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おまえの中学時代の詩集音読してやろうか
前世がマリー・アントワネットの会
自由って
探すと自由じゃない
おふとんの中ぐらいの広さでいい
伸ばした手足が届くぐらい
それより先が未知数で
それよりうちが私の温度
自由って
想えば想うほど自由じゃない
....
眉間の裏側に
落ちてきた
朝焼けの一滴
生温かい暗闇に
暖色の地平線が
引かれていく
意識の東から
明かされる
言葉の街路
慌ててスケッチ
しようとするが
間に合 ....
種付けのために
つれてこられた済州島で
その馬は
霧雨に濡れてさみしげに
たたずんでいたという
皐月賞と日本ダービーを
勝っていた
でも隣の国に贈られた
走る仔を ....
ぽっかり浮かんだ波のうえ
海月のように漂っている僕ふわりふわり
昨日のこともわすれてふわりふわふわ
ろくでなしでふわふわきみが好き
君なしでもふわふわやっぱり君がいい
金色のお月さま ....
明け方
素になった
あしのうらが
のんびり呼吸をしていた
朝、起きて
人が再び活動を始めたときから
あしうらは忙しい
意にそまない誰かであっても
一緒に過ごさねばならない
破れか ....
灯りを消してベッドに横たわり
脳裏に
小川を流し
縁に笹の葉を茂らす
夜眠れない
苛立ちを
笹の葉にのせて
流れるにまかせる
明日の不安は
確かにあるが
それも葉にのせて
....
遠近感を失くした心に
圧し掛かるコンクリート色の空
それは浮力を相殺し
ひと気のない公園の片隅に
鳩のよう
視線は堕ちて行く
否定も肯定もしない
午後の息苦しさは
酸欠した金魚のよ ....
130514
昭和へのミニトリップに使うんだから
お客様を乗せられる
程度の良い
小型のオート三輪を調達して下さい
....
私は私を{ルビ晒=さら}すように
自らを日向に、置いてみる。
天の願いは地へ下り
自ずと夢は実るような気がしてくる
美人は飽きるよねって
この口が言うのか、え?
この口が!
あっ、ご、ごめん
鼻だったのか
間違えちゃった
なんだか
福笑いみたいな顔だな
確かに飽きないけど
うっかりしたり
どうかしていたり
つい他のことで
頭いっぱいになってたり
なんか体調でイラッとしたりして
間違ったことを言ってしまうことなんて
自分いくらでもあるんだから
他人の
....
生まれ年のワインが不味い
リモコン持たず布団に入ってしまった
毛が抜ける抜ける
ぼくちんが歩いた道には毛っ毛が落ちてる 落ちてる
よたよた歩いたフローリングは掃除機かけリング
毛が抜ける抜ける
毛っ毛が温度調整し始める
ぼくちんの体をブラッ ....
何時から皆泳げるようになったのか
すいすいすいすい
人間が横切る
何の不安もなく足が地球から離れる
風はないがもっと重苦しい流れがある
音は聞こえるのだが
ゴボゴボ空気の泡立つ音が ....
田んぼ
乾いた田んぼに水が入って
追いつけないままに去っていった
春の詩をようやく諦める
花菖蒲は元気に咲いている
紫陽花もゆっくり色づいてゆく
発芽した朝顔は満員電車みたい ....
130514
すっぽんの手下となってからは
なりふり構わず
化粧もしたことがない
眉を剃ることも
描くこともなく
石鹸で顔を洗わず
水で洗うから
生 ....
違う私になりたいなんて
思ったことは一度もない
違う私になってしまえば
たとえば
眼もくらむほどの美貌とか
今より
たぶん7センチ
すらりとのびた背筋とか
だけど
あなたに出 ....
林檎や梨が
その位置を偶然から必然へと動かすとき
その表面へ差す光は
外部に言葉を与え 内部を言葉から離した
再び
林檎や梨が
その位置を必然から偶然へと移すとき
昼の底にある闇が
....
漆黒の大サングラスをも
目深のニットキャスケットで隠し
うつむき加減の奇異なキープで
ポストに封書を投函したあなた
その後も投入口に屈み込み
二重フラップに引っかかっていないか
きちんと下 ....
カニとは言うものの
実は蜘蛛に近い
天然記念物のはずだが
タイでは
レストランのメニュー
タマゴをスプーンで
掬って食べる
だから
天然記念物ってなんだよ
よくわかんねえな
あ ....
粟立つ肌が
早く歩けと脚を鞭打つ
凍雲のすきま
十九時の満月はまだ低く
拾い損ねた人や物より
よっぽど近くにありそうだ
スピードを落とさず
曲がり角も無視して
ひたすらまっすぐ進ん ....
気難しい顔をした男が独り
横顔に夕陽を浴びて
刻まれ顔の皺の陰影
海面から反射した悪意を身に纏う
人生の黄昏時
手ぶらのまま男が独り
視線の先には水平線
海鳥の獲物を掠め取ろうと
....
夕食時って、なんて読む?
――ゆうぐれどき、
に伏せた目線を追われてしまうのは、
この睫毛が人工衛星で、軌道に乗っかるクドリャフカ(わたしたち)が、
ゆるやかに沈(し)んでいくことを知らないせ ....
目覚めはじめた街の夜を 置き去りにして
東京発二〇時三〇分 のぞみに乗り込む
この列車に乗って人はどんな望みを持つのだろう
あるいは捨てたのだろう
夜と昼の混濁したこの街は わたしに ....
月はね 二つあるのだよ
望遠鏡から離れて 自分の目で見てごらん
三日月の尖ったあごは二つに分かれているだろ
昔の人が見た乙女や兎が住んでいる月
今見る乾いた月の後ろに少しずれて
ぼくに ....
交差点で立ち止まる
君の肩に
桜の若枝が
撓垂れていた
あたらしい通学路に
あたらしい微熱が
恥しげに
淀んでいた
火葬場の匂いのこもる
鉈の重さの
春に
赤か ....
いつもヒーローのかげで彼の役回りは決まっていたんだ邪悪の仮面を纏わされてね
子煩悩な彼の私生活なんて誰も取り沙汰もしないんだね
彼の故郷は地球よりも遥かに道徳的に高次な世界善悪さえもありはしな ....
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