すべてのおすすめ
そのひとが指した
暗闇に
また星座ができる
夜空の不確かさに
うなずきながら
長い髪が揺れると
それは五等星ぐらい
小さく笑うと
三等星ぐらい
月影を手に入れるために
なにもか ....
わたしの、やわらかいところは
羊水のような液体のなかで、うかんでいる
わたしの、やわらかいところは
いつもたくさんのことで、満たされていて
それをとどめておくことに疲れると、忘れてしまう
....
いつだって瞬間を見ることが出来ない
気付いたらつんと澄まして
そ知らぬ顔で頭上を照らす
なめらかな曲線で出来た満月
夜にいるにはあでやか過ぎる
汚れることを恐れていないような
きっぱり ....
090429
バナナの実をもいで
大人たちが笑う
バナナは
食べられても
痛くない振りをしている
南国の
強烈な太陽で
鍛えられているのだ
....
{引用=
(海、について
わたしが書こうとすると決まって
おとうさん、おかあさん、砂、星、アーシュリー、を書くことになる。)}
アーシュリー、
わたしがにぎる手綱からするりとぬけだし、
....
花がいままさに
ひらかれようとしていて
うたが人知れず
うたわれていても
読みかけの本の
頁がひらかれて
そのつづきが
つづかれてある言葉が
読まれようとしていても
なおもひ ....
気付いていなかった
守られていること
包まれていること
てのひらにいること
振動を感じて見上げると
電線で翼を動かす雀
池の鯉は大きく跳ねて
しぶきをきらきらと飛ばす
特別 ....
丘陵にひかる
白い壁とガラスの
その中に彼女はいて
いつもの声色で
「やあ」とほほえむ
黒い髪に白いバラ
ブーケにはビバーナムという
時の花
“ 私に娘が生まれたら
このドレスを ....
あなたが昼寝をしてしまって
その横で
すこし
泣いてしまったことは
内緒です
夢の中へ行くあなたに
「行ってらっしゃい」を
言えるようになるまで
置いてけぼりにされたような
....
サーカスのピエロが
玉乗りをしているような
安定しない足元を懸命に
バランスを取りながら問う
上手く乗れていますか
泣きそうな顔で
周りを見渡すと
拍手が返ってくるから
....
{引用=嬰子の褥
闇のひとつ奥に蠢動する白光体がたしかにあった
血に焼かれた嬰子が視えない手のひらに止まって
私の身体に続いている
いやへその緒はぜんまい状に闇に溶けて
それはもうわ ....
焼けこげてしまいそうな 夏
小さい背中で
我慢を覚えた
春のうららかだったことも忘れて
はだしの17センチに
世のなかは わからない
雲に乗れることさえ 疑わない
小さい背中 ....
君という人間が分からない
掴めそうで掴めない君。
手を伸ばしても
あと数センチという所で
泡のように消える。
君という人間が分からない
必要とされてるのか。
され ....
蟻と会話をする少女といっても
それほど不思議な出来事ではない
むしろ日常の一部に自然と吸い込まれて
その自然ということにしっくりとくるのだった
その少女はサッカー部のマネージャーで
....
風を凌ごうと咄嗟に
破り捨てた五線譜でビバークする
知っているよ
その風の強さを
その風の冷たさを
君の涙が乾いていく
音楽の軽さ ゆるやかに
流れるように声を重ねて
君の痛み ....
人生は旅だ
旅のようなもの、ではない
人生は、間違いなく、旅だ
私たちが生まれるまえ、じぶんで買った旅なのだ
そのイメージはこうだ
私たちは生まれるまえ、お金を貯めに貯めた
そのお ....
群青をひとつ、ひとつ
飽きるまで数えてみる
雨上がりの夜
余計なものは流れてしまい
ぴんと張り詰めた大気
群青
水際を囲うように
涼やかにひらひらと
色を落とすあやめ達
群青 ....
※
ちゃぶ台をひっくり返す
それって池田屋階段落ちのカタストロフィなのか
それとも寺内貫太郎の癇癪玉が破裂したのに似ているだけなのか
亡くなった父親がちゃぶ台をひっくり返したのに一度だ ....
雨音に紛れ、扉が僅かに軋んだように思えた。
母親がこまめに掃除しているのだろう。
微かな埃と日向の匂いがする。
雨粒。雲を縫うこどもたちの声。坂道を駆ける軽い足音が風に乗り、ガラス戸を揺らす。
....
春が死んでいた
花びらもない
あたたかな光もない
ゼニゴケの群生する
庭の片隅で
地軸の傾きと公転は
果てしなく続き
生きていく、ということは
傲慢な恥ずかしさの
小さな積 ....
たとえば
私が小学生の女の子でも
あなたは愛してくれますか?
いつのまにか
ポプラ並木に新緑が色づいて
みどりの筆が並んでいます
青空の画用紙に
描いたものは
なぜか白い
飛 ....
090426
くじ運が悪い
クジを引く度に思う
どうせ当たらないのだ
すべての運は生まれるまでに使い果たしたのだと
思うことにしているが
....
十九、までは数えた
そこから先は途切れがちになった
よく躓いてしまう君の後ろで僕は
ありふれた、馴染まないままの歌を歌った
スモールタウン、僕らがかたちになりかけた頃
この腕に抱ける言葉が、 ....
風のにおいが愛の記憶を
ふいにくすぐる
手探りみたいにひろい夜を
小さなサーチライトひとつで
それぞれ欠けた月
甘く噛み砕いて
帰れない二人を残し
だんだん溶け出していく
星と街のと ....
一針
また一針
言葉の
日向と日陰を
縫い合わせる
一針
また一針
自分の
頂点と底辺を
縫い合わせる
ときどき痛くて
たびたびくすぐったくて
ちょくちょく嘘で
....
半世紀も祈り続けて
鳩が太っていく
公園の木は
故郷から引き離された子供のように
ぽつん、ぽつんと育って
生きていこうとする力に
種類なんか無くて
他人の生き様を非難できない
太っ ....
太陽のまばたきのたび
土の上の世界は
うすべにからわかくさいろに
わかくさいろから確かなみどりへ
塗り替えられて
月のためいきのたび
つゆはふくれ
つゆを舐め
くさばなは伸びをして
....
何も残せないと分かっていたとしても
踏み出すべき一歩はあるはずと
遠い雲に問いかけてみる
僕が目指すべき地はまだあるのか
戸惑いながら歩いていく
朝に夕に
呼び掛ける人の声の暖かさ ....
海の匂いがする
わたしが産まれてきた
昔の日のように
テレビの画面には
男のものとも女のものともわからない
軟らかな性器が映し出され
母は台所の方で
ピチャピチャと
夕 ....
母へと語られる
おもいは
いつもことば少なで
ずいぶんと幼い頃
学校へ行きたがらなかったわたしを
ぴしゃりとしかりつけた
あなたの手のひら
たった一度
手を上げたのはその一度
....
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