根菜を切る
すとん、と
やわらかく
響くまな板
根菜を切る
おおまかに
あたりをつけて
あとは
力を込めるだけ
そんなふうに
もう
あなたに告げるのだ
楽しかった
....
きのうの自己嫌悪が仕事をしていても
刹那刹那に貼りついていて
ひとにいつもより優しくなれていたんだ
九州一日目の夜ひとにはぐれて屋台でのんでます
きのうの自己嫌悪を受け容れるには
ホテルちかくの名 ....
自動改札機なんてまだ無い頃
駅員さんに
切符に切り込みを入れてもらう
そのタイミングを計るのに
ドキドキしていた
ちょうどよく駅員さんの前に
立ち止まることができるかどうか
改札に入 ....
抜けるような青空にはそうそう会えない
母の事を考えながらそんな事を合間に思う
父親になって思うのは
母に随分迷惑を掛けたのだと言う事
母は頼みもし無いのに鞄と人生をくれた
しかしその迷惑 ....
立ち去る君にかける言葉も無く、
立ちつくす僕は一匹の蛙だ
やっと啓蟄になったのに
気が付いた時に
桜の蕾はパンパンに膨らんで
僕らの別れを祝うように
枝は軋んでいた。
僕が声をかけ ....
なぞはすべて解ける
だが振り出しに戻っているのが気に食わない
俺は宇宙が気に食わない
人間と宇宙の関係のあり方が気に食わない
宇宙ったって
何なんだ?
星が動いてるだけだろ
ほとんどは空 ....
へえ、そうなんだぁ
今はもう小さな児童公園の近くに祠があるだけで
不忍池と同じくらいの池がここにあったなんて信じられない
畔にあった茶屋のお玉さんが身を投げたのでお玉が池と名づけられたと ....
力を抜いて、目を閉じて、部屋の天井を見上げる。
蛍光灯の光が瞼にかすかに暖かい。
冬の冷たい空気も、夏のうだるような暑さも覚えてる。
初めてこの部屋に来たときのことも。
部屋は私を守ってくれた ....
100410
青と赤
どちらがお好きと
鴎の便り
飛行機のような胴体を
すらりと滑り込ませて
人混みの中を行く
美しい人だと ....
どこか遠い国に隕石が落ちて大変だったらしい、と
地面に広げた新聞紙を父さんが読んでくれている
僕はその声を聞きながら
イカれた導力エンジンの分解に取りかかる
それはもう何十年も前の新聞 ....
つぶさに観察する 肌のふるえは
ワーグナーの夕暮 悲しいと口にせず
夜の海の不気味さ 重なっている
しのびよる闇に無限の波
新しい歌などどこにもない
はじめからあるものしかない
たぐり ....
まだ生まれてきていない言葉を探した
生まれていないのだから
つくるしかないとおもった
見上げると桜が咲いていた
お前は私のこどもではない
桜がたしかに言った
私の記憶には桜があ ....
粋狂な程に
遠くから届く音楽
小鳥はさえずり
みつごは囲む
息は白いけど
ため息は白くはならなかった
君が無くした物なら多分僕が拾って
売り捌いたかもしれませ ....
雫の滴るココロノヒカリ
波紋の静けさココロノヒカリ
ココロノヒカリココロノヒカリ
月の明かりにココロノヒカリ
戦車の音鳴るココロノヒカリ
ココロノヒカリ
....
ミニバラ、カスミソウ、トルコキキョウ
ある揺らぎが産み落とされた、
この日
このよく晴れた日をふちどる、
あざやかな
あざやかな
モノクロの葬列
/今日も大量の薬を飲む。てのひらから ....
習ったばかりのルートの記号を
少年はノートに書きました
丁寧に書いていたはずなのに
最後に記号は壊れてしまいました
わずかな隙間から覗き込むと
自分が幼少時を過ごした町の海が見え ....
またぞろ、首都に恐竜の骨が現れた。
しかも泡の抜け殻で
唸りを上げて
ブロントザウルスの首の骨は
子供達の学んだ校舎を
子供達の遊んだ公園を
今は髭の生えている
今は化粧の香 ....
君の目に写るのは
赤い満月か
蒼く光る新月か
目に写る
それは大抵見えている
目に写らない
それも
昨日わたしは恋をした
日没の背に
その向こうにある
朝の胸に ....
私は生きていく
世界でたった一人の息子を生んだから
息子という命をここに産み育てるというお仕事を
神様から頂いた
望んでも望んだ人すべてが叶う夢ではない
私はそのありがた ....
今朝よんだ本にかたいものがはさまっていて
誤ってのんだらしい
私のカラダの中を
ゆっくり ときどき急いで
まわるついでに 観察してるようだ
なんとかとりだそうと本を探してみる
巨大 ....
{引用=先生、いかがお過ごしでしょうか。
こうして便りを書くのも久しぶりですね。
思えば立ち止まって振り返る度に、
僕はこうして先生へ手紙を書いている気がします。}
あの頃、先生がいな ....
死んで焼かれて
骨だけになってみる
生きていた頃の面影は
煙と化し
白い骨が
朝日に照らされると
磨いた水晶のよう
他人の骨を混ぜてみても
誰にも分からない
骨を割っ ....
それにぼくはふたをしたのか
みてみぬふりをしたのか
きもちをコントロールしたのか
あきらめたのかわからなかった
でもいまゆめのなかで
あなたのもうひとつのなをよんで
はずかしくて
ホ ....
会社とは僕のすべて
そんな気がする ああ
将来なんて何もない けれど ただ
そこに 夢見た すべてなんだ
僕の会社はすべてだろう
ボートでどこかにこぎ出した 湖の
僕にとっての苦しみだ ....
100406
九官鳥を追い出して
家を開放しろ
神の声かと思ったら
どこかの芝居のセリフのようで
点けっぱなしのテレビが喋る
デジタルの波に ....
風と風の合間に生き
雲と雲の隙間に
自由への憧れを見出す
我は旅人
行き着く場所など何処にも無い
それでも
旅そのものを求め
手をひろげ
....
青信号で立ち止まって
傘に寄りかかる
世界中に散りばめられた人たちは
もう風景の中
私は目を閉じて、深呼吸をして
海面に落ちていく
親切にしてもらったから
ちゃんとお礼が言い ....
声が聞こえる
とても遠いところから
すぐ近くから
ここにいるよと
声が聞こえる
わたしの隣の席から
贈り物が届いている
箱を開けると
欲しかったものばかり
微 ....
はるかかなたに悲しみを見据えて
黙り込むにび色の宇宙
風がはらむものに耳を貸して
忽然と姿を消すらせんの微笑
毟り取られて憂鬱を晴らせば
秋の日のようにどこかでだれかを待つ
その背中の ....
目で探りながら
手で解ったふりをする
口で汚しておいて
肩で諦め切れない
そんな浅はかで気紛れな
自分の中の振り子を
ひとときだけ止めて
佇んでみたけれど
森の深い呼吸が
耳の後ろをくすぐるから ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116