やさしい眠りが
速度を上げて
朝の向こうへ離陸する
夢の中
街はまだ目を覚まさない
けれども電車は
定刻どおりやってくる
お雑煮を
まだ食べ終えてない人が
白組、白組、 ....
大人は道化師のふりをして、子宮を配る。子供たちが記憶の中に、ゴムの匂いを思い出してることが、不思議でたまらないのだけれど、避妊された(あるいは否認された、風船からこぼれてしまった、命のは ....
一人ぼっちに なりたい なりたいって言ってた
私がついに一人ぼっちになった
二人でいることのわずらわしさばっかり
わかったつもりでいた私が一人ぼっちになった
そう思うとこの町は ....
きみはひどく咳き込み
すぐに踞った
今日は風がつよいね
手をつないで
髪を
なでた
すきだよ
あまく
湿った声は遠く
いつも
おびえているみたいだった
....
ミクロトーム片手に
顕微鏡のぞいて
ニヤつくあいつ
パラノのあいつ
部屋はロウの臭いが漂う
毎日実験材料をいじくり
ほじり出す。
太郎・花子・健太と
名前をつけて可愛がる
明 ....
陽も暮れかけた十七時前
山手八番館内の
洋室のソファーに腰を下ろし
レースの白いカーテン越しに
神戸の海を見ていた
開いたドアの外から
ふこやかな顔で瞳を閉じて ....
ここで暮らしていたことが
夢のよう
いつかそうなる日が
来るとわかっていたから
やさしさは
やさしさでしかないことも
知っていたから
ただ祈るしかなくて
今も祈ることしかでき ....
ああ、よかった、と思えることに
ありがとう、と伝えたい
そう伝えられることを、伝えたい
スヌーピーの顔してた
おれと交わったあと
そうだ、あいつ
スヌーピーの顔 ....
洋館内を歩く旅人の僕は
黒い机上に置かれた
「ソクラテスの灯」という彫刻に
ふと足を止めた
衣の服を身に纏う男が
頭を垂れて
右手にランプの灯をぶら下げながら
歩いている ....
おとうさん
新年はやっぱり青空だね。
見上げると雪に覆われた町の空は円く晴れ渡り
周縁の雲は黒く山の上に山を重ねて
峰々の隙間から綿アメのような曙光が
白く絡んでいる
首を直角にあお向けた ....
駅から宿に向かう道の両脇に
悪趣味な電飾に彩られた街路樹が
等間隔に我が身を嘆いていた
不自然に丈の短いスカートを履く
太い足の女達と何度すれ違っても
何を誘っているのか分かりやしない
....
黒髪にいたしまして
お母さま喜びまして
スーツを一着揃えまして
デキル私になりきりまして
シュウカツカツカツ
ハイヒールと
シュウカツカツカツ
ペンの音
順風満帆だった漕ぎ出し ....
残った!残った!
言葉が残った!
この消費することされることに慣れっこの世界で
言葉が残った!力強く残った!踏ん張った!
これぞ大横綱! 言葉の海〜!!
人の心は序二段だ
絶えず打ちのめさ ....
数十年もの間、腐れ縁の切れない幼なじみがいる
だから数十年間、年賀状を出し合っていることになる
干からびたミミズのような字で
「さかたあけおくんへ」と書いた記憶がある
親同士の付き合いも古くか ....
081231
攻めるも攻めるも黒金の
攻めるも攻めるも黒金の
攻めるも攻めるも黒金の
攻めるも攻めるも黒金の
攻めるも攻めるも黒金の ....
かず子の外側から
年賀状が届く
地平線から地平線へ
わたしの内側へ
できるだけ
かんたんな言葉で
内側から溢れてしまうものが
零れてしまわないように
壊すことだってできたの ....
雨の日
ぼくは変化する
感覚の順位が大きく入れ替わる
臭覚が敏感になり、視覚は大きく順位を下げる
いつもは感じなかった匂いを感じることができる
アスファルトが雨を吸い込む時の危 ....
クリームソーダを注文すると
ウェイトレスは 少し
嬉しそうな顔した
昔の僕は デパートメントストアの屋上に行く
そこで 必ず クリームソーダ
注文して
その透明な緑の泡 ....
午前中、こどもと明治神宮の宝物殿の前にくりひろがってる芝生へ。
いろんな鳥がいました。
うわあーい。
場所としては苦手ですが、鳥はすきです。
そういうのを気にしないで、鳥をみて ....
もし、詩を書くんなら今しかない・・・!
って思ってね
旅人の俺は今±0℃の六甲山頂の塔の上で
らがーびーるの空き缶を手に
凍てつく風に吹かれながら
真っ赤な顔を{ルビ嬲=なぶ}られ ....
宇宙まで手が届きそうに
よく晴れ上がった日曜
走る車には、
運転席と助手席にふたりだけ
高い青に向かって
咲き乱れる桜を見に行く
ふたりだけの家族
花は、目 ....
秒針は螺旋の軌道を描いて
歩くことでは辿り着けない場所に
らせんらせんを運んでいく
生まれることで届くだろう
窓の外で、まどのそとで
ラッシュアワーに平気で押しのける
普通に見 ....
あたしの手は
朝ふとんをたたむことからはじまって
3人ぶんのご飯を作ったり、洗濯機に洗濯物と洗剤を放り込んで、
それを干したり、部屋じゅうの掃除をしたり、車の運転、
鉛筆を持って字を書いたり
....
・あいじん
雨の色に濡れる
言わば、瞳にも似たひと
歌うように憂うものだから
永久という箱に
追いやられてしまった
隠れる、ようにして
....
川の向こう岸に
「矢切の渡し」と赤字で書かれた
白旗が
緩やかになびいている
広々とした土手に座った僕は
右半身を暖かい日にそそがれながら
左半身を冷たい北風に吹かれながら ....
なぐさめ方が
せつなすぎるから
苦笑してばかりいたけれど
ちゃんと泣いてくれる君の横顔を
ろくに見ることもできないで
最後にはいつも涙が零れていた
北風が目にしみるね
ふたりの ....
世界よぶっちゃけろ
全ての主語を休ませろ
俺は全人類とぶっちゃけトークしたいんだ
大好きなあの娘とも大嫌いなあの野郎とも
互いの立場を忘れてぶっちゃけトークしたいんだ
「最近どうよ?」「自分 ....
頭の中は海のようで
たくさんの言葉が泳いでいる
言葉は魚
釣竿を垂らすと
たまたま言葉が一匹釣れたりする
その言葉を餌にまた別の言葉を釣る
その繰り返し ....
今年娘が
中学を卒業する
生まれたときに
そばにいてやれなかった娘だ
海がめの背に乗って
海中のテーマパークに行くお話を書いてやろうと思う
今年娘が
中学を卒業する
俺に似て
出 ....
最近、体が重くなった
癖がひとつ増えたから
街中では
がちゃがちゃと
大人たちが
癖を重たそうに
引きずりながら
歩いている
誕生日にひとつ
プレゼントされる ....
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