外灯よ
おまえはずっと
そこにいてくれてたんか
お帰りなさいくらい
言ってくれや
おまえがだまっていると
また
さびしくなるかもしれへんから
雨の窓辺に
雨粒の色に
雨の音楽に
....
コトバになる前の液体が
血管のように
からだじゅうをめぐって
指のさきからしみでる
溶けているのは
うれしい
かなしい
すき
きらい
うつくしい
きたない
そして
点滅する ....
いいか悪いか
のメガネをはずす
少しぼやけた視界でいい
すきか嫌いか
の心をはずす
感じないぐらいの皮膚でいい
裸足になって
恐れず歩いてみれば
はじめてわかることの多 ....
冬の寒さに身を委ね
凍れる唇に物を言わせようと
北風の中歩き疲れて
坂道の途中
針の枝振りの銀杏並木を
ゆっくり北風に煽られながら
今年の冬も歩きづらく
また疲れて坂の途中
歩 ....
空に浮かんだ白い雲も
涙を抱えて浮かんでいるのですが
独りぽっちの時はじっとこらえて雲のまま
みんなが泣き出すまでは っと
涙を抱えて ぽっかりと
空を飛び回る鳥たちは
空を見ながら飛 ....
101218
茶葉が
ポットの中で
踊っている
朝と
昼と
夜と
晩
これ以上、蒸らさないで
 
 
てつくずを
うったおかねで
おさけを
のませてくれた
おさけよりも
ほしいものがあったのに
とてもかんたんな
てつづきばかりして
ここまで
きてし ....
行かないで正解だったよ、とか
来て正解だったな、とか
終わってから言う
何かしてしまってから言う
生まれてきて正解でしたか
生きてきて良かったですか
失敗でも
生まれてきて良かっ ....
雨が滑り落ちる
雪が零れ落ちる
花が乱れ落ちる
涙が伝い落ちる
決められた方向で
定められた法則で
ただ落ちていく
あらゆるものを
ありのままに
受け止める大地に
突っ ....
ゾウさんの鼻先あたり
あるべきものが無いというか
腰の高さでぐるっとフェンスに囲われていた
ご丁寧にも幼い好奇心を遮るシートまでかぶせてある
わざわざペットを囲いのなかへ入れて
おし ....
夜は美しい絵画だと言って
お金持ちが買い取ってしまった
そんなのはもう
100年以上前のことさ
柴山の駅で降りて
ホームから空を眺めると
雲が動いていた
夕陽に赤い帆は
見えないけ ....
センスが凄いんだよ と嬉々として言う
十九歳の甥は トロンボーンに夢中
目標にしている人もいるらしい
学校時代は吹奏音楽一色で
働きながら地元の楽団で演奏するという道を
まっしぐらに歩んでい ....
終わりたくない昼と
始まりたくない夜が
西の空で見つめ合っているような
そんな色だった
手放したくない光と
受け入れたくない闇が
西の空でせめぎ合っているような
そんな色だった
思いがけない桃色 ....
すれちがったトラックには
零れるほどのいのちが
ひしめいていた
通勤車両ではこばれる
ひとみたいに
いっせいに体をゆらしていた
くろい体毛
くろい顔
....
家族といっても母とふたり
小さな箱のような部屋を
小さく切り取ったテーブルに
向かい合うことは少ない
たとえば小さい頃は鍵っ子で
学校から帰っても一人
母は生きるために働くことに懸 ....
ブランコが
ゆれているのは
こどもがのって
あそんでいたからなのか
また
こどもがくる
おちばをまきあげて
さっきよりもおおきくゆらして
駅前のメインストリートには
すずかけの木を等間隔にはめ込んだ
ビルディングは高さをそろえて
白色と茶色と灰色に塗りわけた
踏切の遮断機は配線が切れているから
決して開くことはないけれ ....
紅葉の山々
渓谷沿いの道はその時々の赤
その時々の黄
その時々の青
その時々の緑
山の頂の先には
幾分くすんだ青空
道のRは気にならず
正面に最初のトンネル
トンネルを抜けると
....
あたりまえのように
ふたりで
広い河をゆくように
空をわたってゆく
波にだれかをさがすように
おなじものを一緒に食べるということ
目で歯で
舌で喉で臓器で
からだで
あたらしい発見 ....
その夜の舞台で歌手が
「ぞうさん」を唄った時
観客様は皆、懐かしそうに
うっとり微笑みを浮かべるのでした
途中出演のチベット人が
故郷の山々を唄った時
タイムスリップした観 ....
そらは
だまっている
なにかつたえたくて
だまっている
にくしみもかなしみもない
そらのことばを
うつくしい
あおにひめて
+
しょうがが
きい ....
光る小さな玉が
ふわふわと三つ
それぞれに適度な引力を持ち
時にはふわふわと引き合い
ふわふわと離れ
角もないのに接触した拍子に
傷をつけ、傷をつけ合い
そうかと思えば
....
101114
今ではかなり以前のことになりましたが
或る詩のイベントに参加いたしました
そこでの雑談の折りに驚いたことに
参加者の殆どが
幽体離 ....
いつかは死ぬのにね
母が言ったからどきりとした
いなくなった恋人を
そろそろまた恨み始めていたから
母は
死ぬということと
家の中のあれこれとを
同じところに平気で並べる
....
ひとりでふたりぼっちになるよりも
ふたりでふたりぼっちでいるほうが
あったかくてやさしくてなつかしい
今という時間に
ふたりでいれば
集中できたんだ
ひとり ....
弾けもしないキーボードに指を添え
弾けもしないはずなのにコードを押さえ
弾きもしないはずなのにコードを鳴らす
知りもしない唄を思い浮かべ
知りもしないはずなのに唄を口ずさみ
知りも ....
くるしくても
まえむきにいきなきゃ
第六感でそうおもう
ひとは切実なんだ
まえむきにいきるというのは
たぶんなにかのものまねなんだろう
なんのものまね?
まえむきにいきるためにいきて ....
ふつうのふりして
やすらかなふりして
やさしくはなくなって
アナタガコエヲアゲル
ぼくだけが
けがれてゆく
コンナニヌレルノオレダケカ
あなたは
きれいなままだ
コンナカタ ....
あきのそらが
こきゅうしている
ここにいるよと
こきゅうしている
おちばがきづいて
くるくるあそぶ
わたしもきづいて
えりをたてる
+
きたかぜこ ....
ようじもないのに
ころがっていく
さかみちを
みかんが
さかみちの
はてのはてまで
それが
ようじであるかのように
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