すべてのおすすめ
 
 
昼休み、お弁当を開けると
中には凪いだ海があった
これはどうしたことだろう、
と電話をしても妻は出ない
それどころか、
海の中から聞き慣れた着信音がする
海が見たい、と言ってい ....
 
父が釣りをしている
何を釣っているのか聞くと
忘れたと言う
僕も隣に座って糸を垂れる
息子とよくいっしょに釣りに行ったもんだ
という話を皮切りに
父が息子の自慢を始める
小さいころ ....
 
 
身体の中に
雨が降る
雨は水になる
集めると
水になる

川の字になって寝る
真ん中は
いつも私だった

結婚し、子どもが産まれ
いつしか右端で
身体を少し曲げなが ....
 
 
今日、豆腐は
朝から不在だった
テレビの画面でも
新聞や本などの印刷物でも
その姿を見かけなかったし
豆腐、という言葉すら
出てくることはなかった

妻との他愛もない会話に ....
 
 
豆腐のプラモデルを買った
部品が全部そろっているか確認した
思ったよりもたくさんの部品があった
毎日空いた時間に少しずつ組みたてた
その間に何通かのダイレクトメールと
公共料金の ....
食卓の上に
水の入ったコップ
そのすぐ脇を
ランナーたちが走っていく

誰も水を取らないから
ここは
給水所ではないらしい

台所から夕食の支度をする
包丁の音が聞こえる

や ....
 
 
テーブルの下に
豆腐が落ちていた 
原形がわからないくらいに 
ぐちゃぐちゃに崩れていた 
世を儚んで
飛び降りたのだ
窓を開ける
初夏の風が吹いて
部屋の中を涼しくする
 ....
 
 
季節風の匂いを嗅いで
キリンは立っていました
傷を負っていましたが
綺麗事も言わずに
毅然と起立していました 
記念碑のように遠くまで見えました
切り立った崖の上
希望という ....
 
 
台所に行くと小さな深海がある
水圧で食器洗浄機が潰れている
よくあることだね
きみが見たこともない魚を
きれいに包丁でさばいている
時々あることだね
たまにあることだね
 
 ....
 
 
フェンスがどこまでも
長く続いている夏
午後、知らない所で
知っている人は逝った
乗客も乗務員も置いて
青い列車は海に向かって出発する
座席には誰かが忘れていった
大人用の眼 ....
 
 
潮風が吹くだけの頁がある
そこまで読むと
少年はいつも眠くなってしまう
少しずつ部屋に隙間ができる
西日とともに
明日、と呼ばれる不安が
部屋を満たし始める
ハエが小さな声で ....
 
 
どこかで小型犬が吠えている
真夏なのに帽子を被った女性の人が
オレンジ色の自動車を運転している
ガソリンは昨日より一リットルあたり二円安い
空は曇っている、天気予報士がしゃべったと ....
  
 
海へと下りていく小道に
一匹のセミがいた
地面にしがみつくように
じっと静かにしていた
指で摘んでも動かない
すでに命は失われていた
次から間違えないよう
ひっくり返してお ....
 
 
窓を開ける
雲が見える
昨日のことのように
上り坂を下る人がいる
解熱剤でも飲んだのか
郵便局の職員が
自転車に乗っている
 
 
 
 
植物群が眠っている
僕の知らない言葉の中で

息を吐き出すように
近所の商店街は
ゆっくりと潰れていった

帰りたい、と父が言う
他にどこに帰るの、と母が言う
帰りたい、 ....
 
 
背中が砂漠のように痒い
掻いた手を見ると
爪の間に砂が詰まっている
山高帽の男が笑いながら
建物の扉を閉める
短い一生の
一日がとても長い
 
 
 
 
手をあげる
流しのシーソーが停まる
どちらまで行かれますか?
上まで
反対側に運転手が座る
到着する
料金を支払って降りる
いくつかの用事を済ませる
再びシーソーを拾う
 ....
  
 
ビンに入ったボーキサイトの見本を
男は理科室から盗んで逃げた
俺にはアルミニウムが必要だ
俺にはアルミニウムが必要だ
何度も自分に言い聞かせ
蒸し暑い住宅街の闇を疾走する
息 ....
 
 
家族が寝静まった頃
ぼくらはそれぞれの家を出た
ぼくはミルクチョコレートを持って
きみは水筒に氷と麦茶を詰めて
二人で村田川の護岸に膝を抱えて座った
今日は手を握ろう、と思ってき ....
 
 
犬も歩けば棒に当たるそうです
眠ることが下手な人が
こっそりと教えてくれました
でも、僕は何もしてあげられません
犬が棒に当たる様子を黙って見ているか
背後にその音を聞くくらい ....
 
 
夜、起きて台所に行く
冷蔵庫を開ける
豆腐が二丁入っている
皿に豆腐をのせる
豆腐を握りつぶす
二丁ともつぶす

皿も豆腐も白いのに
皿を握りつぶすことはない
世の中の仕 ....
 
 
ゼリーでできた椅子に座る
蟻がたかる
僕はゼリーではないのに
椅子に座っているだけなのに

娘が小走りでやってくる
お薬、買って来たよ
笑いながら黄色い水薬が入った容器を見せ ....
 
 
雨戸の隙間から草の根、その蔓延る音
脊髄に住む父親の手紙には、咳の匂いが染み付いている
大文字と小文字が事細かに交差する場所の夜明け、わたしの血液中の鉄分はすべて磁石で盗まれてしまった ....
 
 
スクランブル交差点の真ん中でひとり
ちきゅうにやさしい
すき焼き・しゃぶしゃぶ食べ放題
四人様からお願いします
と店員さんには言われたけれど
自分の養わなければならない細胞の数を ....
 
 
電柱の傍らに
人が立っていた
面接官、と書かれた名札を
首からぶら下げて

前を通り過ぎようとすると
採用です
そう告げられた

面接官は去り
替わりに名札をぶら下げて ....
 
 
壁に壁の絵を描きます
そのうちにどこからどこまでが
本物の壁かわからなくなります
途方に暮れていると
ゴミ収集車が最後のゴミを積んで
走り去って行きます
わたしはあれには乗れま ....
窓辺に飾られた
一輪のチューリップが
ひとり言をしている

叶えられなかった夢について
叶えられた些細な願い事について

自分がここにあることの意味について
そしてその無意味さについて ....
 
 
国道16号線を走る

千葉44km
渋滞に巻き込まれる

千葉42km
千葉40km
ゆっくりと近づいていく

千葉30km

千葉4km
もう少しだ
そう思って ....
 
 
待合室のソファーで
男の人が傘を差していた
空が見えないから
屋根に気づかなかったのかもしれない
名前を呼ばれ
男の人が立ち上がった
傘を丁寧に閉じて
今日はひどい雨ですね、 ....
 
  
 
これから結婚について書きます。
その前に男性側の視点であることを前提としなければなりません。
何故なら私が男だからです。
女性側からの視点で書くことも不可能ではありません。
 ....
kauzakさんのたもつさんおすすめリスト(125)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
海弁- たもつ自由詩1713-3-26
正月- たもつ自由詩2313-1-3
- たもつ自由詩712-6-21
豆腐の不在- たもつ自由詩912-6-9
部品- たもつ自由詩1312-6-7
給水所- たもつ自由詩412-6-1
厚揚げ- たもつ自由詩1212-5-28
起立するキリン- たもつ自由詩812-1-6
浮上する、朝に- たもつ自由詩611-9-13
青い列車- たもつ自由詩611-9-5
潮風の頁- たもつ自由詩511-8-27
手を繋いでいる- たもつ自由詩511-8-22
夏の終わり- たもつ自由詩911-8-16
上り坂- たもつ自由詩511-7-27
帰ろうか- たもつ自由詩911-7-23
一日- たもつ自由詩511-7-12
出張- たもつ自由詩311-7-11
夏の気配- たもつ自由詩811-7-3
初恋- たもつ自由詩611-5-16
犬も歩けば棒に当たるそうです- たもつ自由詩611-5-15
深夜豆腐- たもつ自由詩811-5-2
水薬- たもつ自由詩511-4-29
夜明け- たもつ自由詩411-4-28
幹事、ひとり- たもつ自由詩511-4-25
面接- たもつ自由詩611-4-18
名前- たもつ自由詩511-4-15
チューリップ- たもつ自由詩611-4-13
目的地- たもつ自由詩411-3-4
待合- たもつ自由詩711-2-27
結婚について- たもつ自由詩2411-2-16

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