きき手の手首が
にぶい痛みを届けてくる
午前二時に起きて
針を持つ
からだの芯部から
花びらが
溢れて
とめどなく溢れて
殺風景な部屋を赤やピンクに
踊らせる
女は陽炎を抱えき ....
バスタブに沈むさみしさはやはりぼくの唇のふるえと共鳴する
今日も暗色に温もりのかたちを教えてもらいながら眠ることになるだろう
この手で歌うことに慣れたぼくは
いつもそれを不協 ....
両瞼月の形の白い傷
露出した骨を矯正してる口
三日後に二足歩行で倒れます
初夏の朝 身体の中はまっくらけ
磨かれた床に無数の目玉落つ
....
冷蔵庫ゆっくり冷えていくものが光のような気がしてならない
やっと今一人で立てた足元にいろんなものが這いのぼってくる
ゴミ置き場月光に散る貝殻が泣いてるまぶたに見えなくもない ....
朝起きて 台所のブラインドを開けると
猫が 物陰に隠れて
つたの絡まる切られた木の上の方を見ている
そこには ヒキナギのつがいが
巣をはぐくんでいるのだ
が いつもはもう チチチとさえずるの ....
日なたで
ろうそくを点しましょう
大丈夫、
それは遠目には
よくわからないから
わかるのは
あなたの顔の
おおよその向きだけ、
でも
そんなわずかな情報さえあれば
....
五時のサイレンが鳴ったら
みなさんおうちへ帰りましょう
わざとゆっくり歩いて帰る
うちに着くと
やかましいリビングを通り抜けて
疲れきった階段を上がり
自分の部屋に向か ....
夢は明日見たもので、
昨日見た夢はすでに
水引草の風が立つ丘に
順々に並ぶ透明な太刀魚のように
明日に向かって発射されていく
こわいこわい全てに向けて
つまらぬやり取りにエネルギーが流れすぎたかも、という反省からこの際自分のセンスというものを再点検してみようかなと思い立った。
現在、このサイトでの私の「おすすめ」作品が671ある中で、1ポイント ....
下降していくカラスが
田んぼの土手を
はいあがる虫を食べている
田植えの前に掘りおこされ
苗が植わるように綺麗にならされる土
地中から 土と共に掘り起こされた虫が
待ち構え ....
「何叫んでんだ?」
海人が現れる
全部聞かれていた
私はもちろん
赤面
夜で多分見えちゃいないが
海人はわかってる
その事を
恥ずかしい
「じゃあ、俺も叫ぼう。おぃ、桜!! ....
早苗は歌を口ずさむ
衝動の歌
いわゆるロック
歌詞はわからない
だから
ホニャララ語
早苗は自分の名前が嫌い
あまりにも日本人すぎる
友人の海人は良い名前だって言う
カイトの癖に ....
いじわるをいわせないためには、どうしたらいいだろう
*
最近の話をしようとすると
思考は酷く曖昧で
断片的なものになってしまうから
こんな形をとっ ....
鳴りやまない星が
寝床に降る
重さに抱かれるように目を閉じる
もしかして
もしかして
もしかしてと鳴りながら
おなかの中を撫でられつづける
そのまま長い針がひとまわり
するまで
....
皆気付いてる?
嫌なんだって
嫌なんだ
全部嫌なんだ
欲しいのは
βエンドルフィン
それだけなんだろ?
そうでもない
僕は君の幸せがみたい
貴方の幸せがみたい
彼の
彼女の幸 ....
夢から醒めた
セロファンの夜が千切れていく
いきを、してね
しっかりと
もっと
つよく
涙の通ったあとは、砂漠みたい
なにもかんがえられないから
脈をかぞえる
いち、に、 ....
空間の凝縮
色彩の単一化
情報の漏洩
あからさまな現実逃避と
淡い現実
紙束の重みに
瞼は耐えられず
微かな肉欲と供に
癒されない眠りが始まる
トム・ウェイツのAlice
....
40歳になったので
煙草を覚えることにした
からだにわるいことをなにもしてこなかったから
何だか申し訳ないような気がして
ベランダで星をみた
あおい煙が目にしみた
すこしもおいしくはな ....
的外れ
期待外れ
とんだアバズレ
ブラックホールの向こう側へ
行き先は中国
ウォーアイニー
バスキアが叫んでる
俺だっ
ピカソが言ってる
僕だっ
北斎が洩らす
私だっ
....
絶対ということなんて絶対にないとおもっていた昨日まで
ただいない こっそり隠れてるわけでもなくてあなたはただいないだけ
ふわふわのベッドでしがみつきあってティンカーベル ....
僕は沼に潜っていく
どんどん
どんどん
もうとっくに日は当たらない
もう君の声なんか
聞こえやしない
どんどん
どんどん
それは
自分の意志
何者の干渉もありはしない
ただそ ....
泥になって
まもろう
あなたの
すこやかな睡眠と
思想を
まもろう
ひやりとあたたかく
まもろう
泥になったわたしには
思想もなく
身体もなく
ただそこにあるよう ....
祭りが終わる
花火が上がる
舞い散る火の粉は
神経を一つ一つ
過去へと誘う
そこには間違いがあった
あるいは無かった
どちらにしても
脳内の化学信号
それだけが残る
もう長 ....
カチリッ
音がする
盲目の鹿
嗚咽する
捻りあげた餅
ちぎれる
不様な太陽
怒れる
単純明快な答えなんて無いんだよ
窒息しろ
問答無用のオリジナリティ
謝罪しろ
不愉快
....
ちょっと一曲流していってくれと
手を引かれた先にはいかにも豪農風の屋敷があり
その内庭といおうか畑地といおうか
平らにならした広場にはすでに人が立ち集まっていた
聞けば数十年に一度の祭りの前祝 ....
りゅうぐうのつかいを飲んでしまった
寒天のようだったから つい
つるつると飲みこんでしまった
せっかく遠いところから来てくれたのに
まさか飲んでしまうとは と
母屋の人たちは驚いている
わ ....
風と分かれて山の頂きを下った
雲に揺られて浮かんでた
ぬくもりに隠れた姿でも
いられなくて
根雪にひそりと 響く
足跡から溶けていく
風は海から共に
重ならないから指をのばし
....
かかとの痛みで目を覚ます
起き上がって見ると 猫がかじりついている
しっしっと追い払う
そしてまた夢に戻る
夢の中でわたしは井戸のそばにいる
これから家に帰るところで
桶を抱えて立ちす ....
おおきなつづらを背負っている
つづらを背負って鳥居をくぐる
そこにまっ黒い小坊主が寄ってきて
その中には割れた茶碗が入っているんだろう
ぎっしり詰まっているんだろう
と にやにや笑いながら言 ....
どうか力強さを
君の吐く咳のくだらなさを
形無しの詩の都合良さを
灰色の空気を漂って
遠い空の向こう側へ
丁度東京から名古屋くらい?
いや、もっと
もっと
火星にタッチ
翻っ ....
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