青空が
あまりにも
蒼くて
壊れそうになるとき
きみに会いに行く。

二十歳のきみは
屈託のない笑顔を
光のように
笑って
みんな包んでくれる。

雲が
あまりにも
鈍色で ....
窓の向こうから 風の音が聞こえる
少しだけ暖かくなった 冬の午後

いつも歩いてる道端に
小さなちからを感じる 春の夕暮れ

夜になると目を覚ます あなたのように
雨の降る真夜中から 歩 ....
欠けた皿や茶碗を
もったいないから、とそのまま使う
いっそまっぷたつに割れてしまえば
いや、こなみじんになってしまえば諦めもつくのだが
普段使いには支障ないから、と、貧乏性
 
荒れた生活 ....
ぼくたちは春を起点に遠ざかる公転軌道を失った星






君という病を喪いかたかたと瘧(おこり)のように震える柱



便箋を一枚一枚丁寧に破ればただ ....
うれしいことがあったときも
たのしいことがあったときも
いじめられたときも
だれかが死んだときも
そこにはきれいな花が咲いている
かなしいくらいにきれいな花が
たくさん咲いている

笑 ....
あなたのことばに
こころはういて

ぷかりぷかりと
うかびはじめた

あなたのせりふに
こころはゆらぎ

ゆらりゆらりと
波うちはじめた

あなたのまなざしに
こころはおどり ....
明るい陽射しのロビーで
いろんな人がカウンターと椅子の上
ぎこちなく たっては座り

さしだされた指示に従い
通路と道路に歩いて行く
待たせた人々と共に 
誰も待っていない人も
了解し ....
いい加減にしてくれませんか?

何なんですか?
どういうつもりですか?
何様ですか?
一名様ですか?
お煙草は、お吸いになりますか?
では、こちらへどうぞ。
ご注文お決まりになりました ....
私は死におびえている
新宿アルコット 地下三階へ降りる階段で
伊勢丹ガールズのレストルームで
「緊急地震速報が流れたら伏せるなどの安全な体制をとってください」と
女の人の青白い声でアナウンスさ ....
どこに行っても暗闇のじめじめした神経が張り巡らされ
だれひとり彼を人と認める人もなく
まして、よく頑張ってるね、と誉める人など皆無で
とても一人で、一人なとき
やっとの思いで持ちこたえていたダ ....
少しづつ温かく風が吹き抜けるから


じぃちゃん、じぃちゃんのことを思い出すよ



もう一度会えたなら、じぃちゃんに「まだ嫁にいかないのか」って
叱られるかな?



暖 ....
えんぴつの先をねぶると
木のぬくもりと
黒鉛のつめたさ


三寒四温だよ、と
町角ですれちがった
親子の会話が
耳に残る


繊維に染みわたっていくのは
甘みではなく、
苦み ....
白っぽい視野の中に
草の生えた道があり
知らない樹木が立っていた

母は和服を着て
道にひとり佇んでいた
すると向こうから
何年も前に死んだ父が歩いて来た

ぱりっとした背広を着 ....
週休出勤の帰り道
駅のアナウンス(それも合成音声)が
曖昧な事を言っている

まもなく、普通、上野行きがまいります

普通って
それじゃ事によると
上野じゃない所にも行くんだ

 ....
そのお便りには
「わたしは
太陽や風に大事にされて
幸せでございました。」
と書かれてあって
ふむふむと思って
そのお便りを
あなたの胸ポケットに入れて
寂しくなったとき
その葉っぱ ....
次へと向かう
夕日との
約束ごとで
明日の空に
靴を飛ばした

背中押されて
真っ直ぐに
伸びていく影
追いかけながら
家に急いだ

そこには
少しばかりも
寂しさに
背 ....
春の強い風に吹かれて宙に浮いている
さくらの花びら
ひらりひらひら
あなたの大きな肩の上に落ちた

わたしだったら
わたしがさくらの花びらだったら
このまま風に乗って
そっとあなたの頬 ....
なんでもはなせるといいながら
なんにもはなせていなかった

ふたりは

おたがいはなすことなく
おたがいはなしてしまった

それだけの

はなし
昨日の雨は上がって
今日はよく晴れた日だ


大きな音楽をかけて通り過ぎるのは
灯油屋のトラック
たくさんの鳩が止まった電線は
重たげに弓形を描く


当たり前の朝だ


 ....
物心ついてから
ひとりだという気持ちが強い

家族や友人や物や時間
のあるなしに関係なく
ただ自分の癖として
ひとりだという気持ちが強い

楽しい場所にいても
好きな人の隣にいても
 ....
夫がいる週末は楽しいから
なんにもない平日を
早送りする

だけど、今夜は
夫が
携帯電話と間違えて
リモコンを持って行ってしまった



夕飯を食べる時間に
夫がいないので
 ....
switch.

ずぶ濡れになった脳漿に
楔が溶けるような、
  おと。おと、

踏みつけて割ったCD/私はそれをまるで他人のような目線で見ている/お気に入り、 ....
朝 魚だったものが
夕方には生花に変わった
明朝には昭和を生き延びた築堤も
すっかり掘り崩されているだろう
燃え落ちる前々日に新線開通
潮で潤すことができなかったいきもの
忘れた積りはなか ....
 あなた以上の あなたではなく

 あなた以下の あなたでもなく


あるがままの

あなたが素晴らしい



 あせらずに  ガ ン バ レ
もうずっとずっと昔のことだ


公園でかくれんぼをしていた
わたしは見つからないように
自分よりも背の高いしげみに隠れた


しゃがんでふと斜め上を見ると
大きな蜘蛛が巣を作っていた ....
 いくつかだけを覚えていれば良い
 喪ってゆくというのも
 何かを得るから喪うのだ

 人間が生きていて忘れるのも
 生きるために整理をしているだけなのだ
 ほんの少しの脳の
 我が ....
鏡のふちに
霜が降りている
唇のはしが腫れはじめ
痛みがやむころに
枝先から影が落ちる
おもむろに声をあげようとして
言葉にならなかった音の破片が
ガラスを震わせる
あなたが
どこか ....
なんでもないことのように日々が
過ぎる
実際はなんでもかんでもが
おこる
どうしようもなく失くしたり
左足だけ見えなくなったり
足りないながらも戻ったりするが
一切の感情は描かれず
ま ....
 
不燃ゴミです、と取り除かれた祖父のペースメーカーてのひらに、来る





解剖しても誰にも見つからない場所で君よ、一緒に暮らして、ください、
雨が降っている新月の夜に
春めく虫たちのため息がひらひらと
蝶になって飛びかっている。

ひろびろと草原はそこにあり
うす桃色のパンツのとてもなまめかしく
ハートのかたちしたそれに、つい触 ....
唐草フウさんのおすすめリスト(3621)
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