からだだけが覚えている水田の記憶は
ずっと底のほうに沈んでしまっていて
どうしてわたしはこの庭に棲んでいるのか
どのようにして生まれ 辿りついたのか
わからない おしえてくれる親兄弟もいない
 ....
愛って、皮を剥いた馬鈴薯だぜ
だから俺の故郷に愛なんかなかった
紳士録にも載ってねえ名前は
この街では沢山の愛の中のひとつだ

優しさは仕舞っておけ、
乱暴な拳もポケットに隠しておけ
奴 ....
あまりに広いお空だと 

願いが消えてしまうから

あなたで少し隠れた空が

私にとってはちょうどいい

こんなに星のきれいな夜だから
残酷な絵だからと
もう誰も教えてくれない
焼け爛れた日の記憶
キノコ雲に被われた
町にいた人々のことを

スクールバスはどこへ行く
地球は机上で分断され
核の傘という見事な絵空事
地 ....
だからオリンピックなんか
男も女も関係なし
ステロイドも使い放題にすりゃあ良いんだ
男がハイレグ水着穿いてきて
タマキンがはみ出して
イカの顔みたいになったりしてさ
ついでにパラリンピック ....
ちいさなちいさな火花を散らす、とても弱々しくなった、ちいさな晩夏の太陽が、ポトリ、と水色のバケツに落っこちて、やがて秋の陽がのぼる。 くちびるの動きが多彩なきみ
曖昧にはじまり唐突に終わる

雨があがって緑に固まりかける間に
また飽きもせず芽吹くきみ
何度も沸騰する世界の傍らで
きみが笑って見える
泣いているようにも見 ....
小学生のころ、夏休みになると海へよく行った

高学年になると波に挑む遊びをよくしたものだった
大きな波がきたとき、そびえ立つようなその壁のふところに飛び込んで
波を潜り抜けるという単純な遊び
 ....
時間がとてもながい、冷や麦を食べすぎた。虫捕りはさして珍しい虫が見つかるわけでもなく、数本しかないファミコンのゲームカセットももうとっくにやり飽きた。昼間の茶の間でコップに入った冷えた麦茶を飲みながら .... 星のように明るい海が
きみの瞳の奥に横たわっている
その眠りだけが
今 起きていて
ほんとうの事を 話そう
話そうと
細胞分裂を続けているから
わたしは知ってる
きみが もう難しい本を ....
 冷蔵庫から取り出した
 ガラス小鉢の紅茶ゼリー
 ノンシュガーのルベウスに
 ちょっと多めにのせる生クリーム

 リビングには尖った葉を上向きに茂らせる
 アンスリウムが、柘榴石のような ....
朝、のどの違和感で目覚める
よるじゅう、26度に設定した冷房のせいだろうか
そうだとしてもそれを選んだ自分の失敗だ
イソジンでうがいする
その赤褐色の液体の色はどこか禍々しくて
さらに薬品特 ....
短冊、
ほそい笹の木にとりつけた、
さまざまな、
にっぽんの夏のいろ、
ゆうがたにリアカーをひいて、
みんなで町内をいっしゅうする、
ものらるのラジカセが七夕の唄をうたう、
そのうち日が ....
かいわれ大根
小さいけれど
わたしの収穫
何もないことが
朝だと知った

寄り添う、だなんて
なんだか軽い言葉
そんなものにも
救われたかった

窓を開けると
蝉しぐれ ....
ひより、アヒルのひなどりの顔をしたとてもちいさな黄いろいペンギン。そのずんぐりむっくりな身体から、ほんのすこしだけ出っ張っているだけの、ちょこんとした、そのとても短い手足。その橙色のタラコのようなクチ .... 風鈴の短冊に書いた願い事
神社の参道に飾ってもらった
風にくるくる回って
思い出しているのは
遠い日にかすんだ夏祭り


知らなくてもいいことを
いっぱい知って
裸電球に輝いたは ....
 
 飛ぶことが苦手で

 さえずることを覚えた小鳥は

 せめてこの歌が朝空高く

 飛べばいいのにと願うのでした





   誰も傷つけない歌なんてない

    ....
 岬に立つと
 陽の輝きが急に増す
 気がつけば波間に閃めく舟も
 ずいぶん遠かった

 入道雲のわき立っている水平線 
 みづ色の{ルビ礫=こいし}のように光る舟のそばで
 一羽のかも ....
 眠り草の花が開いて

 悲しみが萎れていく夜



「月が綺麗ですね」って言って

 比喩の中でかくれんぼする



 暗がりでにゃあって鳴く

 黒猫みたいな詩人に ....
空に舞う麦わら帽子目で追った時のはざまで行方は知れず

海からの帰り道はいつだってしぼんでるのにからだは重い

アスファルトに立つ陽炎は死んだら負けといってるみたい

蝉たちがぴたりなきや ....
 日照りつけて
 前方に霞む百日紅には
 二匹のクマンバチ

 ふと足もとを
 蜻蛉のちぎれた一枚羽が
 微風に 晒される
 
 古道の低い石積みの傍、
 生い茂る樹木の根元で
  ....
真夏の日中に上空を塞いでいた、ひとつの低い層がなくなって、青春の夏はより遠くまで反射して、よりいっそう真夏の夜の夢に届きやすくなる。より受信しやすいように部屋のなかの灯りをすべて消す。多分に雨の吹き荒 .... わたし 雨

私あめ 時々 あられ
心ゆられ
たこ糸のさきに むすんだ釘を
しずかに 夜に沈める

口の端に くわえた糸に
声をつたえる きみに聞かせる

わたし 雨

夜から ....
地平線の彼方まで丸焼けだった
瓦礫と錆びたトタンで作った
家族でさえ疑って暮らすバラックで
卓袱台に載った、芋粥と悲しみ

ヤンキーに{ルビ集=たか}ってチョコをせしめた
空地で捕まえた飛 ....
夏にだけあらわれる
小径の奥に
ひっそりとした場所
そこにやわらかな墓標がひとつ

あたりを囲む緑のざわめきの中に
なぜかいつも感じる
揺籃の気配
その中には多分 壊れた玩具の ....
空にさしだした手のひら
つきさしていく日のひかりで細胞が痛い
夏のひとはみな発熱し
アイスクリームはみるみる溶ける
蟻がやってくるまえに
きのうのできごとは蒸発してしまう
会いたいひとがい ....
 喉滑る夜半の冷茶

 温くなった保冷枕を取り替えて

 寝間へ戻れば 扇風機の寂風が、

 モザイクかかる途切れた夢の

 あなたを白い紙屑にした
気温は三十度を越えた午前九時
父は誰にも告げず、徒歩で家を出た
まっすぐな国道を四キロも歩いた末
暑さのせいか、何かに躓いたのか、転倒した

通りがかった人や周辺の住民が介抱してくれ、
一 ....
四月に種を撒いたヒマワリは
梅雨のさなかに大輪の花を咲かせ
真夏の太陽を待たずに萎れ始めた

虫食いの穴だらけの大きな葉には
小さな小さな{ルビ精霊蝗=ショウリョウバッタ}が二匹
同じ方を ....
ついに、
投下されてしまった、
夏、
という爆弾の、
じりじりとアスファルトが焦げ付いてゆくような、
そして、
その熱波をさらに助長してゆくかのような、
せわしない、
蝉たちのなきごえ ....
唐草フウさんのおすすめリスト(3967)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
雨を呼ぶ- 宮内緑自由詩7*24-8-5
暗黒街の馬鈴薯- atsuchan69自由詩12*24-8-4
星月夜の願いごと- ころここ自由詩4*24-8-4
No.34- 自由詩6*24-8-3
ジェンダーフリー- 花形新次自由詩224-8-2
線香花火- 本田憲嵩自由詩1024-8-2
きみとクロワッサン- soft_machine自由詩524-8-1
スイマーズ- そらの珊 ...自由詩11*24-8-1
出不精の夏- 本田憲嵩自由詩7*24-7-30
デートの詩- 鈴木ぽろ自由詩424-7-30
灼夏のいろ- リリー自由詩11*24-7-30
このかどをまがったら- そらの珊 ...自由詩12*24-7-30
八七夕- 本田憲嵩自由詩924-7-29
蝉しぐれ- たもつ自由詩624-7-29
ひより- 本田憲嵩自由詩624-7-28
お盆- 藤原絵理 ...自由詩624-7-27
朝空- おやすみ自由詩524-7-27
みづ色の舟- リリー自由詩6*24-7-26
オジギソウ- おやすみ自由詩624-7-24
サマーノート- そらの珊 ...短歌6*24-7-23
陽炎- リリー自由詩14*24-7-23
夏夜のラジオ- 本田憲嵩自由詩1324-7-22
わたあめ- soft_machine自由詩924-7-22
私たちは食べてきた- atsuchan69自由詩13*24-7-21
やわらかな墓標- 塔野夏子自由詩11*24-7-21
かげろう- そらの珊 ...自由詩12*24-7-21
五行歌_一首「熱帯夜」- リリー自由詩10*24-7-21
遠足- ヒロセマ ...自由詩10*24-7-20
ヒマワリ- ヒロセマ ...自由詩16*24-7-16
平和公園- 本田憲嵩自由詩1024-7-15

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