眠りの手からこぼれては
目覚めの音に降りつもる
光むく横顔から生まれ落ち
此処がまだ午後と知る
真上より
少し北に下がる月
うろうろと
川を流れる
空の ....
宝という宝を
隠してまわる
乳とくちびる
紙の拘束具
科学から きらきらと
こぼれ落ちるもの
分度器と海辺
浪あおぐ 風あおぐ
噛みつかれないよう
互いにふわ ....
いつしか、
日は暮れていて足元は寒くなった
ももに置いた手は静かに落ちた
しばらく眠っていたらしく
目の前で遊んでいた子たちも
いなかった
こうして一人の時間が増えたかわりに
雨や落 ....
雷を髪に飾ることはできる、とあの人は言いました。
プラスチックの黄色い髪留めのことかと思いました
あるいは単なる冗談なのかと
朝食は取らない主義で
それはお腹が弱いから
薄紫の傘が立て掛 ....
・
悲しい朝に目覚めたら、深く深呼吸を。
心の産毛へと、澄んだ風を送るように。
・
1番の歌詞が、みんなのものならば。
2番の歌詞は、あなただけのものさ。
・
ラフな ....
むかしの人々は
だらしなく開かれた口から
魂が抜け出ると信じていたらしい
なにかの間違いで
底引き網で引きあげられて
はらわたがドロリと飛び出した
深海魚みたいにですか?
怪 ....
君の望む世界は、
自由や
共感や優しさからは
反対に振れた世界だろう
どうして
そんな世界を
望むのか
僕にはわからないよ
君は君の望む世界で
変わらず権力者の側にいられると ....
真面目なあの人を笑わせたい
そう思ってたくさんの嘘を用意した
花を摘むよりも簡単
お箸を並べるよりも
宇宙人の話は全然だめで
にこりともしてくれない
幽霊も金縛りもだめ
好きなものを知ら ....
其処は中庭
周囲がすっかり閉ざされて
何処から入ればいいのかわからない中庭
其処で
プロローグと
エピローグが
手をとりあってくるくると回っている
モノローグと
ダイアローグが
....
もうひといきだ
ひともどきまで
もうひといきだ
しかし骨が光になってゆくのは
水たまりが渇くより早いものだ
....
瓶はこちらを向かなくていいのだ
羽をたたみ 地に降り立ち
夜のむこうの夜を見ていればいいのだ
母は、
なまえはつけないほうがいいよ
と冷蔵庫にむかって
言いつづけた
寝ているときは
ずっと怒っている
車をひっくり返し
おとこを犯し
ベランダに放火し
エレベータ ....
線を踏んで 花の内
爪先立ちの 花の内
花を 花を
他から多へ
掴もうとする手の反対側へ
しずくは落ちて 落ちてゆく
膝を折り 倒れる鏡
映るものは空と地ばか ....
自転車を押す君が単線を渡ると
図ったかのように踏切が鳴り出した
いつものようにぼくは何もつかめないから
警戒色みたいな棒に文字通り遮断された
蜃気楼の中から電車が見えてきた
向こうの君は張り ....
子供のころ
ある 二月の夜に
こんな
ふ
う
に
電
線
を
伝
っ
....
海が見たい とつぶやいた
あなたは今日の今頃は
白いベル付きの
ドアの向こう
あなたののこした
たった一つの
小麦色の帽子をもって
記憶の底の海へ行こう
※※※※※※※※※※※ ....
小さなポシェットひとつで、あなたは何処へだって行けるんですよ。
もちろんポシェットふたつでも、おそらくポシェットなど持たずとも。
気がつくと
またちんちんをさわっているよ
さみしいからだろうよ
何がさみしいかというと
あらゆる人の記憶から
おのれを消し去ってしまいたいから
あらゆる人の記憶から
消え去ったあ ....
またたき またたき
またたきの音がする
しびれているのは 右か左か
どちらの目なのか
両方なのか
左足を咬まれて
愉快でたまらない
左足の内に 咬んだものが潜 ....
考えても仕方の無いことを
考えても仕方が無いのだが 考えてしまう
考えて書けってなんだ
書くことは常に
考えの外に在るのだ
....
大きな山だった
立ちはだかったまま青く動かないで
汚れたままの靴と
広くて深い空
その空に追突していった
ま白い鳥が
置いていった羽をくるくるもてあそびながら
雲の上や切れ間を流れる風に ....
海の背中に鳥が落ち
八月半ばが焼け進む
青みと光と電線町よ
白光の出口のようで
ただの真昼の三丁目
蝉が鳴き止まないと
見知らぬ死の名前を
あなた ....
清い流れに沿い
{ルビ鶺鴒=せきれい}が閃くように飛んで
揺れるねむの花
ねむの花はやさしい花 と
誰かが云った
小さな手が生み出す
鍵盤の響きはたどたどしくても
その無邪気さで ....
1)癌と診断された彼女の
ふわふわと帰路に着く足取り
おかあさんにあるがまま言ったらと
想像して
抱えることを選ぶ
2)
親の下の世話をし、食事を食べさせ
洗濯機をまわし
エアコン ....
とぎれとぎれの信号も
詰まってあふれだした声も
獣道で見つけた風景も
しましま模様の高い空も
右手に光るガラス片も
左手にふるえる小さなカエルも
晩御飯のにおいのする街角も
....
廊下に机を並べてもよいか
と 紳士が言う
あわてて廊下に出てみると
既にたくさんの人が着席している
窓の外の雪景色は
常に上下に動いている
階段の照明は
意図的に消され ....
微睡む窓から
静かな私が飛びたつ
静かさに沿うかぎり
どこまでも遠くまで飛んでゆける
さえずりや
せせらぎや
さざめきや
ざわめきや
を 内包しつつも
静かさは静かさのままで
....
スカートをはいてからおかしくなってしまった
縁側から外宇宙へ向かう道は
あの子の膝にあたまをのせるだけだったのに
まちがいだらけだって言葉に足がすくんだわたしに
日傘が少し傾いた
入り切 ....
幾重もの黄昏が
共鳴する中を歩いている
自分の黄昏
知っている誰かの黄昏
あるいは知らない誰かの黄昏
数知れぬ意識の黄昏
黄昏てゆくのは今日という日
あるいはなんらかの時世
あるい ....
夜明けの太ももは
物事を知りすぎて
動く気配もない
左よ、流れろ
真夜中のフラッシュバックに
首筋が次々と
反応したからなのか
カーテンの隙間に殺菌される
右脚が
あきらめ半 ....
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