それは私にも心当たりのあった感情だ
若かった頃の話だ
私が何気なく褒めた曲を
疑いもせずに聞き続ける君の
ヘッドホン
無邪気に私の本当の声を
拒絶してはいないかい
....
気に入っているお店のお惣菜コーナーから
たこ焼き 十個で298円を購入する
マヨネーズ 紅しょうが つまようじ付き
大型スーパーの駐車場は広い
混み合うお店のすぐ前から ....
やらなければいけないことが
たまっている
そんな時にかぎって
思い出すことがある
親水公園からの帰りみち
あの
ふたつめの花がかわいかった
と聞こえたのだけど
あぁ
と ....
{引用=見上げた空のたかさを
とおく 感じて}
皮膚はまるで
とうめいなガラスのようだった
ふりそそぐひかりを
全身で吸収していく
こころに咲いた
まだせかいを
知ら ....
海へ行った
病気の母を連れて
もう一年も前
秋の始まり
懐かしい
海岸線
生まれた町
揺れないゆりかご
籐の編み目の
飴色の海
その色を
ずっとみていた
ゆっくりと歩いて
波 ....
つめたい湯につかる
それが
湯であった痕跡は
柔肉や
匂いで感じられる
追いだきは
追憶に似ている
それが
かつて湯であったこと
エネルギーの再現 ....
ふとく
みじかく
かがやいた
夕暮れ
海に
太陽の道が
ふとく
みじかく
かがやいた
あのひとの住む一丁目に
背を向けて
眠る習慣
隣にある二丁目が
うらやましい
私の住む三丁目は
海沿いにある
教室で
「俺、海が好きなんだ」
という会話が聞こえ
うろたえて ....
たっぷりとあふれんばかりに湛えて
こぼさないように歩く
ネットの海に棲む詩人が紡いでいる
いつまでも色褪せない
磨きこまれたナイフ
のような綴りに痺れ
少しでも掬い取ろうとつかんでも
手 ....
080610
官庁所在地
艦長不在の鬼瓦
屋根瓦に巣を掛けた
黒い目玉の黒い鳥
九官鳥と名前を付けた
カラスの勘三郎の従兄弟
カラスの真 ....
{引用=
ああ
いま
きこえるのは
銃声
の
ような
きみの声
地球が回る (slowly,slowly)
梅雨空の下 (slowly,slowly)
足取り重く ( ....
温かい日と少し寒い日が
入り乱れるようになって
太陽がある間は上着が
邪魔になってくる季節
上着はすぐに荷物になる
そでがあれば心が安らぐ
薄い長そでを着続けたいと思う
いつの間にか ....
繰り返す梅雨の憂い
水溜りに映るのは
また歪む空
さよならのかわりに
泥水を蹴り上げる
汚れても笑っていた
強くありたかった
暴れる水面に
反転する空
....
その動物園の
彼女は羊の飼育係です
ぜんぶの羊の顔を
それぞれ見分けることができる
それがひそかな自慢です
不眠症の彼女は
ベッドの中で羊を数えながら眠ります
夜の羊はなぜか
どれも同 ....
どこにいくんだろうね。わたしって。
この重々しい閉塞感はなんだろうね。
∞
びっくりするくらい簡単に。わたしたちはそこにいたね。
どうしてゆるしてしまうんだろう。何を信じてしま ....
コロコロと転がっていく
ずっとそれを眺めていた
問題なんて何もないよと
誰も口にはしなかった
そっと壊さないように
優しく拾い上げてくれたのは
伝えたい言葉をなくして
探している人だ ....
楽器を操る人から
音楽が聞こえてくる
ジャンルを語る人から
うたが聞こえない
欲しいものはなにかの名前
なんかじゃない
百科事典が世界を壊していく
たとえば民族
....
{画像=080608010301.jpg}
ああ
雨だ
初夏の
今から暑くなろうとする時の
私の心を静め
鎮め
濡らす
雨だ
初夏 ....
季節の変わり目は
こころのどこかが騒がしい
きちっと折り目のついた夏服を
着ている君はいつもと違って見えて
気持ち良さそうに風が吹いてる
話しかけたら
振り向いてくれそうな距離 ....
十七歳のわたしは
高校という檻の中から抜け出せず
今日もこうして
いましか出来ないことがあるのだと
信じていたのだけれども
一つも無いことに気付いてしまった
疑 ....
どうして僕は生きているんだろう
空はどこまで続いているんだろう
ふと見上げた果てしない空に
様々な疑問が浮かんでくる
堤防で揺れるコスモスや
水面に反射した夕陽
様々な事象 ....
郵便屋さんの原付バイクが
通り過ぎるか過ぎないかで
外に出るかどうか決めるような私です
一丁目の角を曲がると犬がいて
それがギャンギャン吠えるものだから
いまどのへんにいるのかわかります ....
四つ足のけものは
君にはみんな わんわんだ
からすはわかるのカア カア
あとはみんなこここ
音の並びと
ねえ
大好きだよって言葉を
知っているんだろうか
今日もせんせいは 嘘を ....
仕事帰りに立ち寄った
ファーストフード
若い女の店員が
次から次へと
メニューに追われ
調理に追われ
カウンター内を
ひいひいとした顔で
荒っぽく動いているのを見 ....
080606
現象を現象として現象と茄子
困ったものと訂正するのですが
次のチャンスを狙うのか
あっさりと身を引く潔さ
(あっさり富を引 ....
ありもしない
過去を記憶として
ありもしない
今を現象として
ありもしない
未来を描き尽くす
夢はありもしないのに
ありもしえたものとして
それがわたしの
世界のすべてだった
「国宝薬師寺展」の垂幕が
灰色の壁に掛かった
上野の美術館
瞳を閉じる
観音像の絵が待つ入口へ
長蛇の列は
ゆっくり進む
ぽつり ぽつり
曇り空から
降り出 ....
俺は散歩の達人になんかなりたくない
大体「散歩の達人」って何だよ?
散歩に上手も下手もないだろう
散歩にまで格差を持ち込まれたらたまったもんじゃない
上手か下手かなんか気にして散歩などしていら ....
あなたが創った
ぼくらの時計は
今日も単身赴任の
この部屋に
あなたの眠る病室に
永遠の時を
刻んでいる
電車を降りたら
小雨が降っていた
セブンイレブンで傘を買った
駅前の商店街を抜けると
道は一気に暗くなる
細い道の両側から漏れる
家々の明かりがメインで
わたしは足早に家路を急ぐ
朝
....
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