井の中の蛙を掌にのせて
珍しそうに眺めながら
「大丈夫だよ」と彼女は
うわのそらでつぶやいた
程好いぬくもりにとろけて
居眠りしていた蛙は
「大丈夫だよ」という言葉を
うっかり「好き ....
知らないことは
罪ではない
知らないふりをするだけで
憎悪に気づかずに生きていける
わたしたちの
暮らしもあるけれど
あるいは
あった
とも言える
今あるものは
す ....
シュークリームが
雨にうたれて溶けだしている
道端のくぼみで
まつげの長い女が
バスに乗るときに落としていった
シュークリームが
溶けて流れ出している
甘い、いくつかの体液
何もか ....
ものごころがつく前は
うおごころも
みずごころも
何も分かっていなかった
世界よりも広かった
はだかんぼうの意識
ものごころがついた後は
おんなごころも
したごころも
少 ....
もう何年君のそばで本を読んでいるのだろうか?
もう何年君のそばで寝ているのだろうか?
もう何年君のそばで食事をしているのだろうか?
僕は無口になって黙々と食卓に向かう。
僕は無口になっ ....
なぜ空は
わたしを見てるの
言葉なくして
命に
なりたいみたいね
なぜわたしは
空を見てるの
言葉だけで
空が
あるみたいね
あんなに美しく
見えるか ....
やわらかな慈雨が
この岩に穴をあけたのです
どこからか種がやってき
うまい具合な風や雨や光だったのでしょう
穴から松が生えようとしています
教訓を見出だしたい訳ではありま ....
090722
皆既食が終わると
なにもすることが無くなった(笑
散髪してから
魚屋で
鰺を2匹買う
豆腐屋でお豆腐を買い
帰宅して
鰺のフライと
....
夕暮れの窓辺から
あの煙突の上に昇り
空へ吸いこまれる
煙を見ていると
昨日
頭に来た誰かの一言や
恥ずかしかった自分の姿が
いずれ何処かへ消えゆくよ ....
裏庭で夏が入道雲を浮かべている
昔ながらの夏だから雲にも貫禄が出てきた
そろそろ伸び過ぎた部分を刈らなくてはならない
夏を見るたび、思い出すことがある
昔はどこも夏しか飼わなかった
....
胃袋から絞り出したが、たいてい
気持ちのいい言葉にはならなかった、そもそも
てめえの中で渦を巻いてるものなんて
薄々は判っていたはずだった
俺が見ていたのは同じ景色
....
君は暮れ果てた記号の森ふかくで永遠と出逢うだろう
僕は知っている 泳ぐのを止めてしまった魚 そして地獄を
君は目を醒ますことなく星を抱いている 月光を 浴びながら
甘い偽 ....
雲海に月昇る
月はまるで僕等のようだ
月光が僕等に平等に降って
くまなくを満たしていた
僕等はキスを試みたけれど
太陽の下でも出来たこと
雲海に月昇る
月光が ....
きみは東京という街にやってきて
やがてセンスを身につけるだろう
流行りの服を身に纏い
流行りの帽子をかぶり
そして
流行りの店で可愛娘ちゃんと食事する
しかしだな
....
愛よ
おまえは道端の石ころみたいに
でしゃばりもせず佇んでいる
それは
太陽の光をたくさん吸い込んだ布団
使い古して先の曲がった万年筆
おどけた瞳を持った豚の貯金箱
....
くちびるに触れるか触れないか
そんな軽妙さがおとなの分別ってやつだから
コミュニケーションの難しさとか真面目に考えてはいけないよ
古きよき時代であれば
裸足では歩けないほど灼熱の砂浜で
....
薄く醒めた夜
いつも話しかけては
ほどけていくような
曖昧な痛みは
そっと舌を噛んで
気付かない振りをする
斜面は転がるために
あるのかもしれないね、と
君は云った
すで ....
猫だとばかり思っていた
真夜中の道を歩く
白いものは
風に漂うポリ袋だった
と気づくまで
ほんとうは
猫だったのかもしれない
全ては過ぎてしまった
真実のように
....
きんぎょは鉢に一匹しか飼えない
許容範囲を超えると
致し方ないね
堪え性も無いね
脳髄はみるみる溢れ出て
それはどうやら緑色なの
なの、
ごく小さい範囲の爆発でも
腕はしっかり ....
やっと唄えるようになった16人が
唄った歌は
たくさんの人に向かって
中空を漂っては消え
漂っては消えてしまうので
なかなかたくさんの人たちには届かず、
僕たちはもう一度中空に向かって唄っ ....
僕と
彼女は
横に並んで座っている
彼女の手に
もう一度触れてみようか
彼女はそ知らぬ顔で両手を隠した
交差点を
ひとつ ふたつ 通りすぎていく
貝のように閉ざされ ....
この雨は
誰の涙なのでしょう
傘もささずに
わたし
悲しいほどに
濡れてます
カミナリが紫白いろに夜を暴いて
さなぎのなかの
生物を見るような緊張を散らした
あなたのことをしばらく想う
宇宙船にのりこんだ
おおぜいのなかの二人になっていた
....
宇宙の法則
地上の法則
からくりはきっとある
からくりがきっとある
からくりを探している
この世はからくりでできている
探してどうするのか
どうもしない、好奇 ....
伝え切れない言葉が
君の瞳から溢れ出した
背中から湧き起こる
熱くて塩辛い波に巻かれて
僕は言葉を手放した
伝え切りたい言葉が
君の口元で閃いた
胸の岸辺を抉られたまま
....
七月の階段を登ってホームに出ると
七月の風にはじかれる木蓮の花
のぞき込む 流れない水
そして少女が手を振る
まるく
何ものをも拒まぬ速さで
おはよう
こないだ タケダからメール来て ....
猥雑な人の群がりを かき分けて
もう黄昏も過ぎ 日の落ちた道を
母と歩き続ける
露店の賑わいに 目を奪われながら
境内を目指し 参道を歩き続ける
子供の頃は 参ることよりも
....
朝起きて、俺
ヘビと戦った
その日はとにかくひどい洪水で
俺の大事にしていたポシェットも流され
銀行などの床も水浸しになり
家の冷蔵庫は野菜室まで水が入り込み
それでも、俺
....
090718
三日月
が
常駐!
雷注意報が
茨城県に出ている
関東地方が荒れ模様
スクールバスのエンジンを掛けて
少しだけ暖機して ....
090717
時効制度の廃止をめぐるさまざまな思考と思惑
死刑の対象となるような
強盗殺人には時効を無くす案も在るようだ
15年が25 ....
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