もう歩けない
って言った
しゃがんだままの
気持ちがまだあのあたりに
地球はぐるぐるまわっているのに
って
そんなふうに
知らんふり
進みつづけるって
忘れつづけるっ ....
{引用=
1
名前を忘れてしまった
町を
通り過ぎて2日
私は水を汲んだ
水の中に
幾億の雨粒
2
唇が
だんだんと開いて言葉を発見する
発芽されたばかりの種のように ....
ちいさな孤独に
ぼくのこえ、届いていますか
木琴ほどのため息に
ぼくのおおげさ、届いていますか
喜怒哀楽のない宇宙に
きみが見えなくなる魔法、ありますか
ふゆの ....
あの日の雨が
まだ降りつづけている
ぼくはきみの
短い小指を思い出し
きみは普段走り慣れた道を
はじめて走る道のように
車を飛ばしてぼくを思い出している
出口をさがし ....
オシマイにしましょう
大事だったもの全部
ゴミに出して
そこにわたしもうずくまる
収集車が来るまで
あと少し
大丈夫
オシマイ
にしましょう
とってもステキな思い出
これまでどうも ....
頬を耳をそようつのは
春の匂いのする
つめたく湿っけた風だった
ここの空から
あそこの空まで
なんの喜怒哀楽もないようだった
遠い灰色のビル
蛍光灯があか ....
言い訳のように
日は昇り
言い訳のように
日が沈む
言いたいことがあった
その日は
もうここにない
ここにはない
言い訳ばかりが
空と海の隙間
地平線で
まだ ....
梅の花が咲き始めた
彼らは驚くほど丸い
つめたい雨の降るなかで
やわさと桃色が
暗黙の春の境界を築いていく
るるるるると鳴く猫は
スプリンクラーに驚いて
もう寄り付かなくなっていた
....
うそか
ほんとか
ネズミは「根住み」なんだそうですよ
根の国
地中深く
その鳴く声もチュウ、チュウと
黄泉の国の住人
うそかほんとうか
どちらといえるようなことではないけど
....
みかんをむいて父に食べさせると
ぼくはみかんではないのに
お礼を言われた
咳をするしぐさが
父とぼくは良く似ていた
植物に無関心なところも
石鹸で洗う指先の先端の形も
他 ....
100211
ティーアールといいながら
気短なキーボードを叩く
打つのか押すのか
気軽なボードは応えない
冬の空は本格的に押し黙り
今から雪を降らせるつもり ....
いつものように射精のあと
胸にはひんやりとした粗雑
おとなしく貼りついている
心もそれに慣らされている
生きてゆくという事は
ただ生きてゆく
という事ではないの ....
同じベンチで話していたはずなのに
いつしか君は二階の窓辺に立つようになった
僕は君に逢いに窓の下へと通うようになり
見上げるかたちで君と話すようになった
やがて君は窓辺に立つこともなくなり ....
{引用=今までどうしても言葉にできなかった
いつだってそれは眩しさと悲しみのイメージで立ち表れてくるし
僕の言葉はただ、その名から溢れ出るしかないものだから
それでも今日僕は綴る
....
何もかも愛のために許せるわけもなく
あなたがつまらなさそうに出かけるのをとめることも出来ず
どっちもどっちな夜はふける
こんな風に両親だって不仲になったのじゃ と
おもいあたるふしはあった ....
六月の陽が射して
雲を払い
風は流れて
雨が上がる
濡れたままの
あなたとわたしは
ひとりと
ひとりで
ふたりだった
ふたつ並んだ足跡を
ひとつひとつ消しながら
終わ ....
あかちゃんとぬいぐるみが
丸い背中を並べて テレビを観ている写真
あなたのページに
詩と共に貼られている
今だってあざやかに
「どうしてだい?
どうして、あなたが。」
そんなふ ....
傘のない世界で
きみに傘の話をしている
小さなバス停に並ぶ他の人たちも
そぼ降る雨に濡れて
皆寒そうにしている
ぼくは傘の話をする
その機能を
その形状を
その色や柄の ....
なにをやってるんだって言われるよりも
よくできたねって言われるほうに
どきりとするようになった
ほめられていいものだろうかと思うなんて
自分ではうまくやれたって思っても
すんなり認められ ....
こんにちはさよなら きっとまた会おう
君がそれをまだ信じてるなら なんて切ない
灰色の木洩れ日 小さな湖
手を振って笑って
次はいつどこで会うかわからない それが素敵
思うようにうまく歩けな ....
電線を泣かせるのは
木枯らしだ
冬のからだの
声だ
何も掴めないのは
街路樹だ
冬のからだの
手だ
キシキシと縮こまった
エンジンを震わせて
登り坂を這っているのは
....
今日は晴れたので
君と散歩に行く
君は摂氏三度
手をつなぐと
昨日よりもあたたかい
こうしてるうちにも
春が近づいている
なるべくそのことには触れないように
君の手を握 ....
もずく酢しかない部屋できみは
なくならないもずく酢を
ただひたすら食べ続けている
そんなきみの背中を掻いてあげたいのに
きみには掻くべき背中がない
それよりも前に
ぼくは夕 ....
ピンクと灰色とブルーが混じり合って
あたりがもうすみれ色になっていた
春にちかい風が吹いた
LEDほどのつめたさが鼻を撫でた
きょうの天気がなんであったのか
わからなくな ....
朝一番に窓を開けると真っ白に吹雪いていた
時が流れるにつれて徐々に雨へと変化して
暮れる頃にはそれさえもあがっていた
駅の改札を抜けて家路につく
空には呑気に星がちらついていて
コー ....
私のおなかの上で赤鬼みたいな怖い顔をして
額の汗を拭おうともせず
力強さこそが総てと容赦ない恥骨の痛みに涙を流す
*
さきほどまでの赤鬼が嘘のような寝顔
横になって見つめれば不思 ....
1 ピアノ
誰もいない地平で
黒いこども達が踊っている
輪になって
誰もいない地平で
黒いこども達が歌っている
よその国の歌を
どこに置き忘れたのか ....
恐竜の鼻先に
トンボが一匹止まっている
それはただの偶然
恐竜はトンボを食べないし
トンボも食べられるとは思わない
わたしたちは生きていくために
必要のないことばかりして
....
プルトップにゆびをかけて
あたしのめのまえで
うれしそうにトマトジュースを開けるきみと
ちいさな破裂音と
あたしがいて
とじこめられた空気が
はじけて
で ....
白ヤギさんから届いた手紙を食べている
しかたがないので手紙を書いてしまう
という展開を知りながら
次々と届く手紙を食べている
白い糸を吐きながら
やがて後悔している
黒ヤギなど ....
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