしていたので
ずうっと眺める
影は何かを話したくて伝えたそうだ
....
昨日埋めたタイムカプセル掘り出している
脱ぐかといったら脱がない
深夜の湿度を保った風に揺られながら
海辺をきみと歩く
曖昧なことを
ことばで表現したがらないので
わたしの質問はいつも夜の闇に消えていく
星々だけ ....
使い古されたこたつテーブルにCDや本を平積みにして、それらのもたらす光彩に自然な無関心で向き合い、もはや暑苦しいだけで役目を終えたこたつ布団のひそかな熱に足を包んで、私はいつもの部屋にいつもの姿で座っ ....
梅雨の雨に打たれても
冷水のごとく頭を冷やしてくれるでもなく
ただじっとりと皮膚細胞の表面を融解させていくだけなので
五月雨には稀塩酸が溶けている。
猫は命が九つあるというが
命を七つく ....
夜中、雨音で目が覚める
キッチンテーブルで煙草を一本吸う
暗闇にたちのぼる煙に
一匹の黒い魚が遡ていく
勇ましいその魚影は
たぶんマラッカ海峡で
海賊たちと渡り合い
インド洋に出て行くの ....
浅い眠りから覚めて
声を聞いた
ようやく橋を渡りきったんだ
そしてあなたが待っていた
片手には宝石を
もう片手には駐車券を
その瞳にはあふれんばかりの
頑なな愛をたずさえて
溶 ....
ほどよく生きる 風にまかせて
古木のように悠然と大地に根を深くはりめぐらせて生きれたら
若木のようにしなやかにすっくりと空をめがけて伸びれたら
どんなに素敵なことだろう
でもいまの自分のう ....
ともだちが予言してた、エリちゃんは爪が割れたらAV女優なるんだよって、それ、ほんとうだった。
教室でエリちゃんの爪が割れてほんのすこし血がにじんだ、エリちゃんは痛くないですよって顔をして ....
水曜日のネコは
三日の過去と
三日の未来を従えて
アンニュイを転がしながら
モヒートを舐めている
三日の過去が未来となり
三日の未来が過去となることを
モヒートは気まぐれに教えてくれ ....
間奏まで唄うのか
似た名前のマンションが並んでいる
朝、
虹がでていたので
一応手をのばしましたが
一色すらつかめませんでした。
なので、
わたしは詩人をやめて
花になりました。
昼、
わたしは
アスファルトには咲いてやらない。
....
疲れが溜まっている
身体が重くて
写真集を見るのもしんどくなり
枕だけ取り出して
フローリングの床に直に寝る
正確には横になるだけだが
枕に顔を埋めていると
意識があるようなない ....
{引用=アースウインドアンドわしじゃ}
私の中のピッグス粒子
はブヒブヒブヒ
私の質量
とゆーより実質量を造作する
去年買った26インチが穿けない
腹を引っ込め
腰を捻じり
....
定価一万円の服を買った日
これはよそ行き様と決めて週に一度
着ることを安らぎとしている。。
○春は、リボンのカットソー
○夏は、麦わらのカンカン帽
○秋は、大判のストール ....
ほどかれなければ
ばらにもにている
そのいっぽんのひものかたまりは
かくりつてきにもひもなのに
新しい母が何度ほどいても
ぎんいろのへびにしかならなくて
それでも新しい母はぴんくのブラウス ....
また幸福の木枯らした
見えてこなかった。真っ直ぐにならなかった。シフォンケーキをつついていた。あの朝の、私の皮膚。重ねられていた。スポンジ状の襞の集合。ケーキの隣のブラックコーヒー。ただ冷めていった。渦を巻いて。あ ....
身軽に空を飛び回って
ふわりふわりと暮らすこと
ずっと夢見ていたけれど
あんまり気持ちいいものじゃないな
南の島や海の底
東京タワーのツノの上
ずっと行きたかったけれど
あんまり美し ....
簾越しに夏の太陽
舗装されていない通りの先
木造の橋をトコトコ渡る
爺一人
手ぬぐいを首に巻き
麦わら帽
やぁと挙げた掌に
いくらか赤みを帯びた顔の皺
....
どこかしらないところで
しらないだれかが
しらないことで
おこっている
どこかしらないところで
しらないだれかが
しらないことで
わらっている ....
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