黒い布が二本
電信柱に結ばれて
風にひらひら泳いでる
長い夜を越えて
透き通った柱に掴まった
僕等の姿のようだ
あの柱には
きっと
僕等のいのちを生かす
ほ ....
氷の粒で描かれた
白い真一文字は
いつかの憧れに
まっすぐ向けられた
誰かの眼差しに似ていた
すぐに解れてしまう
白い真一文字は
いつかの過ちに
未練たらしく絡みついた
誰かの言い訳に似ていた
....
空を見上げたあなたを覚えている
強いひとになりなさい
と言われたことがある
そのときのあなたは泣いていた
いつしか同じことを僕が言っている
気づくと僕は泣いてはいない
あな ....
門のところにクラゲが大量に発生していた
透き通ってきれいな形をしているのに
触手に毒のある種類なので
外に出ることもできない
裏門から出ようとしても
この家には裏門がないし
裏 ....
{引用=
それぞれに交差する
よっつのひとみ
そのやわらかな表面は
甘いのだろうか
それとも潮の
見詰めれば
卵黄を飲み込むように
喉を滑らかに落ちてゆく
嗚呼
同 ....
空き部屋になって久しい一階奥の角部屋
いっこうに入居の気配感じられなくて
郵便受けはチラシとかで溢れている
ポスティングするのが仕事なんだろうけど
声をかけたとしても臆すること無く
ほん ....
ある日曜日
友達の家に遊びに行った
団地と呼ばれていた
うっかりお昼過ぎまで
友達と部屋で遊んだ
お昼ごはんをご馳走になった
コロッケとパン一枚だった
家に帰ると
塩鮭 ....
愛でては
水の際 熱さまし
大事に
大事に
玩具に灯した芥子色の
そっと切り立つ夕闇 ひと揺れに
やさしく頬張って
咀嚼した 嘶ぁた
沃土にけぶる童気が
か細い
....
私がおかあさんというとあなたのことなんだけど
あなたはいつからかおかあさんだけではなくなった
ずっとはじめのほうからあなたはおかあさんとしての
ぶぶんが少なかったようにおもう
おとうさんと ....
ハッピーエンドは幸福の始まり
でも幸福の始まりはハッピーエンドではない
終わりは始まりであるのに
始まりが終わりに続いてゆくのを見たくない
あなたは今年どこで桜を知ったのか ....
並走するそれぞれの年齢のわたし
あるわたしは五月にひざをつき
あるわたしは夏にグールドを繰りかえし聴き
あるわたしは秋に同じ言葉にとらわれる
並走するそれぞれの年齢のわたし
あるわたしは ....
りんごをむいてゆくと
白のりんごになって
赤のりんごはぺらぺらの
シートにかわった
僕は白いりんごに驚いてしまって
赤のシートに名残惜しそうに
名前をかいた
りんご ....
堆積した都市の底で
雨が流れる音だけが
きこえていた
錆び鉄の壁に
ケーブルで接続されたコンソールの
身体が明滅している
エピローグ
いつか見つけるきみの姿に
想像力がとど ....
ときどき僕は、まだ羊水の中で
少し離れた場所から聞こえる声に
そっと耳を澄ませている気がする
それは子守り唄のようで
鼓膜を揺らすほどでもない
優しさを持っている
とき ....
100507
年齢がばれる
こまったと
案ずるなかれ
その時は
ロケットで逃げればよいと
ロボナビを確認したら
北行きは明日だ
....
朝、空を見て
なったばかりの蛙は思う!
高くて広い。
ジャンプしても届かない。
空
何が空の上澄みなのか?
知りもしないでジャンプすることをあきらめた,
空の高みをあきらめて
下ば ....
スーツケースに座って
迎えの車を待っていると
これから旅立つ人たちがいて
不思議
一秒のすきまもなく
誰かが空の上にいて
未来を保留し続けていく
このみちを
あるいていけば
しあわせになるのだと
ははがいう
そのみちをあるきつづけて
ときおりみちくさをしてるうちに
みちはもはや
みちではなくなっているのだが
このみち ....
アナタ タイソウ ツカレチマッテイル ラシイジャンカ
ユビノサキマデ シビレチマッテイル ラシイジャンカ
ソレハ タイソウナァ コトダァ クロウダァ
サゾ ニゲタカロウネェ ヨワサッテ ヤツ ....
白い天井を見つめている
黄金週間の夕暮れどき
一日のさいごの光を見つめている
壁にはパンプキンの絵画
胸にかぶさる世の戯れごと
天井のもう少しさきを見つめよう
少し向こうには
希望のふり ....
酒が飲みたくってさ
深夜、ふらりと出かけた途中
花の匂い
蜜の香り
足を止め思う
望んでいたこと
思考の末路
何の種類かは知らん
時折思い返した事がある
穏やかな自由への憧れ ....
ちょっと一曲流していってくれと
手を引かれた先にはいかにも豪農風の屋敷があり
その内庭といおうか畑地といおうか
平らにならした広場にはすでに人が立ち集まっていた
聞けば数十年に一度の祭りの前祝 ....
不在票が
届いている
裏の公園の
桜が散ったのだ
こんなにたくさん
さよならを伝えたくて
春が終わっていたのだ
私がいない時に
べたあっと広い横断歩道で信号待ちをしている人混みのなかにいた
曇り空だった
曇り空のひかりが広い横断歩道に溜まっていた
女子高生数人がぼくに笑顔で駆けよってきた
二十年まえなら吉川晃司や的場浩 ....
エスカレーターに乗ったらAKB48の特大ポスターだらけ
メンバーそれぞれがアイドルらしさ決めている
化粧品でもと立ち寄っただけなのに
ちょっとびっくしだよね
私かわいいでしょって屈託の ....
どこにありますかあなたの心
脈打つ流れが心です
真っ暗な空に小さな指輪
のような星がひとつ
だれかの期待みたいな
小さな星がひとつ
失敗の歩に迷い
人の目に切り裂かれながら
ふ ....
どうぶつは
おとなになってもなく
うれしいときも
かなしいときも
ここにいるよと
いってるみたいに
にんげんはどうだろう
ためしにないてみると
どうしても
....
コンクリートの谷底に
ぼんやり突っ立って
たくさんの季節と人を
やり過ごしてきたオマエの
歌を聞いた者はいないはずだ
それでもオマエは
歌い続けているらしい
コンクリートの谷底に
ぼんやり突っ立っ ....
今日
ぼくの戸籍がなくなっていた
市役所に行くと
あなたの戸籍はありませんと
職員が冷たく言い放った
困ったことになった
これでは
引越しも出来ないし
免許も取れない
そもそ ....
成り成りして成り会わないところと
成り成りして成り余っているところを
刺しふさぎて
霧に包まれた丘の上に浮かぶ洋館
その二階の出窓は開け放たれ
類人猿の咆哮が丘の下まで響き渡る
す ....
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