絨毯に虹ができていた

ガラスのテーブルのせいだろう

この世はひかりで出来ている

否、この世はひかりで見えている

否、この世はひかりのようなもので出来ている

テーブルはガラスで出来ている

虹 ....
あのひと
どっかで
こきゅうしてる
がたがた
ふるえる
じめんの
ように
とうぜんの
こと

きのうおそうしきだったよ
おやまのふもとで
やかれたよ
こころのこりだったろうね ....
 
 
やすみなさい
明日できることは
明日の楽しみ
だから
取っておきなさい

おやすみなさい
眠る君に言う
起こさないように
明日の君の
幸せのために

今日できること ....
                       100403



表面から融けだして
底まで達すると
真っ黒な地面が現れる
雪が溶けた
春が来たと思う
草が生えて
花が咲き
枝が ....
 
 
今日はワカサギが良く売れる
いつもは店の奥まったところに並べているだけなのに
学生も社会人風の人もノートや鉛筆には目もくれない
いっしょに良い匂いのする消しゴムや
綺麗な色の蛍光ペ ....
あの小山のてっぺんの公園に
十七のぼくは二十六の女と上った
ふとくてぐねったまっ白いアスファルトの道
したで買ったハンバーガーは
チーズの足腰のない冷えた匂いと
ピクルスと湿っぽいパンの淋し ....
奥歯にものがはさまって
どうにも上手く言えそうにない
借りてきた猫は縁側でずっと
所在無げにぐるりを見渡す

小さい手がとりこぼすものは
その手につかむものの補集合
はじめからなにもない ....
夜風をぬって届かせたい夢の国の
ドアはそこにあると思う
この手に触れそうだから

春風にゆられ木にぶらさがっていたい午後の
遊覧船みたいな あやふやになりたい

星のみえない夜
月は大 ....
大丈夫だよ
すべてわかっているよ
きみの渡そうとしている箱の中身も
それについた小さなメッセージカードの言葉も
わかっているという言葉の不確かさと愛しさも
だからそんな顔しないで
外はばか ....
{引用=からだの奥から
たらたらと
わたしが滴り落ちていく
産声とともに泣いた日の
わたしの初めの一滴を含んだ雨で
シーツを洗いたい

足跡にそって
てんてんと広がった池を
みじめな ....
小学校の体育の時間に
逆上がりができなかった
隣りの席の女の子が休み時間に
鉄棒をしにいこうと誘ってくれた
ぼくらは二人で
校庭の隅に立つ鉄棒に向う
鉄棒は低いのから
順番に高くなってい ....
おびえたカラスみたいに
があがあ鳴くの
つややかな黒の羽を
ばたりばたりさせながら

いっぽんの電柱の上で
歩く人を見下ろしながら

同じカラスが
飛んできたのに
くちばしをとがら ....
{引用=

なんにもないとおもっていたあのころが
いちばん
うしなうことをこわがっていた
わたしの手に
だれかが触れる
小さなやらかい繋がりが
ほしがればほしがるほどとおくなる

 ....
それは黄昏れ時の一室                 夕、だった
蛇と蛇は見留め合い                  からまった
それは黄昏れ時の一室                 ふたり の ....
花冷えの雨はやむことがなかった

低い山にガスを這わせて

四分咲きの桜花を辱めて

花冷えの音がやむことはなかった


電車が運んでくれるそのさきに

灰の街が自意識に苛まれて ....
その日雪がふっていた
徹夜になろうかという夜だった
案外おおきくてストップモーションの
その日雪がふっていた
けぶる街で祝杯をあげていた

それは誰だ

その日雲がなくなっていた
そ ....
名前を知りません、
ごめんなさい、と言います。
花を花と言います。
しかし、君には、
きっと、それなりの名があるのでしょう。
僕は、君を表せません。
散歩をしていると、思うのです。
なんて少ない言葉で ....
いくら考えてみたって、それは
途方もなく大きな壁だし
やっぱり誰かの覗き穴なのだ


漏れてる光は淡くて黄色くて
きっと幸福を形にしたものなんだけど
爪あとに似た影も見えるね
だからき ....
 
 
鳥かごの中で
小さなキリンを飼ってる
餌は野菜だけでよいので世話が楽だし
時々きれいな声で鳴いたりもする

夕焼けを見るのが好きで
晴れた日の夕方は
日が沈むまでずっと西の空 ....
詩って???

詩人とは何?

詩人は職業ではない。
詩人とは形容詞だ。
美人と同じようなものだ。

詩人は職業ではない。
詩人とは性格である。
貧相な詩には貧相な人格が透けている ....
遠くの空は晴れているのに
郵便局から出ると
黄金の針を束ねたような
冷たい雨に打たれる

明日の天気は確認したくせに
家を出るときに傘を持ってこなかった
思えばぼくのこれまではこういうこ ....
 
 
仕事はすべて
機械がやってくれるというのに
人はまだ働こうとしている

機械に負けないように
速度ではかなわないけれど
きっと彼らは何日も寝ていない

私は今
午前なのか ....
雪の降り積む
季節の頃に
じっとつぼみを
育んできて
やわらかな光が
いま やさしく包む

きょう、桜の花が
咲きました

これからずっと
幾年も
ふたりでいつも
過ごします ....
{引用=


それは

空洞と
いう名前の

留保に過ぎないのだと

口に出していた
或る夜

人はすべて
寝静まり

ベッドの上で時間が
ぐんにゃりとする

 ....
干からびた革の装丁に
そっと手のひらを添わせ
花びらのように軽い
ページをくるわたしの内奥に
懊悩は滴る
     融点の低い金属の
自由さとまたひとつ季節を
経巡りここへたどり着いた
 ....
山の麓、谷間の果てる所に家はあり
冬場はいつも風花が舞っていた

ストーブは子供の役目で
おっかなびっくり薪を割り
煙にむせびながら火を起こし湯を沸かした

町までは午前と午後に1本ずつ ....
君と初めて会ったとき
あたしの顔を
しっかりと見つめてくれた

とても新生児とは
思えない
子供子供したまっすぐな
瞳だった

ぷにぷにの手首
やわらかいほっぺ
君は家族の中心に ....
三月の飛鳥山
王子駅から望むと
厳冬時とさほど変わらぬ
枝振りの樹々が
何の衣も纏わず
剥き出しではあるが
陽光に透けて
半月後の桜色の
淡い期待を靄のように
纏っている

穏や ....
サイトーさんの常備薬のひとつに釣り針があって
咳の止まらない日にはそれを喉に引っ掛けてミチさんを釣り上げる
ミチさんは体長数ミリの小人で
だいたい寝ている間に鼻から入ってくる
ミチさんが何 ....
私の皮膚に
とても近く触れて雨がある
どこからきたものか
わからぬ雨がある

ところで
どこからきたものか
知っている君からの便りは
私からこんなにも遠い

遠い君を想う
今 雨 ....
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