兄さんが帰ってきた

兄さんは
少し自信のなさそうな
顔をしていたけれど
兄さんの声は
あの頃と変わらない
兄さんのままで
兄さんがいないあいだ
僕がどれだけ不良になって
自 ....
電車の窓に映る姿
流れる瞳や鼻に心の形を委ねていた
地下鉄は暗いので
ガラスに特によく見て取れる

プシュっと、
扉が開く度に
人が出ていくヘッドフォン

つり革につかまる自分の前の ....
 
 
象といっしょに
列車を待ってる
朝からの温かな風が
服の繊維をすり抜けて
僕のところにも届く
こうして春になっていくんだね
明日はまた寒くなって
雪が降るそうだ

昔、象 ....
 
たかのり君
と呼んでしまった
生姜焼き定食のことを

もちろん
たかのり君が
生姜焼き定食であるはずはなく
けれども
一度そう呼んでしまえば
そのようにも思えてきて
こんがり ....
傷をつけると古びてしまう

古びさせるには傷をつけたらいい

ゴッホの絵のまえに立っている

ゴッホがいた距離のなかにいる

なんだか泣けてくる

あたまんなかで拳銃の炸裂音がする ....
 ━1
昼寝するあなたの枕となるような
陽射し遮る日傘となるような
本を作れたら良いと願うのです

ボロボロに擦り切れたその表紙には手垢がこびりつき、
セピアに色褪せた付箋は、いつも同じページに挟 ....
  

ぼくのはじっこは
とりあえず社会に結わえてある

ときどき
なにかを思い出して
するりとほどける

そのはじっこが
君のはじっこに絡まることは
もうないのにね

とき ....
             090302




新しい親戚がやって来て
遠くの景色が良く見えるから
うちの新築のベランダに
登ってみませんかと
自慢をしたいのか
それとも人見知り ....
夫がいる週末は楽しいから
なんにもない平日を
早送りする

だけど、今夜は
夫が
携帯電話と間違えて
リモコンを持って行ってしまった



夕飯を食べる時間に
夫がいないので
 ....
トリコロールカラーを織り混ぜた不協和音が
螺旋状に響く午前2時
F♯dimとB♭7がクロスした地点に
ジンジャーエールを凍らせたような結晶が生まれる
そう、今わたしの左の腰に小さな氷山が突き出 ....
「なかなかいい詩が書けんのぉ・・・」 
30過ぎの愚息が言えば 

「そんなもんよねぇ・・・」 
60過ぎの母は言う 

「100のうち1ついいのが書ければ 
 しめたもんだよ、おっかさ ....
あの上り電車で何本見送ったことになるのだろう
別に数えている訳では無いし
有り余った時間を費やせればとストールの毛玉など毟りながら
外界と隔絶された待合室の硬いベンチに腰掛け
あの夜の顛末でも ....
{引用=桜の咲く春が嫌いとつぶやいたひとの
手鏡に映したそら、霞のようにたなびく
僕は戦うだろうあなたのために
僕は祈るだろうみんなのために}

満開の花は汚れたあおを覆いつくして
春とい ....
ふるさとの川というには

ここはすこし都会過ぎるかもしれない

関東大震災のあと

消えてゆく東京の面影を

ここに見つけた作家もいたことを思えば

ふるさとの川ということでいいのかも

だれもがふる ....
たんぽぽの綿毛が木の枝に引っかかっていたから
指先でつまんで土に植えた


花は咲き木々は茂る
虫がいて動物がいて人間がいる
目の届くだけでも
数え切れない種類の命があり
全体数など計 ....
ホームクリーニングエマールで
セーターと靴下と下着を一緒に洗う
独り身の中年オトコ

寂しい
そう連想したヒトは

独り
イコール
寂しいと

思い込んでる寂しいヒト

 ....
がれきのしゃしん は いつみても いい
しょうせつみたい に はしからはしまで よまなくても 
いっしゅんのうち に あらすじ が わかる
わかってしまいたくはない のに
め を はなすことが ....
 
調律が合わなくて
ピアノが港を発ってゆく

小さな港で
すばらしい音楽を奏でていた
そんなピアノが

指先から音がした
触れてはいけなかった
白と黒の鍵盤に
わたしの小さな罪 ....
みんなが何を言ってるのかわからねぇ
目に飛び込んでくる記号が日本語で
それぞれの言葉の意味は理解出来ても
それが重なっていくと
何を言っているのか全然わかんねぇんだ

別に難しい事を言って ....
ああ我は形ないものなり。

 ああもはや何者でもなく、
 ああもはや意志もない。

  ただ揺らめく、
  そのことさえできない。

   粉雪になれたらいいな。
    ....
もうずっとずっと昔のことだ


公園でかくれんぼをしていた
わたしは見つからないように
自分よりも背の高いしげみに隠れた


しゃがんでふと斜め上を見ると
大きな蜘蛛が巣を作っていた ....
ぜぶんなよ、あんまり分け隔てるモザイクの。渡る道すがらアスファルトの熱あつい、夏だから。冬場はあたたかい温泉に入ります。細かく震える装飾音符です。せんぶん、イレブンPMを過ぎて立ち寄るコンビニエン .... しゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわ

山奥の合掌造りで
祖母は暮らしていた
冬は深い雪に閉ざされ
ひっそりと
何もないところだった

祖母がまだ少女だった頃
屋根裏では
蚕を飼っ ....
 
ふとその人の
意図してることに気がついて
糸がふるえている

わたしは煙草を銜えながら
返信メールを
打ちはじめたけれど

意図の糸が
いつまでも
ふるえているので
確信を ....
水深五千メートルの深海
あたしの心は沈んだまま
光の届かないそこを
闊歩する。

太陽光の届かないそこでは
光合成を
できなくなった植物が
みどり色するのを
やめた。  ....
白い孤独に金切り声をあげる

メチャクチャニシテ

狂喜乱舞する地吹雪こそ真冬の神髄
静寂零下の銀野を破る侵奪者
生命に対する絶対者

天も地も前も後もない
白刃が体中を引き裂き ....
スーパーカーより速く走りたいのさ
どんなメロディーよりも速く
鉄条網に寄りかかってジンジャーエールを飲みながら
セブンスターに火をつけてそんな事を考えたのさ

鈍色の錆びた鉄条網につかまりな ....
終電を逃したサラリーマンが
「人生お先真っ暗だ」っつーから
「修正液で直せるし書き込めるじゃねぇか」ったら
鼻で笑って寝ちまいやがった
仕方なしにイヤフォンで音楽聞いてたら
いつの間にか起き ....
2008年10月09日20:06
  先日秋葉原にマグネチックスピーカーを買いに出かけた。
マグネチックスピーカーは第二次世界大戦中までの普及型ラジオ受信機に広く使われていて、ハイファイとは言い難 ....
 
ひさしぶりに実家に帰ると
お父さんが
船になっていた

甲板には母がいて
いつものように洗濯物を干したり
いい匂いがしてくる
調理室で料理をつくるのも
やはり母だった

嫁い ....
kauzakさんのおすすめリスト(3469)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
兄からの手紙- 小川 葉自由詩409-3-4
プシュっと- K.SATO自由詩409-3-4
はるまち- たもつ自由詩2709-3-3
とおい水- 小川 葉自由詩15+*09-3-3
傷をつけると古びてしまう- 吉岡ペペ ...自由詩509-3-2
一冊の本- 遊佐自由詩8*09-3-2
ふるえる糸- AB(な ...自由詩5*09-3-2
とおい水- あおば自由詩8*09-3-2
リモコン- 小原あき自由詩33+*09-3-2
OUTSIDER- 渡 ひろ ...自由詩17*09-3-2
100分の1の幸福_- 服部 剛自由詩309-3-1
臙脂色のひと- 恋月 ぴ ...自由詩26*09-3-1
あなたは満開の桜が嫌いだと- たりぽん ...自由詩5*09-3-1
ふるさとの川- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...409-3-1
数え切れない命のひとつでも- あ。自由詩5*09-3-1
ふゆ- よーかん自由詩509-3-1
がれきの工作_Ⅱ- 《81》 ...自由詩13*09-3-1
航海- 小川 葉自由詩1009-2-28
偏頭痛- 虹村 凌自由詩3*09-2-27
形ないものなり- 前澤 薫自由詩109-2-27
ふるえる糸- あ。自由詩6*09-2-27
ゼブ- れつら自由詩409-2-27
ふるえる糸- ことこ自由詩16*09-2-26
ふるえる糸- 小川 葉自由詩4*09-2-25
深海闊歩- 百瀬朝子自由詩6*09-2-25
Whiteout- 夏嶋 真 ...自由詩5*09-2-25
鉄条網の向こうを走るあの長い列車が通り過ぎるまで- 虹村 凌自由詩3*09-2-25
美術の先生は大きなキャンバスに描けばいいと言ったんだ- 虹村 凌自由詩3*09-2-25
並四日記__その0_終戦の詔勅- あおば散文(批評 ...5*09-2-25
- 小川 葉自由詩809-2-24

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116