乱視の月を
綺麗に見てみたいから
眼鏡をかけて
見上げた蒼い夜空
望遠鏡でさらに探る
月って
こういうものなんだ
なんだか
そこまでしてはいけない気がして
いつも乱視のままでいいやっ ....
回転を少し止めた朝は
おだやかな
エメラルドの生地で

ひとつの心臓もない
白い砂床に
波のつぶやきを聴く

貝の肉のような
とりとめのない柔らかさに憧れ
ギリギリと角質の擦れ合う ....
mustの集団ヒステリーが
さびしい冬には 堪えるから
こたつ があったかい
西も東も今も昔も
全部忘れたいなあ
閉めきった六畳一間に身を潜めて
ほどよい温さに
とろんと 分からなくなっ ....
夕立雲が
わたしを呼んでる
ブランコ揺れる公園で

六時のチャイムが
影をぐいと引っ張る
みかん色に溶けていく
汚れたくつした ねこの声
ひんやり鉄棒 ジャングルジム
おっかさん ....
あなたがあたしの
ほっぺたかくちびるを
だまってさわるのは合図

あなたがあたしの
ふくらみやへこみを
さすさすするのは合図

あなたがあたしの
顔のとても近くで
ねたふりをするの ....
たったひとつの恋文
それは今
長期保存用に加工されて
クローゼットの中で眠っている

わたしは父と
ヴァージンロードを
歩くつもりは
さらさらなかったのに
どうしても歩かせたいと
 ....
あの子の心臓が浮いてるときいて
やってきた


透明な
水の中
音のしない、建物の中
見えないガラスに囲まれた
透明な
水の中
音のしない、建物の中
巨大な水槽の中

その中 ....
明日ここに捨ててゆく花を選ぼう
あまり綺麗じゃなくて
だけど見過ごせない
咲くよりは枯れるために
生まれてくるようなそんな花を
俺の言葉の代わりに
俺の人生 ....
十一月になり寒い
合羽を着て雨の中 林檎をもぐ
はしごの四段目くらいまであがると
葉につかまり じっとしているトンボがいる
明日は雪の予報で今夜にも降るかもしれない
最後の日なんだ
羽を掴 ....
北風が肌をかすめて冷たさを置いていく
そんな季節になりました
お元気ですか

わたしは少し厚手のコートをはおるようになりました
相変わらずのブラウス姿にカーディガンを重ね
冷える手先にはカ ....
風が笛を吹いて
こっちにやってくるよ
子どもたちを
さらいにやってくるよ
どこに連れていくつもりさ

風が太鼓を鳴らして
こっちに向かってくるよ
こどもたちの帽子を
さらいにやってく ....
それは言葉にしたらコロリと別の何かへ転じてしまうような、ほんの小さな想いだったりした 据え膳の味を思い出さない男
なんて
今この時私より欲しいものがない
って言えない
なんて
あなたは
一体
どこまで
可愛いの


はしたない
口を引き裂いて
私は
今日も
 ....
出会って
眼と眼が合ったり
話し合ってみたり
そっぽを向いたり
いがみ合ったり
思い焦れたり
躊躇ってみたり
愛し合ったり
すれ違ったり
そうして
いつかは別れる

飲み始めて ....
人の言葉を話さないと
人間あつかいされない
じっと警戒して息をひそめていると
けもののように狩りだされる
人ならば人の言葉を話してみろと
けだものの牙が服の下で闇を集める
それは罠になり穴 ....
妻が ショートステイで病院に行って三日目
風呂上がりにひとり ビールをのみながら
幼なじみの山に沈もうとしている夕陽を
パンジーやビオラやパキラやテーブルヤシたちと一緒に眺めている


窓 ....
一人の、
永遠を殺した、
1900年生まれの永遠を、
一人残らず殺した秒針が、
また泣いちまう、
一秒、
駆け抜ける間に見えなかった事実が、
結果的には、必要だった、
今日死んでいく人 ....
声とは
思えない、そのような
声。

響き、
沈黙の、


うたえる
歌が、あるのは
むこう、
声じゃない
声、


かなたが
電話をかけてきて、
 ....
支配される
夜で
寝床で
ハロゲン灯の橙の中に
うずもれて
心臓のかたちをからだじゅうで描く
まぶたを閉じて
息を受け
からだじゅうで
泣く

いつも
おいてゆかれる心がまえを ....
空を見上げたら
お月さまはもうなくて
見えないとかそういうんじゃなく
お月さまはもうなくて
誰の消しゴムのせいか知らないけど
とにかくもう、なくて

夜、何を見上げればいいか途方に暮れた ....
空も物体だ
ひとつにしているものを浜辺になくなって
孤独は 座らされていく曲がり角の
指先として 思いを聴かされていた  

オーケストラをクジラとして思い描こうとしながら
辞典なのだ 携 ....
{引用=夜の階段を下りて
一階はとっくに海に沈んでいったので
その、密やかな貝を避けながら
水の中につま先をいれる

どこまでも透明な
水晶を重ねて束ねて作った
深海は 魚を飲み込む
 ....
珈琲の苦さを知ってから
あなたの良さがわかった気がする

恋というのと
終わりというのと
美しいというのと
並ぶようで並ばないんだ

時折り衝動的に泣きたくなる
お気に入りの ....
放埓に道の辺を埋めては幾重にも重なり
紅く、山もみじの朽ち葉を華やかに散らして
浄土の途には細やかな初しぐれ、
ただ傘もなく二人痩せた身を苛む。

勾配のぬるい瀝青の坂道には影もなく
緋色 ....
とめどなく放り出される
あいうえお
ぼくにはなんだか呪文にきこえて
きみの渇いた したくちびるが
ひびわれるのを期待している
ちっぽけなもろいグラスにプライドがはいりきらない、ひびが入った

ちょっとした風もいちいち染み込んでフラペチーノに泣かされる夜

もうやめた もう憧れることやめた 君の隣のティニー・ガール
 ....
海へと抱かれる
やわらかい夕陽の
いよかん色にもえて

さざめくひかりは一心に
反射し
調和し
舌のうえではじけて
ひとすじの
輪郭をあらわす

(帰ってきてもいいよ、という言葉 ....
ひたすらまっくらな夜に
星を見上げながら
歩いていると
うう、ああ、宇宙に
ほうり込まれたみたい

さっきまでふたりして
立ち尽くしてだきあっていた
わたしは背筋をぴんとして
あなた ....
瞳を
真っ直ぐにみつめて
言葉を言えない奴らが
なぜか
真っ直ぐに日本語を打っている
現代詩フォーラム



みんな 寂しい明日を喋っている10月
すずむし泣く。
6時、目覚ましナル
6時15分起きる
おはよ
おはよ、あのころの笑顔でにっこり妻
すきすき、だ〜いぃ好き ひしっ ぶちゅ だ〜いぃ好き

ひしっひしっだいすき
ヒシッヒシッダイスキ

 ....
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