ふるさと
ひだかたけし

手押し車を押す老人
たいまつの火は燃えている
異郷のこの地にひとり立ち
遥かな地平を凝視する

わたしはふるさとを持たず
同じ道を通い帰る
痛む脳髄を密かに抱え
それは静かに歩いていく

わたしの還るふるさとは
たましいの奥処に座している




自由詩 ふるさと Copyright ひだかたけし 2022-06-19 12:47:42
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