昔の友人と長い話をした夜
帰りつきアパートのドアを開けると
一面に緑の草原が広がっていた
いつかのグラウンドのような匂いがして
至る所に
なんだかよく分からないものが転がっている
友人との ....
ここを拠点に働いていると
はじめて話をする他県の方から
かならずあのことを聞かれてしまう
住民どうしだと
傷を見てしまうのが怖くて
あのことは聞かない
はじめて話を ....
なんでジュースを作るのに
オシロイバナを使わないでこんなかたい花を使うんだろう?
公園にちょうどいたその子と私でおままごと。
てっきり花弁をつぶして色水を作ると思った私は幼心に不審に思った。 ....
090118
語感が好いからと言って
のんびりしすぎた
背伸びをしないで居たら
背中が堅くなってしまった
三重塔が美しい姿態を日に曝す
光り輝 ....
Nice to…
ああ、キン肉マンのおでこに書いてあるやつね
違ったっけ?
あなたは苦笑いしながらも頷いてみせる
完璧主義者を気取るあなただって
お母さんのお腹から出てき ....
狐火
東京タワーのライトアップのバイトは
少し怖かったけど時給の油揚は厚かった
明日は午後6時にお台場集合らしいけど
エコとか言って体よく使われてる気がする
人はあやかしなん ....
一九九五年
一月十七日五時四六分五二秒
兵庫県南部地震
後の阪神・淡路大震災発生
死者六千四三七名
負傷者四万三千七九二名
行方不明者三名
避難人数三〇万人以上
未曾有 ....
薄氷が張った空の
水色の向こうに何があるのか
私にはわからないけれど
朝、目的地の自転車置き場で
ふと、立ち止まり見上げていた
空には、肉眼で確認できないほど
かすかな穴が開いていた
誰 ....
ゼロ ワン ゼロ ワン ゼロ ワン ゼロ ワン
万物は0と1で出来ているとどこかで聴いたが信用していない。
地球が丸いのも嘘。けれど、新宿は0と1でできているのは本当。
にょきにょきと、生え ....
暫らく連絡を取っていない誰かに挨拶をするとき、
その導入をどうしようかしばしば悩むことがある。
届けようと思った言葉はパイポのように湾曲して、
伝えたいフォルムとは全く違うマチェールで描かれ
....
裏木戸が
閉じたり開いたり
冬の言葉で話してる
積もる
雪の音以外
何も聞こえない
意味の欠片さえ
さくさくと
家に帰る足音が
遠くからやってくる
もっと遠い
何処 ....
うさぎをどうやって救おう
名もなく死んでいくうさぎ
おびただしい数のうさぎ
うさぎは物音が怖いから
物音をたててはいけない
人の姿も怖いから
人の姿をしていてはいけない
そっと空気のよう ....
南国の木が立っている
わたしのように
雪国に生まれてから
ずっと
南国の木は知らない
自分が
南国の木であることを
雪国の木であると
信じている
雪国で生まれたなら
....
こどものしごとはなあ
勉強と
うちのお手伝いと
友達にやさしくすることやで
自転車のうしろの僕に
よくそう言っていた叔父は
定職につかず
まわりをいつも心配さ ....
真夏の夜の果て無い大地を
月光に照らされた細長い{ルビ蚯蚓=みみず}が
独りであることも忘れ
只 無心に這っている
それを見ていると
たとえ独りでも
この夜の向こうへ
....
空が好きという人は少なくない
「空を自由に行き来できたら」
よく聞く言葉だ
完全なる三次元を体感できる空とは
陸上という束縛からの解放を意味する存在なのかもしれない ....
雪々が
列車の屋根に降り積もると
定刻どおりに発車する
人々が乗る
列車の屋根で
雪々は
いつものあの街まで
会えただろうか
その街で
伝えるべきことは
伝えられただ ....
嗚呼とうとうなってしまった
ケータイが命の次に大事なものになってしまった
こんなはずじゃなかっただろ俺よ
俺はケータイを財布代わりなんかにはしない ケータイでテレビも見ない
そんなに依存してる ....
私たちには
自由がないから
私たちはそれぞれ
素敵なものを提出しあい
小さな箱庭を
作った
透き通る石や
カラフルな千代紙や
マフラーからほどけた
大好きな色の毛糸や
私 ....
月の出が遅くなって
月光が細く熟れはじめると
満月の熱狂が恋しく思われる
冷たい光に微熱して 謳った
銀光は金属の肌ざわりで 熔けた
この魂のざわめきが
満月の色彩は朧なグラデ ....
繰り返す波のように
朝になっては押し寄せる人
駅に向かい、新聞買って
人を押しのけ、上り電車
さきほど中央線で人身事故が発生し
東京―高尾間は運転見合わせ
もしや、知り合いではないかと ....
雨の降る日、電車が遅れて
まだアナウンスを聞いていないあなたは
いつものように向かいのホームにいる
今日はそのホームじゃないと
隣であなたの友人が叫ぶ
あなたはこちらを見た
雨の向こう ....
雷鳴に犬が怯える空で
やさしい言葉のように冷たく凍ったものが
老人ばかりの街を無数の宝石で覆い
(あるいは灼石灰のような骨の粉)
まぶしく結晶に閉じこめる
今だけはうつくしいだろう ....
ぼくはなかない
かわりにぎゅっとだきついた
ねえママ ぼくのおときこえる?
ねえママ ママのどきどきつたわるよ
ママもなきたいんだね
いっぱい いっぱい
がまんしたんだね
こんど ....
夏野菜のカレーはおいしい
ナス野菜ではないよ
夏野菜
ナスも入れるけどね
ピーマンとオクラ
場合によってはカボチャやトマト
夏のカレーは夏野菜
冬のカレーは根菜で作る
スズムシはい ....
ほんとうかどうか
知らないけれど
詩の勉強会
みたいなところで
こんなふうに言われるらしいね
悲しいだとか
せつないとかの
感情を指すことばを使わず
あなたの気持ちを伝えてご ....
それを蛍という人達が
優しい微笑で
小鳥をつつむように
佇んでいる
その声が
空に飛んでいくように
雨が降ることを
雪になることを
そういえば君は
星になる
と言ったかもしれな ....
妙に窓が明るいと思ったら
昨晩降り続いて街を覆った雪が
朝を反射していました
{ルビ氷ノ山=ひょうのせん}の上で薄灰色の雲がただよい
{ルビ若桜=わかさ}の木々が瑠璃細工になり
冷たく寒い朝 ....
全世界のけだるい午後に
垂れ込めた黒雲から
雨は降り続いている
という僕の主張を
すくなくとも日本は晴れだわと笑って
君は信じてくれない
見せかけの天気だと
どうしてわかってくれない ....
言葉が 膝を抱え丸くなったまま 産まれない まだ
非結晶の 硝子が こっそりと流動する
それは秘密 だよ
いつか 懐かしむだろう 君を 君の淹れてくれたココアを 君の唇の湿度を いつ ....
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