赤いさくら
月乃助

 
陽炎に

雪 みあげれば

あっさりと あっさりすぎるほどに

春のよそおいを見棄てる

サクラでした

生の 爛漫が閉塞と終焉のはじまりなら、

未完でありつづけることを いたいほど心に願う

真実の花の色をたしかめたくて 目をとじた

満たされないことに 僕は、今日 とても懸命でした

人知れず カタカタと膝をふるわせ

時や世に 人であるという重石にあらがい

良い人のふりに 他人のために少しの涙をながす

イカサマ師さながら 自らをだまし

歴史画に名を残す嘘つきになろうと 

心をくだいてみる

常人であろうと身をけずり

つまらない明日が、憎くてたまらず

たまらず ぎくしゃくと笑顔をつくった 日 ・ 夜 

ここには、

散る花の樹陰には、いつも小さな宇宙が 真理がやどる

すべてを包みこむ罠にもにた

開示があると、それに気づいた 心象模様

人なれば

心をいやす 淡い花の色

僕は、それにだまされない けして、

踏みいる 第三反抗期 降る花の

サクラを 赤く 赤く

染めあげる







自由詩 赤いさくら Copyright 月乃助 2013-04-29 23:29:13
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