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愛しているとつたえようと
ことばをさがして それをやめた
瞳は光にとまどうでしょう
あなたがふりそそいでいる

森は深く
水は冷たい
霧のように時が晴れる
すれ違っても
出会えなくて ....
これでおしまい

さよならする
かなしいきもちに
さよならをする

なかったことには
できないのだから
おぼえているしか
できないのだから

これでおしまいにして
このさきのえ ....
街が滅ぶ前に
草原へ移動した
光を失う前に
海を見た

右目だけで出会う世界に
違和感は覚えなかった
走り出すときに半身を
庇うことを除けば

音楽が鳴り止まない
バランス以前に ....
昨日の続きを生きている

私がぶれるはずはない
地球の地軸が揺らいでも
小夜鳴鳥が叫んでも

私の時間は連続し
コールタールよりも深く
インディゴに近い
沈黙にコロスを誘いながら
 ....
葉を落とした木々のトンネルを抜けて
半島の北側を走る私鉄の
絶え間ない線路との軋轢を
心地よいささやきの様に夜毎耳にする

秋は未練を払い夏の毒素から解放され
今ひとたび人間を愚かにする静 ....
八月が爆ぜて夏が広がり
テトラポットの向こう側で
海と空が入り混じるのを
優柔不断がこうして感じている

グレープフルーツの清々しい香り
水飴を練るように濡れていく心
睫毛を伏せて呼吸を ....
時が満ちて時が下る
泣いたり笑ったりする間に
スカイツリーが完成して
僕は誕生日を迎える

見失うことを恐れて
見出すことが出来ない
ヘッドフォンから流れる音楽
目の前で見過ごしている ....
並走するそれぞれの年齢のわたし
あるわたしは五月にひざをつき
あるわたしは夏にグールドを繰りかえし聴き
あるわたしは秋に同じ言葉にとらわれる

並走するそれぞれの年齢のわたし
あるわたしは ....
つぶさに観察する 肌のふるえは
ワーグナーの夕暮 悲しいと口にせず
夜の海の不気味さ 重なっている
しのびよる闇に無限の波

新しい歌などどこにもない
はじめからあるものしかない
たぐり ....
はるかかなたに悲しみを見据えて
黙り込むにび色の宇宙
風がはらむものに耳を貸して
忽然と姿を消すらせんの微笑

毟り取られて憂鬱を晴らせば
秋の日のようにどこかでだれかを待つ
その背中の ....
奥歯にものがはさまって
どうにも上手く言えそうにない
借りてきた猫は縁側でずっと
所在無げにぐるりを見渡す

小さい手がとりこぼすものは
その手につかむものの補集合
はじめからなにもない ....
遠くの空は晴れているのに
郵便局から出ると
黄金の針を束ねたような
冷たい雨に打たれる

明日の天気は確認したくせに
家を出るときに傘を持ってこなかった
思えばぼくのこれまではこういうこ ....
干からびた革の装丁に
そっと手のひらを添わせ
花びらのように軽い
ページをくるわたしの内奥に
懊悩は滴る
     融点の低い金属の
自由さとまたひとつ季節を
経巡りここへたどり着いた
 ....
目を伏せたりしないで
じっと見つめて
声をかけたりしないで
ただ耳を済ませて

水底にきっとそれは
クレオソートのように孤独に
濁ったり輝いたり結晶して
誰の目にも触れることがない
 ....
ああこれはピスタチオの匂い
君が僕の唇に触れた指先
僕はたゆたう 海月のようにたゆたう
窓越しの月もまどろんでゆれる

悲しいことはすべてなかったことにして
手拍子に合わせてわらったりおど ....
光あふれる世界
まぶたに輝いて花びらの海
見えざる敵を撃ち抜け
標的はいつもロマンスを奏でながら

鳥かごから逃れるために
すべての犠牲を払って
声など失っても構わないと
君は皮膚を切 ....
そして雪が降っていたのだと思う

僕たちは逃げるように汽車に飛び乗って
石とレンガと煙の支配する町から抜け出した

音楽は遠い場所にあった
文字は誰ひとり読めなかった

僕たちは独りで ....
教壇から頭ごなしに説教をするタイプでもないので
例によって教室を歩き回りながら僕は話す
半年、あるいは一年ほどの付き合いで学生について
何ほどのことが分かるかと問われれば返す言葉もない

も ....
夜の淵からわたしがこぼれ
わたしの淵から夜がこぼれる
固いビスケットを菩提樹の
お茶に浸して深深と雪

積もる声もことばもあるし
誰からも等しく遠ざかれば
せわしなく人の世に生きていたこ ....
映写機がカタカタ鳴っている
僕の撮る写真が君は好きだという
街は白黒というよりも何かひとびとの
息吹をはらんだ色彩に染められている

街灯には設置された年がゴシック体で
刻印されているのだ ....
音楽はやまない
いつまでもその唇から
風に
風に乗って
その唇に

やわらかい草のゆれる
広い野を越えて
人々の雑踏を超えて
あなたの街を超えて
音楽は続く

とどまる場所があ ....
いい詩をお書きになる あのひと
言葉はなんでもなくて、抽象性が無担保でまかり通る
それなのにそのひとの選ぶことばのならびをみて
とってもうれしいきもちになってしまう

このひとは本当はすごく ....
ことば
この言葉
遠い言葉
声、言葉
遠い声、言葉
届かない
届かずにとどまる声
言葉、超えたらば
超える言葉
超えて届く声
孤島へ
言葉、孤島へと届く言葉
声、孤島へと超えて ....
いうなれば愛は無限の
ススキのなびく秋の平原で
近く遠くチラつくフィルムのフリッカーを
懐かしく水面に浮かべて掬う

木漏れ日はマンションの壁を暖める
窓枠は世界という景色を作品に仕立て上 ....
ほつれた髪を直すしぐさ アルミニウムみたいな海

海は高鳴る心の隠喩だったか 反映だったか
わたしにはもう手の届かないものの換喩だったか

晴れ晴れとしたこころで車を運転する
白い灯台が青 ....
雪の降る街の景色を
音だけで感じている
悴んだ手が赤くなり
サクサクという音が

足元から立ち上って
靴底から垂直に体の
芯を冷気が掴んでは
私の細い心臓を震え

あがらせているの ....
ちいさくせかいがふるえ
てにとるべきわずかな水
ブルーはブルーによって
侵食されていく果敢なさ

声と言葉と三色の悲しみ
ピッチカートで奏でてる
光沢は世界とすれ違う度
美しすぎる晴雨 ....
揮発性の高いエチカ
不文律が陽を遮ると
最後には人柄で勝負
僕がもっとも不得意とすることじゃないか

曇りガラス越しにカラス
硬い羽を打ちつけて
絶望する暇があれば希望せよという
僕の ....
センセイも昔はガクセイだったから
センセイのセンセイがいる

センセイは今もガクセイだから
センセイのセンセイがいる

センセイは他のセンセイに
アドバイスをもらったりするので
センセ ....
恋人はまぶしい午後の光に
パウダースノーとなって朽ちた
彼女を運んで行った同じ風が
僕の窓際にサルビアの香りを連れてきた

季節がめぐって僕は知らない場所に行き着いて
生活はいつの間にか地 ....
kauzakさんの瀬崎 虎彦さんおすすめリスト(45)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
あなたがふりそそいでいる- 瀬崎 虎 ...自由詩312-12-24
このさき- 瀬崎 虎 ...自由詩212-12-10
視覚- 瀬崎 虎 ...自由詩510-10-12
今にらみつけて- 瀬崎 虎 ...自由詩210-10-4
旅客- 瀬崎 虎 ...自由詩210-7-23
ライン- 瀬崎 虎 ...自由詩210-5-30
デンドロクロノロジー- 瀬崎 虎 ...自由詩210-5-13
ジャクスタポジション- 瀬崎 虎 ...自由詩310-5-9
ハピネス- 瀬崎 虎 ...自由詩310-4-11
日向でわたしたちは愚かにも子供だった- 瀬崎 虎 ...自由詩510-4-6
そして世界- 瀬崎 虎 ...自由詩3*10-4-2
ぼくのこれまではこういうことの繰り返しで- 瀬崎 虎 ...自由詩510-3-29
ネオンと抑圧- 瀬崎 虎 ...自由詩5*10-3-27
穏やかな休日を待っている- 瀬崎 虎 ...自由詩4*10-3-19
窓越しに見えた月も- 瀬崎 虎 ...自由詩510-3-17
スクラッチン・ザ・バードケージ- 瀬崎 虎 ...自由詩210-3-13
君がいなければ僕など意味もない- 瀬崎 虎 ...自由詩5*10-2-24
それでは試験を配ります- 瀬崎 虎 ...自由詩5*10-1-29
今よりずっと澄んだものに- 瀬崎 虎 ...自由詩710-1-16
和解- 瀬崎 虎 ...自由詩310-1-9
あなたに届けよう- 瀬崎 虎 ...自由詩6*10-1-3
あのひと- 瀬崎 虎 ...自由詩5*09-12-28
この言葉- 瀬崎 虎 ...自由詩209-12-26
ただこの声だけを奪ってほしい- 瀬崎 虎 ...自由詩209-12-24
_わたし_大丈夫です- 瀬崎 虎 ...自由詩4*09-12-22
数え切れぬほどの幸せな家庭が暖かい屋内で晩餐をとっている時間 ...- 瀬崎 虎 ...自由詩609-12-17
悲劇的- 瀬崎 虎 ...自由詩309-12-15
不徳のいたすところです- 瀬崎 虎 ...自由詩509-12-13
センセイのセンセイ- 瀬崎 虎 ...自由詩8*09-12-8
教室に向かって歩いていく- 瀬崎 虎 ...自由詩409-12-5

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