幼いハリネズミの背に
指を乗せると
ハリネズミが言った
あなたの針は
おかしい
壊れた時計から夢が逃げました
もう時間は教えてくれません
遠い昔も今も未来も
在るのか無いのか
この部屋が寒いのは何故なのか
教えてくれるものは在りません
淋しい季節が続きます
ひとくちの水ほしさに
幽霊は夜に立っていた
眠りと死の違いを
未だわからぬまま
あらゆる終わりに優しさは無く
ただ悲しみばかりが晴れわたる
舟漕ぎ人夫の
沈みゆく ....
バスを待っている
時刻表をじっと見つめながら
赤いバス、青いバス、何本ものバスが通り過ぎて行く
もう日が暮れるのに
乗るバスはやって来ない
流れる風景、人影の中
....
だれも傷つけたくない
傷つきたくない
底にあるものをつきつめない
ふんわりでいい
うおーっていうのは、なくていい
ひとりのいいねで満たされる
新鋭的な、斬新な
研ぎ澄まされた感覚 ....
空の手が降りて
僕を
私たちを包み
舞いあがる
遥か昔から変わらない
かすかな風
に含まれる潮騒
意味なんてなにもない
ただそこにあるものを
受け入れて
そのまま受け流す
そ ....
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何処にも届かなくていい
誰にも関わらなくて
何の問いもないが
ただ在ることを想う
ダーウィニズムがもたらした
革命にしたがおうとおもう
忙しい自分は本当なのだろうか
ぼくはい ....
もしかしたら
ずっとそのままかもしれないものたちにしがみつき
ぼろぼろに
ぼろぼろになってゆく
有限の 有限の 歩幅
途切れているにちがいない
だが
つづいている ....
あなたは眠ってしまった
湖に浮かぶ 浮島の
深い眠りは ここちよく
夜闇に薄く黄色く光る
あなたの横顔を包み込んだ
砂漠の上で寝転んで
わたしたちが
白くなってしまった後
小さくな ....
なにも
カッコつけたい
わけじゃなく
いつまでたっても
辿り着けない
力なく
のほほんしてると
日々が逃げて
食っちゃ 寝て 起き
食っちゃ 寝て 起き
なにしてんだか ....
鉱のような
父の服がある
洗ったはずだが
そうは見えない
裏地に牙が
見え隠れしている
....
人の子に似た声の機械が
荒れ野に山と積まれていて
自分以外を呼びつづけている
舌先に燈る火のなかで
ひとりの鹿が会釈する
目を閉じた笑み 風の音
水のにおい
....
鏡に飛び散る
灯りの欠片
黒の駒 黒の盤
目から胸から
誘われる水
想い出したように
音は湧き上がり
忘れたいかたちに
曇は泣きはじめ
うたも光も ....
清浄機ゼロ距離放屁で激起動
尿道の痛みと放屁の描く軌跡
放屁から放を抜いたら屁屁屁の屁
仕事中放屁はいつも風のなか
大怪獣もでんぐりがえる放屁す ....
暑い8月さなか
フラダンスレッスンの見学をしていて
ほとんどがおばあさまなんだけど
波
風
花
ご挨拶
足元や腰
肩から指までの動きが
たおやかでおだやかで
いつまでも見ていられる ....
いっそ誰かに成りきってしまえば楽なのかな
と思ってBさんに憑依したら
Bさんも割と悩みを抱えていた
人の表面だけでは分からない泥臭さは
内面を泳ぐまでは分からな ....
白いりんごをのせた皿に薄陽がさしてゐる。
月をたべた少女が硝子の洗面器にそれをもどした。
日が暮れる。わづかに年老いてゆく。
髪と髪が触れ
影になる
風のなかの粉
砕けて光る
ざわめきを登りつめたところに
廃線の花 水に浮く葉
ひとつひとつの滴に残る
まばたきの水紋
打 ....
そんな顔しないで
の、そんな顔がどんな顔なのか私には分からない
特に悲しくも無いのに
悲しいのと聞かれ
特に怒ってもいないのに
怒っているのと聞かれる事が多く
....
何度泣かせるのだ と
微笑むほど泣いた
泣いた 泣いた
そして 泣いた
治らない傷こそ生きている証だと
血のついた指で食べつづける菓子
何もかもがほどほどの
すぐ ....
この坂は夏のてっぺんから
少しずつ下ってゆく坂
向日葵や百日紅の花びらのふちで
夏の光が砕け散って
じりじりと蝉は啼いて
またそれがふと啼きやむ静寂があって
日傘をさして
この坂を下 ....
取り出したノートを夕暮れに見つめている
手にして 最初の行から それを見つめては
手で 時間自体を紐解いたような
光の方へと 時の言葉を読んでいる
何か そして 自分が経験した出 ....
小さな穴を掘ります
小さな夜を作るの
水溜りは何処かに消えた
小さな種子になり
隠れて生きるの
陽炎の中歩けば
呼吸が出来ぬ小魚
みたいに
空見上げられずに
今はまだ
種子にな ....
目をつむってもつむっても
夜は夜に聞こえない
水でできた城が空から
ゆうるりと崩れ落ちてくる
多くの夜が
多くの身体の上に重なり
奥なる声を外に連れ出す
夜を ....
何度も言いかけてはやめてしまっていたあのことを
ついに言う時が来た
あなたは苦しむ能力に長けていて
同情を必要とせず
目は見開いて何かを言おうとする
道端に咲く語る草
肩をノックし ....
台風コロッケ台風コロッケ
買って
台風コロッケ
お家帰ろ
雨降り始めた風吹き始めた
お仕事終わって篭城前夜
台風コロッケ食べよ
お皿山盛り
台風コロッケお食べよ
ビールあけて ....
子どもには夢を描く道具が必要
買い与えるか拾ってくるか
いやいや地面に
自分の指先で描けると言う
子どももいる
できれば描き直せる
鉛筆がいいのだけれど
ちょっと凝りだして
消えな ....
夜風の冷たさ
貼り付いた白
夜の鳥
夜の赤子
焼け焦げた径
はためく光
見えないものの
においに触れる手
騒がしい白と黒
尾を啄み合う鳥と鳥
地を ....
私の中に
さびしい都がある
そこでは多くの人が行き交うけれど
皆どこかさびしい瞳をしている
そこここで交わされる会話にも
どこかしらさびしさがにじんでいる
街角の光景も
どことは ....
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