満ち足りた水盆から
たっぷりと
手のひらのうつわに水を汲み
満足しても つかの間
した した と
水は指のすき間から逃げてゆく
目の前を行き過ぎる
季節もまた
水盆から汲み上げた水 ....
テレビのスイッチを入れる
あまり偉そうにも見えない小役人な校長が
あまり反省もなく頭を下げる
気付きませんでした
とりあえずの場の空気をつくり
権力という名のワイドショ ....
自らの寂しいベールを身に纏う
今迄の自分を打ち破ろうと
夏の夜の浜辺を走る
( 遠くに若者達の花火は上がり・・・
ずぼりずぼり
足首{ルビ嵌=はま}る砂浜の
空回りをも ....
遥か昔「人は弱い時にこそ、強い」と語った
旅人の屈すること無い「精神の柱」について。
ある時彼は頭の良い哲学者に嘲笑され
ある時彼は民衆に石の霰を投げつけられ
( 人々が立ち去 ....
細い金属質の陽射しが
容赦なく肩に、腕に、
きりきりと刺さって
サンダルの真下に濃い影が宿る
忘れかけた思い出は
向日葵の未成熟な種子に包まれ
あの夏
深く青かった空は
年 ....
アナタハ ダレデスカ
身寄りも帰る場所もなく来る日も河川敷を掘じくる佐久間少年ですか
地球の汚染大気に蝕まれ余命いくばくもないメイツ星人ですか
ふたりきり
河川敷の工場跡で
下水道に住む ....
稲妻が光って轟きが来る
光った時もうその下では絶命してるんだ
じゃあ向こうから聞こえてくるのはいったい何なんだ
死んだ後に聞こえてくる音はどこから
電気の光が織り成す出来あいの世界で
....
080731
なんか単純なのだと
咲いたばかりの花が
赤色の理由を述べる
単純な色なのだと
信じる者は救われるが
足を掬われて
転ぶことも ....
村のしくみ
西の空に
捨てられた村がある
誰もがそこで
暮らすことができた
今日は村長さんの
誕生日だった
まだ生まれてなかった
+
....
真夜中に子供は眼を覚ます、
覚醒する、息を止める
父親も母親も
今日はもう眠りについていた
いつもはもっと遅くまで
呼吸を荒らげているというのに
しん、と耳の中でなにかが残るような気が ....
(1)
掛け声と干物の臭いに押し流されるようにして
昼下がりの賑やかさに身を委ねてみる
所狭しと商品の並んだ店先を覗けば
一見かと値踏みする手練の客あしらいに
思わず半歩後ろへ下がりつつ ....
音が耳に飛び込んできた
窓を開けただけですぐ
世界の動きがわかる
工事してビルを造る
飛行機の飛ぶ
車の徐行して走る
子供たちの笑う
烏の飛ぶ
自転車の走る
人々の話す
犬の吠 ....
モンゴルはウランバートルで
商用を済ませてホテルに戻る
この国の利権に群がる男たちは
みんな精力の強いイケズそうな面をしている
日本じゃいまどき見られない面だ
暗い喧騒が ....
{画像=080731005030.jpg}
夕日に浜辺で遊ぶ子供の心は
寄せては返す波の想い
波間に揺れる種子の想い
流れ
流れ
遠い国へ
流れ
辿 ....
花の都
水の都
霧の都
東の都
東京を愛することと、孤独を愛するということは
同一である
という意見に賛同しない
猫を愛することと、孤独を愛するということは
同一である
という意 ....
西の空に
家があった
東の空にあるのは
僕の家だった
さらに
その東の空には
田畑があった
こんなところに
家が建つなんて
祖母が言った
あの頃が懐かしい
....
特急の追い越しのため
列車の停車中に
駅の端では若い女の車掌が
さりげなくにこやかに
初老の車掌と交代していた
ちょうど明日を
告げようとする頃に
常夜灯の近くを飛び回る
一匹のコガネ ....
あれから2週間が経ったっていうのに
なぜいまも頭が膨れ上がってるのか
理由は自分でもわかっていて
そのうちのひとつは、トーキョー 打ち上げの席でもと子さんが話してた電車話が
私の旅路にふりかか ....
080729
川中島で、
目を覚ませ!
合い言葉は、胡瓜。
3回ほど繰り返して
黒い男が闇に消える
カラスのような目付きをした ....
生まれたときからいっしょだった
イヌが死んでしまった
老衰だった
学校から帰ってくるまでもたない
そう言われていたけれど
最期にほんの少しだけ私の目をみて
安心したのか眠るように逝った ....
吾子
あなたは ひのひかりを
いっぱいにうけた ほうせきを
おおきな はっぱのうえに みつけましたね
あなたのめは ほうせきよりも
きらきらと かがやいていました
あなたの ....
もうだいぶ短くなった青鉛筆を
今日も必死に削っている
先を細く細く尖らせなければ
気がすまないんだ
そのくせ
極度の尖端恐怖症なものだから
どれほど尖っているのか
目で見て確かめることも ....
わたしの生まれ育った村には
鮮やかな花が咲いていて
広大な田地が広がっている
野良犬がそこらじゅうにべとっと寝ていて
曖昧な微笑みを浮かべる村人と
いないはずの人たちが生きていた
たと ....
ことばは 手段
伝えるための
深夜の国道は
暗く流れて
6車線 約50メートル
渡りきるのは造作ない
遠い信号が
赤に変わった
ヘッドライトが
右へ流れた
やすやすと
....
表情がない女性だった
人よりも植物に近い
南国よりも北国の植物
針葉樹のような鋭さはなくて
維管束には冷たい水分
いや維管束すらあるかわからない
造花のような表情をしていた
これ生き ....
はす向かいの男の咳で
目をさましてしまった
となりの年寄りはまだ目をとじているので
きっと とおくに行くのだろうと思う
このまちに大きな交差点はなくて
行き交う なんていう ....
こどもができたの
と、いうと
嘘をつけ、といわれ
生まれてきたのは正真正銘
ロボットの赤ちゃん
の、はずだったのに
人間の
あなたの赤ちゃんよ
それでも
ロボットの子供にふ ....
{画像=080726153050.jpg}
手帳をいっぱい持っている。
このリングノートも扉のところに3つの住所が書いてある。
入っているカバン毎に、
引き出しから入れた雑多な順番に出て来るメ ....
南の低いところに
朱い月がまんまるく
すこし離れて花火の明滅
幼な子に花火について語る
それは物足りないリレーのようだ
ベランダから花火を見つめている
わたしの ....
汗をかいたので
洗濯して
ベランダに干す
ここは海が近いから
命の
匂いがする
書店で本を開いても
どれも白紙なので
選択は
できなかった
もう
言葉などいらな ....
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