一玉35円の「ゆで」と書いてあるうどんを買ってきて

愛用のチャルメラ専用なべに水を注ぎ

ちわちわ言ってきたところに

かつお風味的なものを

小さじ 1

更に「だし入り」と書 ....
言えないことがある
言わないことがある
それは男と女だから
話せないこともある
それはつらい
それはずるい
ふたりにしかわからないのに
あなたにだけは言えないから
世界中誰に話しても
 ....
十月の林檎畑は小春日和
はしごの上に立って
林檎の葉をとり
少し位置をずらして
枝の下の黄緑の部分も
赤く色づくように作業する
手間をかけただけ
儲かるものでもないけれど
まんべんなく ....
活断層の裂傷を隠し暮れてゆく列島の国道はしずか



ひび割れてゆく日々の記憶行く手には空色のすべての皮膜



人一人ひとりひとりとひたひたと足音のする干潟はひえて



法 ....
君の瞳を見つめられるのも
これが最後なんじゃないかと思った

怖かった

子供みたいにぺろぺろあめを舐めて
笑っている君はこれでおしまいなんじゃないかと思った

怖かった

泣いて ....
降りはじめた
雨に

傘をさすことにも
傘をささないことにも
正誤はないよね

どちらもきっと
雨だから

雨に
なるから


つちに濡れたほこりも
ほこりに濡れ ....
コンテを
やっとにぎって
色鉛筆
つかんで
ちいさな
ちいさな
キャンバスに
なんじかんもかけて
きみがくれた
ぷれぜんと


手術の日から三年
かたつむりのように
きみは ....
冷え切った肌寒い朝に
わたしは毛布にくるまっては
冷え切った足先を
ぬくめる

例えば死というような
ことばの冷たさは
毛布にくるめても
いつまでも温まらない

エアコンやヒーター ....
廃村の外れで
垂れ下がった電線が風に吹かれている。
壁や窓を叩いている。



置き去られたカラーボックスに
アニメのシールがでたらめに貼りつけてある。
清掃車のオルゴールが近づいてく ....
離職された皆様へ ハローワークは あなたの 就職サポーターです。
失業給付を受けようとする方は 必要書類を持参の上、
求職の申し込みをする必要があります。

ハローワークは ハローワークです。 ....
娘とふたり
バスに揺られている

おまえが置き去りにした
ウサギの手さげ袋は
そのままバスに乗って
湖近くの営業所まで
運ばれたらしい

忘れ物はぜんぶ
そこへ運ばれてしまうのだ
 ....
元気になる権利があるので
いちいち弱くなる話は
しないでおくれ

朝からまた人の悪口言っている
どこから集めてくるの
そんなに悪いだけの人なのだろうか
どうせ にこにこと私と話していても ....
もう後は
いつお迎えが来ても構わないだの
早くお迎えが来ないかしらだの
そんなことを、此処のみぃんな 口にしてる
だども、
したら、なして
年寄り達が予約した時間のもっと前から
病院の待 ....
                 081025





くつしたが
くつしたがくつしたがと
悲鳴を上げるので
靴下がと
穴の開いた靴下が
靴の中で欠伸する

石ころを蹴っ飛 ....
もう
ここは冬
になってしまった
日は短くなり
昼からすでに夜の気配がする

けれど迷い人よ
冬のせいではなく
この森はずっと昔から
喪服の切れ端のように暗い

鳥は言う
「さ ....
今日 キミの夢を見た
もう居ないくせに
「いつも見てるよ」と言うのだ

薄曇の外光が窓から入り込んで来て
中途半端な空間を作るので
夢の端っこを掴んだまま手放そうとせず
意識が行った ....
遠い空とつながったきみが
小さな点になる
それは消失してしまいそうな
さびしい孤独であるのに
ふしぎな水色に輝いている

逆さまから立ち上がるときのきみは
やさしい速度でやってくる
淡 ....
指組みのように身体を絡めゆく 二人で今日の夜空をつくる



ひとつずつ舌でたどれば直列の熱に融かされてゆくビイドロ



「ねえ、君にアイスピック突き立てたらブラックホールができたの ....
最近、嫌な奴ばかり目にする気がする
世の中が冷えてきたのか 俺の心が冷えてきたのか
「袋ご一緒でよろしいですか?」「はい」
コンビニで温めてもらった弁当と、冷たいコーラを同じ袋に入れてもらう
 ....
僕の手にする
透明なハンマーを振り上げて
目の前にぼんやりと立つ 
姿の無い退屈を、叩き壊す。 

粉々に砕け散る音が聞こえ 
全てを手放した僕の前に 

  0

の門が現れる  ....
 
ひとさし指で手紙を書く
砂のうえに
潮が引くときだけ
ゆるされる

返事が来る
潮が満ちるときだけ
あなたから
光と光の
波にさらわれる

こぼれた文字の
貝殻をひろう
 ....
届くのかなあ ぷくぷくぷく
最後の空気をこぼしながら
サンダル船長さんは言った

届くさ
サンダルと旅をしてきた岩のかけらは
ひらりと水に舞いながら落ちていく

もうすぐ深くひらかれる ....
足が欲しいなあ
砂にうもれながら
サンダルはつぶやいた
私のもう片方は 波がさらったのに
どうして私は砂にうもれているのかな
私達を歩かせる足があれば
ひとつになれるのに 一足なのに
ど ....
眠りは浅い
でもソコソコ満足してる

新しいモノにあまり興味はない
アンテナはアッチとコッチを行ったり来たり

あの空でもこの空でもたいして変わりはない
うつむいたままじゃつまらないし
 ....
うみのうえで
きらきら
きらきら

右手も
左手も
えがおいっぱいのV。
 ・
 。
 ・
 ・・・・・
 。。。。。

V、したい。

左腕
だめみたい。

右手 ....
ストレートな言葉が煌めいている
計算のない素直な言葉たちが
大きな声で自己主張している

言葉に衒いなどありようもなくて
発せられた言葉と意図された意味は
ピッタリくっついている

平 ....
小さな指のさきで
木の実をひろいながら
ドングリ
という言葉を
娘は覚えた

昼間のつづき
眠りの窓をしめて
散乱する
ドングリと戯れていた
ことばと戯れていた

ひとつふたつ ....
海岸にたたずむと
なぜだかいつも
雪がふる

手のひらに
結晶の一つがのると
出会いだ
と勘違いしては
スーッと溶けてゆくと
別れだ
などと悲しがる

雪がつもり
薄っすらと ....
いまは雨がやまないの
あるいて帰りたいけど
まだとおいから帰れない

いつか晴れたら
行きたいとこがたくさんあるよ
目をとじなくてもそれがうかぶから
いまは雨で濡れてても ....
終わりは
すべて哀しいものだと
いつかあなたは
示したけれど

確かにわたしは
時刻をひとつなくしたけれど、

なくさなければ
始まることのなかった
時刻のなかで
わたし ....
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