恋人同士で祇園祭に行くと破局するんだって
昔からそんな噂がまことしやかに流れていた
きみからの誘いを断らなかったのは
おろしたての浴衣に袖を通したかった気持ち半分
別れたらそこまでの縁 ....
鞄と間違えて
父さんが
枕をかかえて会社に行く
目を閉じたまま
夢を見てるんだろう
父さんは
目を閉じたまま電車に乗り
目を閉じたまま
タイムカードを押す
目を閉じた ....
思い出の一つすらどこにもないからかもしれない
換気すらしていないうえに
めくってみるその単行本は汚く
雑誌は忘れ去られた時代のものだろう
どこかにむけてとにかく歩いていこうと思った
....
{引用=おまえ
なまえなんていうんだ?
わんわんしかこたえられないんなら
いぬっころでいいか?
べつにばかにしているわけじゃないんだ
ポチとかじゃありふれてるから
いがいせいをねら ....
見えない銃の見えない銃弾は
知らないうちに知らない人を撃ち続ける
見えない銃に撃たれたことのない人などほとんどいない
誰しもが一度は撃たれ、そのことに気付かず平然と過ごしている
見えない銃弾は ....
海が
最後の一滴が
空を映した自在の青が
私は
今
消えるのをみた
ささくれた
広い砂漠だ
私は
確かに思う
そうか
私の心は
こんなにも
砂漠だったのだ
それを
満 ....
{引用=あなたをずっと待っている}
月がたとえば
落ちてもあり余るほど
たくさんの数 あれば
そんなに「キレイ」と
神妙にも
見上げなくなるだろう
ひとつだけ、
というもの ....
少しだけ冷たいシャワーを浴びて
乾燥したタオルで頭を拭く
拭いきれない残り水はしずくになり
首筋を伝い背骨を沿って落下してゆく
つつ、つう、つう
風ひとつないこんな夜には
....
メッセージがいっぱいになっています
この世界はメッセージがいっぱいになっています
もう留守番電話も受け付けてくれません
あなたに伝えたいことも伝えられません
伝わらないことが多すぎて ....
○コンビニで買った500円のジャンプ傘の透明の寿命はどれくらい?
傘を差しながら自転車に乗ることは犯罪になりました
だから少し歩きませんか
自転車のペダルをなだめすかして
僕はブレーキ ....
090713
ハンプティーダンプティーが屋根から転がって
芝生の上に座っているよ
猫みたいな顔しているのと
ご注進したのは
EF5861、日立 ....
ああそうだったのか
机に書かれた小さな頃の落書きに
思い出し笑いをして
俺にもこんな時期があったんだなと
不覚にも年老いた感じになっていた
家の柱につけられたせいくらべの ....
社会にでていちばん痛感したことと言えば
正しいことが絶対ではない、ということだ
清濁併せのむ、ということではない
清濁は併せのんではいけない
正しいことを振りかざしても、それが伝播しな ....
今日は
涼しくて助かる
だけど
俺には行くところがない
降る、と言っていた
雨は
どうやら
降らないようで
洗濯物は干したままでいい
だ ....
同郷の人と
東京で会った
訛りが残っていた
変わりなくて
安心した
けれどモカマタリを注文する時
様子が違っていた
また昔のように話す
しばらくして
モカマタリが運ば ....
夏が来るたびに扇風機は首を振り続ける
いつかの断り切れなかった言葉を振り切るように
ついには羽根を回す軸が歪み始めて
一人前のプロペラみたいに効果音を出している
あの夏に買った ....
よるにむかって、
てを、
のばしてみた。
誰かが迎えに来そうで、
怖い。
誰もいないことを確認して、
恐怖がつのる。
よるのくうきが、
わたしを、
引き裂きにやってくる。
....
きれいに舗装されていない夜道は
鳥目のわたしには危なっかしく
雨上がりであることも重なって
慣れた道なのにつまづいてしまう
自動販売機にコインを入れ
ミネラルウォーターのボタンを押す ....
彼女と気持ちだけ通じあって
その翌日から鳴きだした
セミが鳴いている
ぼくには妻がいる
彼女には彼がいる
宇宙のからくりのなかで
僕らは愛しあい切なくなる
....
優しげなまなざしで
君は僕についているタグを探す
僕は僕
誰にも似ていない
決して強くはないけれど
他の誰かに成り済ましていない
はやりの自然体を
君は不自然に着こなして街を ....
日記帳は三日坊主
かすれたクレヨンはもうすっかり乾ききっている
ゆったりと落ちていく夕日がやけに目にしみて
見つからないよう隠れて泣いた
ノスタルジーに心奪われる
鬼のいないかくれんぼ
透 ....
090710
幸福と叫んだら
幸福になった
そうだ
幸福だ
福だ!
福だ!
幸せを忘れた狸の群れが
子狸を探して旅に出る
物語はそのようにして ....
深夜、スタンドの灯りの下で
古書を開き、ふと顔を上げれば
暗がりから、祖母の遺影が微笑み
隣には、先月三途の川を渡って逝った
富山の伯父の葬儀に行った
お礼に贈られた
金箔 ....
「大丈夫だよ」と
いつも笑顔で言ってくれる
あなたの後ろ姿が
本当はいつも悲しい
それは
あなたの言葉を悲しく思うわたしと
あなたが抱えている悲しみのせいだと
わたしは本当に ....
090709
薄味がお好みでと
店員さんはにこにこ笑う
目の中に在るのはなんだ
酸漿を膨らましている子供たちに別れを告げて
高尾山に登る
新高 ....
いつも少し
とだけ言うから
わかってる
いつも少し
としか
かけてあげる
言葉がないのだから
それ以上は言わない
どんなに
悲しく見えても
言わないことで
....
グラスの中で
水平を保つ
still water
水平であるということは
しかし
地球の曲線の一部でもある
その先の
水平線に沈みこむ間際
昨日と今日の隔たりが
グラスの中で出会いそ ....
しあわせとは
現在に探せないものなのでしょうか
こころが不安で痺れていたとしても
しあわせは
誰にでも何処にでも存在すると思うのですが
しあわせとは
シンクロニシテ ....
七月は一艘の舟
僕らは詩の上で旅をする
オールは持たず自在にすべってゆこう
喜びも悲しみも傍らに従えて
まだ陽はあんなに高いのだから
指を浸せば波紋の向こうに
雲は流れ 陽はきらめ ....
僅かに感じる視線に
蛇に睨まれた蛙のように
小さ角においやられていった
繋いでいた手は
急に離されまた掴もうとしたけれど
追い付くことはできなかった
人は誰でも大き ....
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