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凍るかぜのなかでこの半島はぼくのなまえを呼んでいる
いとしいひびきでね
ぼくは北の国からやってきたまあほんとはプランクトンしかたべれないのだけれど
ことばの魚を追ってきたのだよ
....
月がない
言葉がない
居場所がない
いたたまれない
それはまやかし
時は熟した
歩み始めよう
恐れと共に
いつまでも
しゃがみ込んでいられない
きしむ体を動作させよう
ギ ....
さらりとした湿気
2月なのに春の匂いがする
懐かしいアイスクリンのような砂浜を
僕の手ですくって歩いた
空と海の境目なんて
とっくにきえている
僕はきみと少し
距離をとってあるい ....
にしのそらに
ばくげききがしずんでいく
まちによるを
のこして
ちきゅうのうらがわを
やきつくして
あすもまた
ばくげききが
やってくる
ねぇきみ大人なんだから
うまくかわして
うまくこなして
生きていかなきゃ
そこに甘さは
必要ない
そうだね
僕は大人になったから
つつかれないように
正しさを身につけ
食べ ....
われをわすれて
あそんでる
こどもが
こどものまま
われにかえる
どうして
あそんでるんだろう
ぼくはどこから
きたんだろう
散在する
おと、おと、おと、おと、
らせんれんさになり
からみついてくる
どんな祈りや鍵さえもねじまげて ....
ひらひらと、あたしのうろこがひかる
海の光と、空のひかりに
ひとつづつとしをとってゆくと
かたくかたくなってゆく
こころをまもってゆくんだよ
こわれないようにね
ぎ ....
左手はご不浄らしいけど
わたしって左利き
どうしよう(笑
歯を磨くのも
お箸を持つのも
字を書くのも左なんですけど
小学校のお習字の時間
せんせいから右手で書くよう指導さ ....
見えない塔のてっぺんから
見えない鐘の鳴る音がする
見えない塔には見えない人が住んでおり
少しのふこうと
少しのしあわせを
味わった
見えない塔には見えない鳥が飛んできて
よい声 ....
短歌を超える詩が、あってもいい
詩を超える短歌が、あってもいい
詩人も、歌人も夜はおなじ寝床で肌をよせあって
眠るのだとおもう
今日はもうなにも書けなくて
はやくお風呂にはいってあし ....
私が
こうして
文字を綴るのは
この
鉛筆の芯がなくなるまでのこと
あれ
もう芯がないや、と
気づいてしまうその時を
想像すると
やはり切なくなくなるけれど
きっとその朝は
....
羅針盤のない船はどこを目指しているのだろうね
まさかハッブル望遠鏡でしか覗けない120億万光年のむこうかな
たぶん神様だって行けないところだよ
でもね昨日のあの娘の笑顔が宇宙に満 ....
チョコレートを渡して
告白が出来る日が
あることを知ったのは
中学二年の時だった
愛の言葉を探しながら
一晩かけて手紙を書いて
お年玉で
14日の朝、お菓子屋さんで
高そうに見える ....
これからの時代は
中卒だけでは
仕事に就けないと
頑固で怖かった親父に諭され
反抗することもできず
集団就職の夢を
敢え無く断念した
フォークシンガーになったのは
世の中に拗ねてた ....
王国に
オカリナの音が響き
それを合図に
門が開かれました
死者にはもう悲しみはないのです
先に逝ってしまったことも
とりたてて
悲しいことではないのです
それはこの世に生きるもの ....
猛々しい
雲の峰々をぬってながれるその川に見覚えがあった
なぜか
その子に見覚えがあった
林の奥の僻地の村へは行ったことないのに
そのおさない者の笑顔に
....
いつの間にか
閉じ込められた
白い球体の中で
ごろんごろんと転がってみる
球体も一緒にくるりと回り
なんだか無性に楽しくなる
ごろん ごろん ごろーん
ごろん ごろん ごろーん
目が回 ....
夜中に目が覚めて散歩に行った
黒の画用紙に太めの半月が貼ってある
彼女はふっくらした横顔を向けてこう言った
忘れちゃだめよ あの娘はお嬢様育ちだということを
そうだった 彼女は両親からたっ ....
今日は 誕生日
浮き浮き気分で 草を抜く
誰ですか?
おばちゃんチックだって
笑うのは
耳元に 響くは
ツクツク ファイヤー
あなたが 言ったんだ
どうしたって
つくつく ....
たねは
ねむっている
どんなゆめをみているのだろう
たねが
かぜにとばされた
すこしふあんになってふりかえる
たねのきおくは
らせんのようにつながっている
たねは
たびを ....
ふたりで見た海を通る
消したい記憶を消せるほど
ぼくは澄んではいない
吹き消されない光の源
その物真似をしている
ふたりで見た海を通る
消したい記憶を消せる ....
私の頭に
時々帽子がぷらりと帰ってくるよ
遠い昔
だれかが
私の髪の毛をくしゃくしゃっと
した時の
あの切ないような感触を
私の頭は覚えているよ
みんな
自分のことだけで精一 ....
萎み始めた意識の片隅に
かろうじて立て掛けてある
ギターの絃はたぶん錆びついて
降り積もる時間に埋れている
僕の指は踊れないから
意味を探してしまうから
残念ながらギター弾きにはなれな ....
夜の通勤急行列車
ゆっくりだんだん蛇行しながら
「プシュー」と
最後に息を吐き出して一時停車
車掌さんのクネル声でどうやら信号待ち
皆も疲れて
「プシュー」と
....
まくらもとに
バケツリレーがきていた
かじは
ここですかと
わたしはねぼけて
くびをふった
それからあさまで
じゅくすいした
さくばんきんじょで
かじ ....
目を瞑っても嫌な事はそこに在る
目を瞑っても轟音からは逃れられぬように
耳を塞いでも恐ろしい事は起こっている
耳を塞いでも嗅覚は異臭をとらえるように
鼻をつまんでも根本事由はごまかせない
鼻 ....
泳げなかった
けれども
病院の先輩に誘われ
三人で行った
一頻、海に入ったりした後
浜辺で各々、勝手に休んでいたら
浜辺が騒がしくざわついている
海で溺れた人が出たのだ
状 ....
橋の下の叢に
ひっそりと落ちていた
真珠色の受話器と
捩れてしまった一本のコード
その先は川に入っていて
その更に先は
わからない
暮れ時、水面に ....
青い空を白い雲が流れて行く
さらさらと水の流れる音がする
地上から隔絶された空の楽園
ここには僕以外誰もいない
静寂と孤独だけが僕の友達
ささやかに続く平穏な日々に満足していた
あ ....
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