すべてのおすすめ
目玉焼きの黄身が箸から崩れ落ち
食卓からも外れて床に落ち
砕け散った
バラバラのきみを
拾い集めては捨て
床の汚れを拭い取る
そして再び橋に向い
目玉の白目だけを食べ終わると
味気ない ....
アメリカ帰りの若い女教師はあきれたように言った
「水族館の水槽を見ていた若いお母さんがね
幼稚園児くらいの子に言ったの
あのマグロ美味しそうだねって
「ぼくだって水槽の鯛や海老を旨そうだ ....
後悔しない生きかたを選んで後悔している
上に行くエレベーターじゃなかったのか
おとうさんだよ
お前の名前は
とうちゃんが付けたんだよ
「かおるようにうつくしく」と
「かおり」だと音がきついから
「かおる」なのだよ
君は母親の良く ....
土の間に爪が入るうごめきを感じるモーターの音と起動音
からなる空回り空回りと言うべきざわめき、木々でなくて
ぼくはかいつまんでいる、概略であって略歴であってそれ
は食物の腐る早さ、食物の腐る早さ ....
小六修学旅行京都八坂神社
昔ながらの雰囲気のある
土産物屋に無造作に掲げられる
最中の二文字
ひらひら軒下にゆれる
人気のなさが胸を打ちはじめる
さいちゅうって
なんのさいちゅう
....
熱血上司は耳をまっ赤にして
デイサービスのお年寄りを
皆送り終えた、スタッフの中へ
ふつふつとやって来た。
「なぜ敬老祝いの紅白まんじゅうを
○○さんに届けないいぃ…!! 」 ....
ごろごろ、ぴか、どかーん
遂に熱血上司の雷が、頭上に落ちた。
焼け焦げた姿のまま、そろ…そろり
逃げ帰ろうと思ったが
見えない糸に背中を引かれ
くるり、と引き返す。
熱 ....
空が青いから
走り出した
どこへ行くのでもなく
ただ走りたかった
なぜなら
空が青いから
天気がいいですね
きれいな庭ですね
(踊りませんか
いいえ、食事中です
目が赤いですね
ちゃんと寝てますか
(あの作戦うまくいきましたか
いいえ、忘れてました
陽が暮れて血がで ....
お釣りが出ないように払うんじゃなかった
黒板にくりかえし
書いては消されるチョークの文字を
私たちは書き写した
文字は
やがて白い粉となり
先生の足元に降り落ちた
粉となる前に
書きとめなければならなかった
この手に ....
緑の斜面で
息つぎしながら
遠くはなれて 青いしんこきゅう
くりかえすたび
さざ波
うまれては きえてゆく
五月の水際に よりそう
ゆるやかな
春の終わりを編みこ ....
愛用のマグカップは
幾歳かの誕生日プレゼント
一番多く注がれた飲み物の第一位は
きっと緑茶だろう
お水よりも?
と問われても
自信をもってそうだとは言い返せないけれ ....
黄色の帽子をかぶった一年生が
朝の登校の集団に 交じっている
今時はピンクのランドセルもあり
小さな背中一杯に背負い込んでいて
初々しさに 車を運転しながら
自然と微笑み 見ようとしたが ....
どうしても海が見たくてしかたない時は
海の すぐ傍にまで行くか
それとも
あえて離れた場所に立つ
たとえば山を削った住宅地のはずれの公園
ゆるい長い坂の上から
遠く見る海は
白い岬をした ....
せっかくの天気なのにバイクがパンク
すぐ近くのバイク屋さんにかけこむと
オートバイがたくさん詰め込まれている
車体の骨組みだけのもの
部品が飛び散ったスクーター
似たようなハンドルやライ ....
鮮やかな緑の波を揺るがして
強い風が吹き抜けて行く
その風にあおられるように
忘れていた何かが目覚めようとしている
あなたと出会ったのはこんな緑の季節でした
お互いに愛し合いながら傷 ....
静かな朝に
とおくとおく
列車の音がする
私達のあらましを
紙に綴った日
小さな子供は
おろかしい大人を
黙って観ていた
列車が走る音に
夢を重ねて
今日の朝は憂鬱だ
ぱちぱちぱちぱち
ばちばちばちばち
雨の音がだんだん強く地面を叩いている
大きな傘をさして自転車漕いで
つるつる滑るアスファルトに気をつけて
鞄はぐっしょり仕方が ....
太陽と月を結んだ線が俺座
今日が不安なのはいつものこと
ドアをあけたくない気持ちになる
雲っているから
雨がふりそうだから
制服の頃なら通じたいいわけ
もうため息はつかない
そんな約束は無効になって
背を ....
父が商人になったきっかけは
一本のから芋の蔓だったのです
長男だった私は
そんなことを弔辞で述べた
そばで母や妹たちのすすり泣きが聞こえた
その前夜
父はきれいに髭を剃ってねた
どこ ....
あれはまぼろしだった
晴れ渡った夜の空
一つみつけた美しい輝き
とても嬉しくって
毎晩窓を開けて眺めてた
あれはほかの星とは違って
あれはとっても特別で
どこが
って言えないけれども
....
{引用=
陽炎に
雪 みあげれば
あっさりと あっさりすぎるほどに
春のよそおいを見棄てる
サクラでした
生の 爛漫が閉塞と終焉のはじまりなら、
未完でありつづ ....
山奥の沢
大きな石の上に寝転がっていると
こんぽろりん
こんぽろりん
遠くの方から小さな
木琴の音色が聴こえてくる
私は少し調子の外れた
しかし心地の良いその音に導かれるように
....
羽化したばかりのモンシロチョウの
おぼつかない羽ばたきが
風にあおられ
じりじりと後ずさる濃い霧の中を
触角も羽もなく這いずる夜も
誰かの仕掛けた銀色の罠に
迂闊に絡めとられる朝も ....
空のどこかが
解けて
みずが零れる
雨
モノとコトの上に
容赦なく
みずが注がれる
雨
雨
ぬるんだ雨は
葉っぱを揺り起こし
やわらかな雨は
根っこにじ ....
{ルビ弓弦=ゆづる}が啼いている
火と風の言葉で
戦いはもう終わったと
あのひとはもう帰って来ないと
裸足で駆けてゆく濡れた樹下闇
白い裳裾を引きずりながら
胸には冷たい雫が流れ込 ....
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