小さく咳をして
教室に吸い込まれる
革靴だけが吸い込まれずに
僕のいない廊下に取り残される

「大学の勉強などいったい何になるか」
これは本質的な問いなので歓迎されない
チョークで汚れた ....
 
 
とても広かった
世界がこんなにも
小さくなって
わたしは人の形をしている

魚になることも
鳥になることもできた
自由なこの世界で

いくつかのわたしが
はみ出してしま ....
太陽という名を持つその花は
光の輪郭を持っていて
「笑って」
と、ほほえみかけてくるのです

大切なものを失って
すべてを噛み殺して
悲しみよりも深くたたずむその人の
かすかな ....
夜汽車に揺られているということだ
どこかから離れて
どこかへ近づいていく
珈琲を飲み干しただけの私は
すでにさっきまでの場所にも居ない
どこにも居ないのに、ここにいる
誰かの居なくなったそ ....
芝生の布団に寝転がって
五月晴れの空を見上げていたら
公園一帯を包み込む大きな影
くじら雲が町を横切った



頬をくすぐる風が心地よくて
いつの間にかうとうとしてら
くじら雲が近付 ....
 
  
愛という字を
上手に書けないまま
この年齢になってしまった

心が大きくはみ出したり
小さく遠慮して
収まってしまったり

愛という字は難しい

昨日久しぶりに電話し ....
今年もまたさくらが咲く
涙を吸い上げて
また地におとす
季節はただ往くだけ
巡ると見せかけて

春は残酷なくらいやさしくて
このうえないしあわせを見せ付けながら
かなしみを呼び起こす
 ....
九十まで生きたいとか言っていた姉が
今は七十でいいみたいだ
介護を受けれるか受けれないか
ボーダーラインの老人たちの調査をするのが姉の仕事だ
老人は環境をかえるとすぐにボケてしまうらしい
だ ....
                090506


蜜柑箱の中に詰まった
蜜柑を食べ尽くした
60人が
つぎつぎと坐ったので
潰れてしまい
バラバラにされて
燃やされた
蜜柑箱の中に ....
 
 
スーパーのかたすみで
君が開発した商品が
売られている

九十八円で
売られている

定価がいくらかなんて
ここで言えやしないけれども

君はこの商品の
発売が決まっ ....
上澄みをそっとすくう
余分なものはなく
柔らかくしなやかで
手のひらからさらさらとこぼれる

太陽の光で酸素を作り
葉は濃緑を強める
表面の細い産毛には
小さな雫が張り付いている

 ....
                   090504


なつはきぬ
木綿では叱られます
正確には
木綿では嫌われます
そんなこと言って笑わせる人が居て
昔芸者だったとか
おめかけさん ....
仕事から帰ると 
三ヶ月前に世を去った祖母の 
妹のI叔母さんが 
ソファーに腰掛け 
親父とお茶を飲んでいた 

母ちゃんが 
「お茶をもう一杯・・・」 
と言うと 

I叔母さ ....
私の小鳥が死んだ
何度か獣医さんに診てもらったりしたけど
これが胸騒ぎなのだろうか
部屋の錠を開けるのももどかしく逆光に沈む鳥かごへ駆け寄れば
初夏の陽射しのなかで彼は小さな亡骸と化していた
 ....
 
 
海の向こうから
一両編成の
列車がやって来る

線路の上を
走り続けることを
あの日諦めてなければ
というような顔をしてるけど
僕はそのことについて
何一つ触れない
他 ....
求めている/
近くにあるのに遠くしている/
いつも僕の欲望のせいだ/
みんな頑張っているのに/
駄目かも知れないから/

外灯がお花畑のようだ/
ビールを飲んだのは僕だから/
きみを忘 ....
 
 
駅前で
象が似顔絵を描いてる
めずらしいので
たくさん人が集まってる
似顔絵はとても上手だけれど
鼻だけ象みたいに長いので
群集の歓声はどよめきに変わる
目から涙が零れてる
 ....
叶わなかったものを
あした、と呼ぶことにした

ガラガラで出てきた白い玉
おじさんが残念でしたとティッシュをくれた
列から離れるとラッパの音が揚々と響く
真っ赤な自転車を当てた女の子は
 ....
世界地図を定規で測ると
あなたとわたしを遠ざける
この距離は五センチにも満たない

この地球には海があって
広い広いそのどこかに
憧れているあなたの町が
浮かんでいる

上空に照らす ....
電車はもう乗り終えた
飴の袋もからっぽ
歩き出す
足元の道はごつごつしている
日の光は花や木にばかり当たっている
ような気がする
水が飲みたい
と思った矢先に
湧き水の立て札
山深く ....
本当の砂漠ではないけれど
ここに来て安らかだった

ひとはとうに滅び終わっていて
そのことを嘆いたり
悲しんだりしなくて良かった

さらさらと砂時計
言の葉の砂こぼれる

掬い上げ ....
             090430





ギョッとして振り返ると
魚の目をした人たちが
疲れた顔をして
ロムを焼いたり
ICを差し込んだり
コネクターを差したり
抜 ....
眩しいと思って見上げると
それぞれの吐き出す息が
ただよっているのだった。
たまったものを
ためられたものを
いっせいに解き放ちながら歩いている、と
どれが誰の息であったのか
わからなく ....
例えば犬や猫みたいに
せめて小さい頃の姿が
あいくるしいものだったら
愛することを知れたのに
愛されることを知れたのに

子供のころから
ずうっと考えていたこと
あたし本当は
毒なん ....
                    090430


筍は
旬に頂くのが
瑞々しくて
甘くて
テレビの中でも
ほくほくした顔の奥さんが笑う
年がら年中筍が入っているランチを食べて ....
明日晴れるなら蜃気楼をみにいこう

僕がまっている何かはまだこず
降り頻る涙の雨を浴びて

脅えながらそれでもなお

コンクリートに覆われた部屋からでずにいた

きてはかえす

 ....
初夏の風の流れかたは
グラウンド横にもえる雑木林の
緑の揺れかたであらわされるらしい
美しく思いすぎないよう
美しく思いすぎないよう
丘を登る道を歩く
ふたつ影は千鳥格子に
新緑と樹間を ....
その辺に
広がっていたはずの思い出が
重機でもって払いのけられ
作られたきれいなものを
背伸びするクレーンが
積み上げている
くりかえし
くりかえし
さびしかったり
悲しかったりした ....
             090428


面白い
そう感じたら
白い息が
霧のように現れて
風に吹かれていった
錯覚だよ
君の
幻想だよ
いつでも表現が
大袈裟だよ
おふざ ....
あなたが昼寝をしてしまって
その横で
すこし
泣いてしまったことは
内緒です


夢の中へ行くあなたに
「行ってらっしゃい」を
言えるようになるまで
置いてけぼりにされたような
 ....
kauzakさんのおすすめリスト(3469)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
五月の天使たち- 瀬崎 虎 ...自由詩7*09-5-8
明日の予定- 小川 葉自由詩2*09-5-7
ソレイユ- 夏嶋 真 ...自由詩22*09-5-7
夜汽車- たりぽん ...自由詩409-5-7
くじら雲- 1486 106自由詩3*09-5-6
愛という字- 小川 葉自由詩809-5-6
追憶の春- 八月のさ ...自由詩309-5-6
老いるということ- 吉岡ペペ ...自由詩1109-5-6
蜜柑箱- あおば自由詩5*09-5-6
- 小川 葉自由詩209-5-6
上澄み論- あ。自由詩20*09-5-5
衣擦れ- あおば自由詩8*09-5-4
「_祖母の部屋_」_- 服部 剛自由詩709-5-4
止まり木のひと- 恋月 ぴ ...自由詩22*09-5-4
大後悔時代- 小川 葉自由詩3*09-5-4
ひとはじぶんを許している- 吉岡ペペ ...自由詩509-5-2
象の出来事- 小川 葉自由詩209-5-2
その名は、あした- あ。自由詩8*09-5-2
ディスタンス・インヴィジブル- アオゾラ ...自由詩909-5-1
- ふるる自由詩31*09-5-1
砂漠の中の砂時計/残響の廃墟- 海里自由詩309-5-1
はるか- あおば自由詩6*09-4-30
眩しいため息- 岡部淳太 ...自由詩8*09-4-30
- はちはち ...自由詩8*09-4-30
- あおば自由詩2*09-4-30
風見鶏の見つめる先- こめ自由詩1009-4-30
記念写真のような- 水町綜助自由詩7*09-4-29
モンタージュ- AB(な ...自由詩209-4-29
白い息- あおば自由詩3*09-4-28
内緒ひとつ分- 小原あき自由詩13+*09-4-28

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116