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抽象をなぞる指先が、無色透明な肌に存在だけを記して
昨日の空に溶けて行く、輪廻を正しく辿って行けば
全ての人の記憶は一つになると
ついさっき、知りました。
だから、君の香りはどこか懐かしいのだ ....
━1
昼寝するあなたの枕となるような
陽射し遮る日傘となるような
本を作れたら良いと願うのです
ボロボロに擦り切れたその表紙には手垢がこびりつき、
セピアに色褪せた付箋は、いつも同じページに挟 ....
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優しく風が吹く、
僕はそれを背に受けて、走り出す、
追い風を受けながら
加速して行く
風を感じなくなる迄
加速して、
風と並んだら、
風を孕んだら、
今度は一気に、
向かい風を生み出す位に ....
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トマト畑の夏は
麦藁帽子のひさしの向こう側、
湧き立つ雲と
焼けつく陽射しの中に消えた幻。
雨上がり、塩を片手にかじった果実は、
少し青臭い匂いがした。
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入道雲と夕立の夏
いつまでも沈 ....