穀雨 (こくう)
nonya


空のどこかが
解けて
みずが零れる



モノとコトの上に
容赦なく
みずが注がれる





ぬるんだ雨は
葉っぱを揺り起こし
やわらかな雨は
根っこにじゃれつき
みどりの雨は
種に語りかけ
めぐみの雨を
人は眺めるだけ

雨に濡れなくなっても
人の内側には
雨が降っている



痛々しい記憶の欠片から
悩ましい二葉が出て
花も実もつけずに
言の葉だけを茂らせていく





抜け出せない
堂々巡りのしさくの森

青臭い言の葉を
一枚千切って
奥歯で噛み締めながら
人はめぐみの雨を
ただ眺めるだけ




自由詩 穀雨 (こくう) Copyright nonya 2013-04-28 10:25:49
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