今夜の雨は悲劇に酔っている
私だけは違うといいながら
誰もが同じように濡れている
無邪気すぎるから
傷付けられたことさえ忘れて
私だけの痛みが欲しいと
傘を風にあずける
焚き ....
小学校に行ったよ
山奥の
廃校になった
なにもかも小さくて
洗面台なんかほんと低くて
でも何でも揃ってて
まだ、ひとの気配がした
あんまり陽あたりがよくて
運動場も広いから
....
段差のない
同じような家のならぶ
団地に住む
友人の家に日曜日
遊びに行った
ちょうどお昼ごろだったので
お昼ごはんを
ごちそうになった
手作りの
パンとコロッケと
....
中学時代の恩師が猛烈に車にひかれたと聞いて、慌てて病院へ駆けつけた
3階のナースステーションを抜けて、突き当たりにある個室に先生の名があった
ノックして扉を開けると、そこには一台の車があった
長 ....
081214
今日もよく晴れている
年末不況の寒さも増して
侍といえども無役の身
30俵二人扶持の昔を偲び
忸怩たる思いを胸に
内職の傘貼り、だるま貼り ....
テレビの音が消えた時間に
アイロンをかけている
母親のすがたを見るのが好きだった
折りたたんだ洋服を
きれいに積み上げてゆく
母はやさしくて
いろんな話を聞かせてくれた
母は成人式の ....
兄によると
ボクは垣根のすみのくもの巣を
いつまでもじっと見てるような子供だったらしい
忘年会クリスマス正月となる前に
散髪を済ませておきたくて
さっき路地裏を歩いていた
....
マドンナの最新を聴いて
マドンナに似たひとを思って
そんなひと
たしかに
あいまいに
男は探している
男は開いている
だから
競べられることが多くて
....
開いたノートをじっと見つめて
思いついた幾つかの単語を
暫く睨みつけていたけれど
繋ぐ言葉など一つも思いつかずに
ただの愚痴でページが埋まっていく
休みが取れないとか
出会いがまるで無 ....
ムーミン谷に不眠症はない
眠れなくても誰も困らないから
ムーミンママは
もし眠れなかったら台所の整理
夜出てくるトロールたちに
小さなお菓子をこさえてくれたり
あたたかい飲み物をくれた ....
舞う、
それは、かすかに穏やかで
重力と風をさらう
そして、アスファルトへと帰るまで
溶けては消え、溶けては、
あたりは、
そうそうと時をつなげている、師走
風を分けて走 ....
体の奥深く生まれた言葉は
喉の狭い部分を通り抜けるとき
どうしてもバラバラになってしまう
だから舌先で整えて
元の形に戻そうとする
欠けたパーツも見つからないまま
伝えるんじゃなく ....
あ、
雨の夕刻は
アスファルト状の黒いノートにおいて
ひとつぶ、ひとつぶ、別々の
無数の濁点だ、
*
雨滴、
雨滴、
黒く
滲んで
広いひとつの痣として ....
みんなにせめられている
ふつうなら
今にも泣いてしまいそうな
そんな君に
気のきいた言葉のひとつやふたつ
かけてあげられたのに
他人なら
他人だったなら
そんなもの
どうだ ....
恋も夢も
日々の仕事も・・・
最後には
「自分の生き様」
だけが
一冊の本の
序章から終章を貫く
魂の矢となり
ひとすじの軌跡を遺すだろう
開いた頁の上にいつ ....
神さまからひとつだけ願いを叶えてあげる
と言われたので
幸せになりたいとお願いしてみた
神さまはふむふむと頷いて
では、早速明日から叶えてあげよう
と言ってくれた
期待に胸膨ら ....
わたしを
引き寄せた、その腕は
力強く
ふるえて
泣いた
産まれたのだ
けたたましい、君の産声に包まれながら
手のひらによせてくる、鼓動
二重螺旋のかなしみが
わたしのからだ ....
ピーマンになって
人生を振り返ってみたけれど
からっぽだから
何も思いだせない
生まれた家のことも
父と母がいたことも
きょうだいがいたことも
結婚したのに
好きな人がいたこ ....
パンジー (ものおもい)
青空の端にぼんやり頬杖をついて
ほつれた飛行機雲を指先で丸めながら
色とりどりの想いを散らかしっぱなし
冬風が口笛で呼んでも君はうわの空
....
優しさの前に立ったとき
どうしようもなく
人見知りをしてしまう
なかなか差し出せない手を
ぎゅっと握って
その手のひらは
汗だくになってしまう
嬉しさの前に立ったとき
どうしよ ....
乾いた空を見あげて泣いていると
(おとうさん
(あんまりやさしい気持ちになると
(涙がでたくなるんだよ
という
疲れたときは
ふうせんかずらの種をあげる
それから
ビールを買ってあ ....
本が十四冊ある
一冊目はこんなに厚いのに
十四冊目はこんなにも薄い
空白のページがたくさんある
行間を読む
なんて言うけれど
読むことさえ困難な
その空白に
息子が落書きをは ....
闇の随にGet It On 髪をかきあげ さぁ行こう
先頭に立つ超百鬼夜行 妖気溢れて しゃなりしゃなり
異類異形の大魔神 束ね 艶やかに列島縦断Delight Night
脳内の映像 ....
1ページ目にあったのは
ぐちゃぐちゃの字で書いた目次で
そのページの下の方には
同じような字で「見るな!」と書いてあった
そういえば、もっと小さい頃は
この自分の字に怯えていたこ ....
灰とむらさき
雨の上の火
かわいた光
海と曇
午後の髪
見つめる目
はざまの冬
まばたきの子
すぎさる たなびく
包み紙の旗
変わりつづける
足跡に降る
置 ....
露に濡れた車の窓に
髪のあとがうっすらとあって
遠くもない思い出をちくちく突く
真冬の明け方は思いの外冷えもせず
終わると思った恋は終わりもせず
まだ暗い南の空にカラス座
不幸のヒロイ ....
僕から君へ
それは届かないかもしれないけれど
届いてしまったなら
ごめんなさい
僕は
それが届いてしまった
世界であやまってばかりいた
ねえ、おかあさん
ここはどこなんだ ....
君のことを描くたびに
ひとつずつ言葉を失っていった
すっかり軽くなった水彩箱には
たったひとつの「ありがとう」が
隅にこびりついて震えている
―――ありがとう。
それだけで ....
滴り落ちる鍾乳石の響きのように 光は触れ、惑わす
耳を澄まし気付くまえに 耳を澄ますよう気付かせる
それがやって来たとき
わたしたちのつたないじゃれあいを
ペテュニアやら杏、ソシュールやらで ....
あんなに荒れ狂っていた
場所
砂が乾いてゆく
反転し
苦しく水を蹴った足の記憶のまま、踏みしめる
砂にはわたしの
しずかな歩みだけが続いてゆく
高鳴り
呑みこむ夜が病いなら
....
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